62.やってはいけない宣伝
出版点数を重ねるようになって来ると、どうしても作家としてはどこかで書籍を「宣伝」したくなります。
皆様も一度はどこかで作品の宣伝をしたと思いますが、実は商業作家が〝やってはいけない宣伝〟があるのをご存知でしょうか?
宣伝のよくある方法としてはX(Twitter)ですね。
発売日が近づいて来ると出版社から宣伝のGoサインが出るので、そのタイミングで宣伝を打ちます。
作家としても自著をなるべく多くの人に買って欲しいわけですから、なるべく多くの人の目に触れられるべくXでの投稿を繰り返します。
しかし意外にも、なぜかXでは宣伝すると閲覧数が急激に下がり、見に来て貰えません。
色んな理由があると思いますが、私が考えるに……
①その書籍の発売情報でタイムラインが埋まってしまうと嫌だから一時的にミュートされてしまっている。
②そもそも宣伝はツマラナイ。おもんない。興味ない。
このあたりが要因のような気がしています。
しかも宣伝が当たり運よくバズったとしても、いざ書籍を発売してみたら全然売れなかった……などという悲劇が頻繁に起きているそう。
なのでXに書籍を紹介しても伸びる、ましてや売れることはまれです。何なら編集者までもが「Xでの宣伝はあまり意味がない」と言い出す始末です。作家のXは「宣伝」のメリットよりも「炎上」のリスクが明らかに高い……ということらしいです。
(実は漫画は違うらしいです。漫画はバズったら結構買ってもらえる……クッ……!なんてこった!)
なので、Xだけではないほかの宣伝も考えて行きましょう。
次にあなたの書籍の露出が多く見込まれるのがこの「小説家になろう」です。
なろうには「書報」のコーナーがあります。ここに、書報掲載の申請をするのです。
すると、ランダムですがトップページで表紙絵と共に書報が掲載されるようになります。
これはなろう内において一番大きな宣伝になりますから、申請をして間違いありません。
次に狙うはなろう内にある「お便りコーナー」!
ここでちょっとした執筆のコツあたりを披露しつつ、新しい書籍の宣伝をしてみましょう。
なろうの全ユーザーの目に入りますから、地味ですが侮れません。
私はエッセイで執筆のコツの全てをさらけ出しちゃっているのですが……お便りって何を書いたらいいですか?(唐突)
それから「活動報告」(通称:割烹)です。
これは宣伝と言うより、お気に入りユーザー様への「ご挨拶」に近いかもしれません。
お気に入りユーザー1000人を超える私の割烹は、何か書けば100人ほどが見てくれます。(割烹エディター@夕月悠里様 調べ)
ファンに向けて、書籍化裏話や発売日報告などしておくとよいでしょう。
みんなで発売日にわいわいすると、緊張しいの新人作家も心がほぐれ気が紛れます。
とここまで書きましたが、今から身も蓋もない話をします。
書籍が売れるかどうかは──運の要素が非常に大きいです!
その時の時勢、流行り、イラスト、配本状況、書店の配置などなど、まるで自分の力が及ばない部分で売上げが決まって行きます。
個人での宣伝はあくまでも「ここまでやったからあとは野となれ山となれ」と思えるギリギリまで力を尽くしたなあ~という自己満足でしかありません。
やらないよりはいいかな、という程度です。
作家個人がスマホで出来る宣伝活動など、たかが知れているのです。
じゃあ、直接新刊を持って書店へ行って、新刊を置いてもらえるように頼めばいいじゃないかって?
サインも入れるから……って?
そう考えた作家さん、ちょっと待った!!
実は、これが〝やってはいけない宣伝〟なのです。
そう──作家による書店への個人営業です!
書店によっては、迷惑行為と判断されたり、出禁となることも覚悟しなくてはなりません。
結構そこまで追い詰められる作家様も多いそうなのですが、これだけは絶対にやってはいけません!
それから、もうひとつやらない方がいい宣伝があります。
それはSNSでのネガティブツイート。
「打ち切りになっちゃう!」
「売れないので買って!」
「何で読まれないの?」
このようなアピールは、読者に「へー、売れてないってことは面白くない話なんだろうな」と勘違いされて、より書籍が売れなくなる可能性大です。
同情を引くだけの宣伝は、ほとんど自傷行為なので避けましょう。
ひとりよがりな宣伝をする前に──作家個人の力が及ばないところへ力を尽くしてくれる人たちを思い出してください。
それは各出版社における「営業部」の皆様です。
書店に頭を下げてあなたの新刊を置いてもらう、レーベルの棚を増やしてもらう、そういった地道な足を使う作業から、グッズの立案、イベントの開催、特設ページなど、ありとあらゆる手を講じてあなたの作品を書店(及び読者)へ売り込んでくれます。
売れない時、作家だけでもと動きたくなる気持ちは痛いほど分かりますが、一生懸命やっている彼らの顔に泥を塗るような行為は絶対にやめましょう。
それでも売り上げ、または重版基準や続刊基準などに納得の行かない部分があれば、窓口となっている担当編集者にまずは問いただしましょう。
恐らく、かなり具体的な数字を出して作家の「納得」を引き出してくれるはずです。
どうやらそれもせずXで愚痴を書き散らしている作家さんが散見されますので、どうかその投稿ボタンを押す前に一度冷静になってください。
あなたの書いたお話を、あなただけでも信じて欲しいのです。次にあなたが書くであろうお話がまた商業ラインに乗るよう、出版社や書店との関係をこれ以上こじらせないようにするために。
作家の宣伝はあくまでも「補助」または「ファンサービス」程度です。
せっかく立ち上げたあなたというブランドです。暴れ回ったりせず、冷静に、上手に運用して行きましょう。




