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57.無理しなくても書けるよ。

 ちょっと注意喚起です。


 最近、クリエイターの悲報が相次いでいます。病状を呟きながら病院へ行かないまま亡くなる漫画家さん、またライトノベルの賞を受賞したその数か月後に亡くなった作家さんなどが話題になりました。


 みなさん、まだ働き盛りの若い方々でした。




 作家業に限らず、クリエイティブ業というのは一般的に「突き詰める」印象がありますね。


 作品のために好きなことを突き詰めるのは勿論、嫌いなことも突き詰めざるを得ない時があります。


 基本的にクリエイティブ業は儲からないので、本業をしながらクリエイティブを追究し続けることもしばしば。


 なかなか結果が出ないのに続けないと不安。不安なまま、ずっとひとりで創作を続けてしまう。


 やめ時が分からない。


 そういった危険性を孕んだ職種が作家業です。


 なのでどうしても睡眠時間を削ってしまったり、ずっと同じ姿勢で飲まず食わずで作業したり、休息が取れず心が焦り続けるまま何か月もひとつのものに向き合ったりしてしまいます。


 しかも、むしろそんな追い込まれた自分に陶酔してしまうことまであります。


 実はこれ、非常に危険な状態です。




 はっきり言ってしまうと、別に追い込まれなくても作品は書けます。


 眠っても、食べても、のんびりしていても、作品は書けます。


 逆に、追い込まれようが、寝なかろうが、作品が書けない時は、書けません!


 むしろ、そうでないとおかしいです。


 健康な時が一番作品に注力できるはず。不健康でないと書けない物語なんか、闘病記以外にはないでしょう。


 だから、作品のために自分の行動を縛り、自分の体に攻撃を続けるのはやめてください。


 自分の体を追い込む前に、書き方や時間の使い方を見直して下さい。それが出来ないならば今後、書き続けてチャンスを掴むことは出来ません。


 書き続けなければならない作家業など、夢のまた夢になってしまいます。




 かく言う私も若かりし頃は「無理をしている自分」に酔っている部分がありました。


 仕事でへとへとになってから原稿に向かい合って、「私は頑張ってる」「こんなにやってる」「やれば出来る!」などと、要らぬ意気込みをしょい込んでいました。


 若いので謎に体力はありますし、徹夜でハイになって書いたりして「賞の締め切りが!」などと口ずさんでおりました。


「追い込まれてからが本番!」「追い込まれないと書けない!」「若い内に書かないと受賞できない!」──


 自分を追い込んだ経験から、今になって言えます。


 別に、そんなことはありませんでした。


 どんなに自分を追い込んでも受賞できませんでした。15年間も。


 かと思いきやおばさんになってから隙間時間で一日1000文字ずつのんびり書いていたものがさくっと受賞出来たのですから、人生は残酷で、数奇で、不思議なものです。




 一番大事なのは続けることです。


 商業作家志望ならば、書き続けてチャンスを待つことです。


 自分を追い込むことではありません。


 よく考えて下さい。


 無理して書いて寿命を縮め、まだ見ぬあなたの名作の蕾を摘んでしまうことの方が恐ろしいではありませんか。


 アラフォーだから言えることですが、クリエイティブ業において、成長が止まるなんてことはまずありません。


 以前にも書きましたが「才能が途中で枯渇した」ように見える作家さんは、才能が「伸びなくなってしまった」のではなく「流行に合わなくなってしまった」だけなのです。


 売れなくなっても、自己成長は続けられます。


 売れたらからいいというものでもありませんし、のんびり書いたから駄作になるわけでも、追い込んだから売れるわけでもありません。


 誰かから承認されるためではなく、あなたがあなたを認めるために磨く才能だってあるのです。


 あまり焦らないでください。


 死んだらその先に待っていたであろうチャンスも磨いて来た才能も、全部消えてしまいますよ。

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― 新着の感想 ―
すごく心に刺さりました……。 なろうで書かれている方って普段の生活(仕事だったり家事だったり)をしながら時間を捻出して創作を続けていて、だから自分も頑張らなきゃ!(`・ω・´)と仕事忙しくてもなんとか…
こち亀の秋本治先生も、毎日仕事は9時~20時まで、日曜日は休むというスタイルで、40年間一度も休載せずにこち亀を完結させましたからね。 かくありたいものです( ˘ω˘ ) 本年も大変お世話になりました…
まさに割烹に寄せていただいたメッセージに通じますね。 プロの作家は書く時間と分量を決めてる人もいますし、自分のやりやすい書き方がいちばんですよね。 2025年も楽しく書けますように。良いお年をお迎えく…
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