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ステータス・オール∞  作者: 八又ナガト
第三章 北大陸編
72/137

72 貧乳無双

自分で書いててちょっとよく分からなくなった回ですけど投稿します。

72と貧乳には何も関係がないことを、ここに記載しておきます。

 エルフの国、セルバヒューレ。

 そこは豊かな自然に囲まれた国家だ。

 鮮やかな緑色の森林に、色とりどりの果実や花が美しい景色を生み出す。

 それも全ては、世界樹ユグドラシルによる恩恵を受ける結果だと言われている。

 生まれたばかりの純度の高い魔力を養分にできるためだ。


 その自然の中にエルフ族は暮らしている。

 森林の中心部分から少し逸れた場所には彼らの手が加わった町がある。

 町と周りの自然を含めて、セルバヒューレという国家なのである。

 トモヤ達がグエルド鉱山を下山し、しばらく歩いた後にまず目指したのもその町だった。

 そこでロックドラゴンの素材を売却した後、メルリィという少女と出会い、シアという人のところまで連れて行ってもらえることになったのだが――


「これは……とんでもないな」

「ああ。私もこれほど近くで見る機会があるとは思っていなかった」

「わぁっ! すごいっ、すごいねっ!」


 見上げると、そこにあるのは頂点など見えない程に巨大な大樹――世界樹ユグドラシルだった。

 トモヤ、リーネ、ルナリアの三人はそれぞれが驚きの反応を見せる。

 その様子を後ろから眺めていたメルリィが笑いながら告げる。


「はい、とっても凄いんです。なんと言いましても、樹高5000メートルという大きさですからね」

「5000メートルって……どんな山だよ」


 離れた場所にあるグエルド鉱山と見比べながら、トモヤはそう呟いた。

 グエルド鉱山の標高は2500メートル程。

 これでも十分に高いと言えるが、世界樹の樹高はそれを優に超えていた。


 終焉樹フィーネスのように、樹のほとんどが地中に埋まっているわけでもない。

 圧倒的な高さ、太さ、存在感。そして溢れる輝きと神々しさ。初めて見たトモヤ達が見惚れるのも仕方のない在り様だった。


 さて、観察もほどほど。

 本題はこれからだ。


「それでメルリィ、シアって奴はいったいどこにいるんだ? ここにはこの世界樹しかないんだけど」

「はい、それについても説明しますね。シアお姉さまは現在、世界樹の守り人を務めていまして――」


 ――――瞬間、ふわりと風が吹いた。


「えっ?」

「……あっ!」


 頭上より何かが舞い降りてくる。

 それが何なのか確かめるべく、皆は視線を上げる。

 メルリィは喜びの声をあげる。

 その横で、トモヤたちはただ呆然と見上げるしかできなかった。



 そこにいる少女は、とても美しかった。



 輝きを纏うセルリアンブルーの長髪が、落下の影響か力強く靡く。

 髪よりもさらに深みのある青色の瞳、雪のように繊細で白色の肌。両耳は、エルフ族のためか少しだけ先が尖っている。

 凹凸の少ないスレンダー(褒め言葉)な体をシルクのような生地の服装に包む。

 左手には、身体に見合わない巨大な木製の弓が握られており――――


「喰らえ」

「ん? いやなにぉぐうっふっ!!!???」


 ――――その弓から放たれた光の矢が、トモヤの顔面に直撃した。

 痛みはない。防御ステータスのおかげというよりも、そもそもその矢に攻撃力がないかのようだった。

 とはいえ、突然の攻撃に驚かないわけもなく、トモヤはそのまま仰け反ると背中からその場に倒れた。


「なっ!?」

「ふえっ!? トモヤ!?」


 いきなりすぎる出来事に対して、リーネとルナリアは目を丸くしトモヤの身を案じる。メルリィは片手を額に当てながらため息を零していた。

 そんな彼女たちの前で、弓を持つ少女は満足そうに胸(虚無)を張って言った。


「やっと、反応してくれた……満足、えっへん」


 これが、トモヤとシア・エトランジュの出会いだった。



 ◇◆◇



「……ちょっと待て」


 特に気絶したわけでもないトモヤは、ひとまず体を起こし状況の把握に努めた。

 開口一番――というよりもむしろ、邂逅一番に攻撃を仕掛けてきた少女の意図をまずは探らなければならない。

 状況によっては戦闘に移行することすらあり得るだろう。そう、トモヤは思っていたのだが……

 

「なるほど。つまりはトモヤがリヴァイアサンやロックドラゴンを一蹴するところを見て、その光景が信じられなくなったため実際に目の前から攻撃して試してみようと思ったのか」

