64.誰かひとりに刺さればいい
公募ではなくWebで小説を書く際、私たちはどうしても〝多くの人の目に触れるような作品〟〝ポイントを多く取れる作品〟を書こうとしてしまいがちです。
なぜならランキング上位作品から順に〝書籍化〟されているように見えるからです。
確かに出版社は、売れる作品を常時探しています。
Web投稿サイトで上位に食い込めば、読者からの〝お墨付き〟がある作品だととらえられ、書籍化の声がかかる……みなさんそう考えていると思います。
けれどここだけの話、実態はそうでもないらしいです。
歴代担当編集者から聞いた限りの話ですが、基本的に編集者は「自分に刺さる話」を探しています。
なぜなら、好きでもない作品を担当しても物語の勘所が見つからず、編集のしようがない、売りようがないからです。
なのでたとえランキング上位作品で「売れそう」と感じても、「別の出版社の編集者に任せた方が売れそう」「うちのレーベルでは手に余りそう」と判断すれば、見送ることもしばしばだそう。
確かにランキング上位に書籍化の声がかかりやすいのは事実です。
しかし、それはトップページに表示されて〝見つかりやすくなっている〟だけのこと。
つまり「上位作品だから」というよりは、「読んでみたら面白い作品だったから」というところが打診の決定打になっているようです。
なのでもしポイントが取れなくて上位に行けなくても、書籍化の芽はあります。
ある編集者が「推したい!」と思った瞬間、道は開けるのです。
これはつまるところ……ひとりに刺さればいいということなのです!
さて、あなたの作品が刺さる編集者がいるとして、ランキングに浮上しないあなたの作品を彼らはどうやって見つけられるのでしょうか?
そこで「キーワード」検索の登場です。(歴代担当編集者調べ)
彼らはランキング以外にも、これから伸びそうなキーワードで次の書籍化作品を検索しているようです。「悪役令嬢」とか「ダンジョン」とか「Vチューバー」など、高ポイント作品でなくとも声がかかるのは、こういったジャンルが確立された作品群です。
書店などに行くと顕著で、流行りのキーワードが強調された題名のラノベがずらりと並んでいます。なので、たまにはWebランキングから離れて本屋さんへ行った方がいいでしょう。今「来ている」ものは、全部本屋に並んでいます。
あとは、編集者の「好き❤︎」な作品です。
私たちと同じように、彼らにも好みがあります。青春恋愛が好きな編集者もいれば、スローライフが好きな編集者、ざまぁが好きな編集者、あとはとにかく市場にない「変わり種」を欲している編集者もいます。
彼らは自分好みの作品をみんなに見てもらいたい欲を持っています。市場に新しいジャンルを作れたり、好きな話を本にすることに喜びを感じています。「好き」は何よりも強い力を持ち、読者を惹きつけます。
というわけで、みなさんが一番気にしている「評価ポイント」はそういう意味ではそこまで重要視されていないようです。
あくまでもポイントを取れる作品に仕上げるというのは「見つけてもらうため」の手段。
一番大事なのは、誰かの癖に刺さるかどうかです。
私が聞いた話だと、あまりにポイントが低くて埋もれていても、読んで面白く「好き❤︎」と判断されれば、充分書籍化の可能性はあるそうです。
数字を追い求めるのも立派な作戦ですが、自分しか持っていない「癖」を磨いて光らせ獲物(出版社)が来るまで待ちましょう。
案外こんなことが、書籍化への近道になるみたいですよ。




