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ステータス・オール∞  作者: 八又ナガト
第二章 東大陸編
24/137

24 強化指針

 リーネの発言のあと、トモヤ達は早速その推察が正しいかどうか確かめることにした。

 ただ魔物と出会う前に少しでもルナリアを守る手段はないかとトモヤは思考し――スキル防壁Lv∞が出現した。選択した箇所を1時間透明の防壁が防ぐというスキル。人に纏わせることもできるらしく、ルナリアにその防壁を纏わせた。防御∞、魔防∞のステータスを持つトモヤにとってはほとんど不必要なスキルだ。

 この時点で、ひとまずトモヤがそばにいる時ならば1時間はルナリアの安全が保障されたことになるが、その時間を延ばすための試みがこれから行われようとしていた。


「トモヤ、がんばって!」

「おう、まかせろ」


 防壁を纏わせているといっても念のため、ルナリアの横にはリーネが立ってもらっている。もしもの時は彼女がルナリアを守ることになる。

 そしてトモヤはそれからしばらくの間、襲い掛かってくる魔物を討伐するのだった。




「これで二十体目……っと!」


 グレイウルフ、ブラドアスラ、フレイムバード(Cランク中位指定。炎を纏った鳥)などを剣で切り倒す。

 今回トモヤは隠蔽後のステータス、攻撃・敏捷・魔攻の三つの項目を8000にして戦ってみたが、この程度のモンスターなら問題なく討伐することができた。かすり傷すら負っていない。

 しばらく戦闘時はこれだけの出力で構わないだろう。


「すごい、すごいねトモヤ!」


 トモヤが次々と魔物を倒していく様子を、ルナリアは興奮した様子で見ていた。山脈からの帰りで魔物が出てきたときは馬車の中にいてもらったため、実際に見るのはこれが初めてなのだ。

 どうやらルナリアは魔物が倒れていく姿を見て、吐き気を催したりはしないらしい。事前にルナリア自身にそれらを尋ね大丈夫だと答えてもらっていたが、実際にその光景を目の当たりにする瞬間までどうなるかとトモヤは心配していた。

 これだと旅の中で魔物が襲ってきても躊躇なくやり返すことが可能そうだ。むろん、できる限りそんな光景をルナリアに見せようとは思わないが。


「さて、そろそろいいだろう。トモヤ、鑑定でルナリアのレベルを見てくれ」

「分かった」


 頷き、トモヤはルナリアに鑑定を使用した。


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 ルナリア 12歳 女 レベル:10

 職業:白神子(しろみこ)

 攻撃:50

 防御:60

 敏捷:50

 魔力:160

 魔攻:120

 魔防:100

 スキル:治癒魔法Lv1・召喚魔法Lv1・神聖魔法Lv1・隠蔽Lv1・神格召喚(しんかくしょうかん)


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「これは……たしかに、リーネの言う通りレベルやステータスが上がってる」

「本当か?」


 レベルは8から10に。ステータスは平均的に30程度。昨日ルナリアのステータスを見てから彼女は戦ったりしていないため、間違いなく今のトモヤの戦闘の影響だった。

 その結果をトモヤはリーネたちに伝える。


「そうか、それだけ上がったのか」


 リーネはふむと考え込むような素振りを見せたあと言った。


「今トモヤが倒した魔物たちは全てCランク。その恩恵が全てルナに譲渡されていれば、恐らくレベルは15前後にまで上がっただろう。そこから考えて、やはり譲渡されるのはトモヤに与えられる分の一割程度だと思う」

「……そんなもんか。もっとドンッと上がってくれれば楽なんだけどな」


 それでも、ルナリアが戦わずして彼女のステータスを上げる手段が見つかっただけで成果は大きい。

 与えられる恩恵が一割なら、トモヤが百倍の魔物を倒せばいいだけだ。

 とりあえず念のためルナリアのレベルが1000になるまで頑張ろうかと思うトモヤに、リーネは声をかける。


「さて、これでルナの戦力増強のための目安はついたが、肝心な彼女本来の実力についても確かめておいた方が良いな」


 リーネの言う通りだった。ステータスの数値が上がっても、ルナリア自身が戦い方を知らねば意味はない。そう思い直しトモヤはルナリアに視線を向けた。


「ルナ、ちょっとやってもらいたいことがあるんだけどいいか?」

「うん、がんばる!」

「よし」


 試すのは治癒魔法、召喚魔法、神聖魔法。そして神格召喚だ。

 隠蔽がどのようなスキルなのかは既に分かっている。治癒魔法に関しても知識自体はあるが、Lv∞の状態だとどのような傷まで治せるかを知りたかったのだ。


 まず治癒魔法、神聖魔法の順番で検証を開始した。

 治癒魔法Lv1で治せるのは軽い打撲や、剣の切っ先が触れた際につく切り傷程度だった。

 実験台はトモヤで、ステータス・防御の値を下げ、そんな彼にリーネが軽く攻撃を与え傷を生み出していた。その過程でトモヤは『なんだこの、えすえ……いややっぱり考えるの止めておこう』という思考になっていた。

 ちなみにリーネが傷を与える光景はルナリアには見せなかった。


 神聖魔法の検証もそこまで苦労することなく済んだ。

 ルナリアが放った弱々しい白色の光は、防御の値を100まで減らしたトモヤに傷一つ負わせることはなかった。むしろ少し暖かく、湯たんぽ代わりに使えそうだった。

 トモヤはルナリアの頭を撫でた。

 だからといって使い道が全くなかったわけではない。神聖魔法は魔を滅する聖なる魔法。出来るだけ威力を下げたリーネの魔法を打ち消すだけの力を持っていた。

 順調にレベルやステータスが上がれば、どんな魔法でも打ち消すことの出来る力になるかもしれないとリーネも告げていた。


 そんなこんなで次に進むのだが、神格召喚と召喚魔法では難航することになる。


「しんかくしょうかん? の使いかた、わからないよ」


 そのルナリアの発言通り、彼女は神格召喚の使用方法を知らなかった。

 トモヤとリーネの二人はふーむと頭を悩ませる。


「ルナ本人が分からないんじゃどうしようもないな。俺の鑑定でもどんな能力か分からないし」

「うん、ひとまずこちらを確かめるのは後にしてもいいだろう。召喚魔法の方に移ろう」


 この時点でのミューテーションスキルの使用は諦めることにする二人。

 最後に、召喚魔法を試すことにした。


 召喚魔法――魔法陣を媒体とし世界中から魔物などを召喚する魔法。

 魔物の強力さ、使役できるか否かはスキルレベルと本人の性格に委ねられる。

 “スキル外の要因”によって左右されることの多い力だ。


「ちなみに魔法陣が描かれた魔法紙は事前に買っておいたから問題はない」

「市販品なんだ……」

「中には自作にこだわる人もいるが、初級用などは基本的にはそうだな。ルナ、これを使ってみてくれ」

「わかった!」


 リーネから差し出される一枚の紙をルナリアが受け取る。

 その紙に書かれているのはゲームなどでよくみる円形の幾何学模様だった。

 その魔法陣に、呼び出したい魔物の条件を頭で思い浮かべながら魔力を注ぎ込むことによって召喚魔法は発動する。


「一応訊くけど、ルナはどんな魔物を呼び出したいんだ?」

「うーん、一緒にいて楽しいひと!」


 魔物は人じゃないんだけどなーと思いつつもルナリアの意思を尊重するトモヤ。

 そう、そのルナリアの回答がこの後に何を引き起こすかなど、この時のトモヤには知る由もなかった。

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◇『ステータス・オール∞』3巻の表紙です。
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