59.「私のお話、面白くない」病に罹った時の対処法
どの作家さんも罹患したことがあると思います。
自分の作品を書きながら
「私のお話……本当に面白い?」
という疑念が頭から離れず、急に書く気が起こらなくなってしまう病です。
結論から言うと、「面白い話」には型があります。
なのでそれに沿えば、そこまでツマラナイ話にはならないはずです。
商業作家さんはそのあたりを既に感覚的に身に着け、この病に対処しているかと思います。
でももしまだ「自分なりに面白い話を書けている」と思えない方がいらっしゃるなら、私なりにやって来た方法を伝授したいと思います!
①神話を読む
世界の神話は、どの国でも似通った作りになっています。
結局、肌の色を超えて人間が無意識の部分から「面白い」と思える話の系統は決まっているらしいのです。
なので、迷ったら神話を参考にしましょう。
小さいやつが大きなやつを倒す。虐げられた人間が復讐を果たす。兄より強い弟。異種族婚姻譚……
あれ?これってなろう系?
いいえ、神話です。
②「一番面白かった本」を手元に置こう
自分の人生で「一番面白かった!」と思う本を、常に手元に置いておきましょう。
小説を書きながら、展開に迷ったらそれを読み返します。
「自分はなぜこの本が面白いと思ったのか?」をすぐさま思い出せるようにしておくのです。
思い出せたら、その記憶をたどりながら「自分が面白かった展開って何だっけ?」を考え直します。
すると「原点に立ち返る」というわけです。
③お笑いのネタ見せ番組を見る
M-1、R-1、キングオブコント、にちようチャップリンなど、ネタを見せるタイプのお笑い番組を大量摂取してみましょう。
「面白さ」という点では、お笑いも小説もそこまで変わりありません。
芸人さんはそれぞれ作成した劇場でネタを披露し、ウケてきた経験と実績を持っています。
彼らはそこから「受けた」データを抽出し、ネタをブラッシュアップし続けてテレビ画面に映るまでに至っているのです。
そんな彼らのネタには、ある程度の笑わせる(面白がらせる)型があります。
それはそれぞれの芸人さんが見つけ出したものです。
小説と違い、すぐに客席から反応があるのがお笑いのいいところ。
反応を見ながら舞台のたびに修正を繰り返し、受けるネタへと仕上げて行きます。
どんなキャラを何人でも作り出せる小説と違い、芸人さんにはそれぞれの「キャラクター」があります。なので、同じようなネタをやっても受け方に違いがある。それを修正し続け、彼らなりの今の型を作っているのです。
M-1なんかを継続して視聴していると、前年度の「ややうけ」ネタから「大ウケ」ネタを生んでいるコンビがいたりしてとても勉強になります。お互いのキャラクター設定を変えたり、関係性を変えたり、テンポを変えたりと、修正を繰り返しながら戦歴を積み上げているのです。
その様子を無料で見られるのですから、テレビって素晴らしいですね。
芸人さんのネタの軌跡。それを観察し、面白さを生んでいるものは何なのかを研究して下さい。
新しい発見があると思います。
いずれにしても、創作への情熱を持ち続けるには「自分軸」とは別の軸をいくつか持っておくことが重要だと私は考えています。
人間は集団で生きる生物ですから、案外ひとりで作品を作るなどということには向いていないのです。
色んな作品を摂取して、色んなエッセンスを受け取れば、また書く力は湧いてきます。
諦めないで!