「そう、その通り」

「……分かる、私には分かるんだ、その気持ちが。最近は少し彼に馴染み過ぎていたが、Sランク魔物を片手間に倒すなど本来はあり得ないことのはずだった……初心を思い出させてくれてありがとう、シア」

「どういたしまして、リーネ」


 リーネとシアはがっしりと手を交わしていた。

 それをトモヤはぼーっと眺める。

 次に、ルナリアがシアのそばにいく。


「うーんとね、むずかしい話は分からなかったけど……シアは、トモヤにいたずらして、はんのうしてほしかったってことだよねっ」

「そう、そんな感じ……たぶん」

「えへへっ、それなら私にも分かるよっ! けど、次からはあぶない方法はダメだからねっ!」

「分かった、ルナリア」


 ルナリアとシアはがっしりと手を交わしていた。

 それをトモヤはぼーっと眺め……眺め……


「眺められるかぁああ! ちょっとおかしくないかお前ら、突然攻撃してきた奴となんでそんなすぐに仲良くなってるんだ!?」

「いや、その、私と同じ苦悩を抱えてくれる人に出会えるなど稀なことなのでな、つい。申し訳なかった」

「えっ、ごめん初めて知った。リーネ、俺と一緒にいて苦悩してたの?」

「少し」

「少しかぁ」


 その返答に色々と思うところがあったのか、トモヤはそれ以上リーネに追及することなくルナリアに視線を向ける。

 すると、彼女は満面の笑みで言った。 


「トモヤのことを好きなひとに、わるいひとはいないんだよっ!」

「ルナ……そっか、ルナがそう思ってくれるなら仕方ないな」

「別に、好きというわけでもないけど」

「おいちょっとお前、せっかく許してやる空気になりかけてるんだから少し静かにしていてくれ」

「それは無理な相談」

「はぁ?」

「あぁん?」


 ガンを飛ばし合うトモヤとシア。

 それを少し離れたところからリーネとルナリアが並んで眺めていた。


「なんだかトモヤ、楽しそうだねっ!」

「む……確かにそうだな。私達と話している時よりも元気な感じがするな」

「……どうしてだろうね?」

「さあ、私達がいくら考えたところで、トモヤのことなど分からないだろう」

「そうだねっ!」


(なんだか凄いこと言われてる気がする……)


 シアと睨み合う中で、トモヤは二人の会話を聞きながらそんな感想を抱く。

 とはいえ、自覚そのものはあった。


 トモヤは普段、様々な結果を想定し行動する。

 こんなことを言えば、相手はどんな返答をくれるかなども常に考えている。

 例えばトモヤが素っ頓狂な発言をする時――つまりボケる時は、リーネのツッコミ待ちだったりもする。

 ルナリアが相手の時はどんなボケも浄化されてしまったりするが、とりあえずそれで問題は起こらない。


 しかし、そんな彼が苦手とする概念存在がいる。

 通常とは異なった反応をする――いわば天然系の人物はトモヤの天敵なのだ。

 どんなことをしでかすか、予想もできない。

 一言で述べるなら、“やりにくい相手”なのだ。


 そして出会ってからまだわずかしか時間が経っていないとはいえ、シアがその系統の存在であることを既にトモヤは把握していた。

 つまり、トモヤにとってシアは天敵だった。

 そんな彼女の前では、うっかりと気が荒ぶってしまうこともあるということだ。


「いきなり攻撃したこと、ちゃんと反省してるか?」

「してない」

「じゃあ後悔は?」

「満足しかない」

「…………」

「…………」

「どうするんだこの空気」

「? 呼吸、しておくべき」

「ちょっと何言ってるのか分からない」

「そう? 変な人」

「お前だけには言われたくない」

「む、その言い方、不快」

「いきなり攻撃された俺の方が気分が悪いという可能性はないと思わないか?」

「…………せいっ」

「おいこら、どうしてそこで二射目を放てる」

「本能」

「本能なら仕方ないか」

「うん、仕方ない」


 そして、解決した。


「やっぱり楽しそうだぞ、あの二人……」

「なかよし、すてきだねっ!」

「はい、本当にその通りですね」


 そんな二人は、傍から見たらただの仲良しでしかなかった。

トモヤの性格は、ルートによってキャラが変わるギャルゲーの主人公みたいな認識でいいと思います。私にもちょっとよく分かんないです。

ただ一つ付け足すなら、トモヤとシアの会話なら無限に書けそう。

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◇『ステータス・オール∞』3巻の表紙です。
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