44.「面白さ」を比較しよう
書籍化を目指すなら「面白い話」を書かなければなりません
さて「面白い話」を書くにはどうしたらいいのでしょうか?
私が創作に躓いた時、いつも行っているのは「そのお話のストーリーラインを二通り以上考えておく」というものです。
ストーリーの分岐を、ゲームのように必ず二~三通り考えておくのです。
それらを自分の中で比較し、どれが一番面白いのか脳内会議を行なって選択します。
そして、その選択肢がなぜ他より面白かったのかを分析しておくのです。
すると、駄目だったストーリーが「なぜ駄目だったか」が見えて来ます。
この「なぜ駄目だったか」の蓄積が、今度の作者の「ストーリー選択」の正解精度を上げる一番の近道となるのです。
例えば「現代恋愛ジャンル」の主人公が、勝気なヒロイン候補に「私のこと好きなんでしょ!」と言い寄られたとして……
「はい」「いいえ」と答えられるとしたら、どれが一番面白いのか?頭の中でシュミレーションしてみましょう。
☆「うん、好きだよ」→あっさり告白してしまう場合
勝気ヒロインは固まってしまうでしょう。で、慌てたり主人公のことをもっと強く意識し出したりするでしょう。けれどツンデレ属性がある場合「私は別にあんたのことなんか……!」などともっと攻撃的になるかもしれません。主人公はここからどんどん彼女との関係を詰めて行けるかもしれません。
☆「いいえ」→あっさり断ってしまう場合
勝気ヒロインは「私、分かってるのよ?」とほくそ笑むかもしれません。または、彼女が内心がっかりしてしまうかもしれません。そして主人公に「振り向いて欲しい」と思い始めるかもしれません。気を引くようなことを主人公に言ったりするかもしれません。
……さて、どちらがより面白くなるでしょうか?
私としては「いいえ」と一回断った方が面白くなるかな?と思いました。
特になろうでは「題名が全てを決める」傾向がありますから、題名がより理不尽でセンセーショナルな方が、人気の出る面白い小説になりそうな気がしたのです。(※個人の見解です)
「クラスいちの美女からモブが言い寄られて付き合うことになった」
という話より、
「クラスいちの美女から言い寄られて断ったのに、なぜか美女がモブな俺から離れないんだが」
という話の方が、関係性がよりややこしく、なおかつ現実離れしていて面白いのではないかと思います。
さらにもっと深く比較します。
前者がなぜ駄目だったか考えるのです。
前者の駄目な点は、ストレートすぎてひねりがないところです。
モーションかけられて付き合う……というのは、現実のどこにでもある、自然過ぎる流れです。
そして、相手が美女で主人公がモブ系なので、ただのまぐれ当たりかラッキーのように感じてしまう。
読者の感情の揺れ動きは、後者よりは少なくなることでしょう。
そんなものを書いて、果たして面白いのかは疑問です。
ここまで分析して、作者にひとつ糧が増えました。
①理不尽スタートの方が面白い
②ストレートすぎる話は面白くない
③ラッキーが続き過ぎるとつまらない
これが分かれば、次も作者はその傾向を避けようとするでしょう。
この積み重ねが「面白さ」への感度を上げる鍵です。
遠回りな方法ではありますが、着実です。
そう、ボツは多ければ多いほどいいのです。
なんぼあってもええもんなのです!
というわけで、失敗を恐れず、みなさんどんどん創作の数をこなしましょう。
その道の先に、必ず「面白い話」が待っています。
しかもこの絶え間ない「if」を繰り返す方法には、思わぬ副産物があります。
書籍化の後に要求される特典SSに、このボツ案を流用することが出来るのです!
選択肢は、面白いかつまらないかに関わらず、探して持っておくと後々安心ですよ♪




