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133 お礼はどうなるんすか? フラーゼ編

話の最後に重大発表があるのでお楽しみに!

「トモヤさん、そろそろあたしの番っすね!」

「フラーゼか、どうしたんだ急に」


 ルナリアとアンリが腕によりをかけて作ってくれた夕食を美味しく頂いた後。

 ラウンジで寛ぐトモヤとシアのもとに、元気よく一人の少女がやってきた。

 140センチほどの背丈に、可愛らしい容姿。

 琥珀色の髪を首元まで伸ばし、レザー製の服装に身を包む少女――フラーゼだ。


「いえ、そろそろあたしが呼ばれてる気がしたんです。さあさあトモヤさん、せっかくですし愛を育むことにしましょう!」

「最初っから最後まで全く意味が分からない」


 フラーゼが訳の分からないことを言うのはいつものことだが、今回に限っては少し様子が違う。

 冗談ではなく、心の底から出た言葉のようだった。


 ふむ、と。トモヤは少し考える。

 いつもなら一蹴するところだが、今回フラーゼにはルナリアへの誕生日プレゼントである宝石カメラの作成に協力してもらった恩がある。

 確かに何かしらのお礼をするべきだろう。

 愛を育むだとかはよく分からないが。


「まあいいか、確かにフラーゼには世話になったしな。俺にできることなら何でも言ってくれ」

「な、何でもっすか!? 言いましたね!? 男に二言はないんすね!?」

「ちょっと反応が怖いから、やっぱり何でもはなしで――」

「なるほど、いいことを聞いた」


 トモヤが訂正するよりも早く、これまで無言を保っていたシアがこくりと頷く。

 彼女は深い青色の瞳をきらきらと輝かせてトモヤを見る。


「トモヤは言った。ルナリアを助けた時、私とリーネにありがとうと。つまり私は、トモヤの役に立った。私もお礼してもらう権利があるはず」

「……そう言われてみれば、確かにそうかも?」

「ちょっとシアさん、あたしの出番を奪わないでくださいっす! せっかくこれからいちゃいちゃタイムに突入するところだったのに!」

「ふふ、そう簡単に、私を出し抜けるとは思わないこと」

「かつて見たことのないような笑顔!? ていうかやっぱり、シアさんもトモヤさんのことを……」

「……ぐっ」

「くっ、まさかのライバルが登場するなんて! リーネさんだけでもすごく高い壁なのに!」


 わいわいがやがやと、シアとフラーゼは二人で騒ぎ始める。

 もう自分はいなくていいかな、と思い立ち上がるトモヤだったが――


「「どこに行く(んすか)」」


 ぐっと、二人に腕を掴まれて動きを止められる。

 どうやら逃げられはしないようで、トモヤはふっと一つ息を吐いた。


「で、結局してほしいことは決まったのか?」

「そ、それはこの場で言うのはちょっと、というかっすね?」

「いったい何を言おうとしているんだ……」

「私は――」


 フラーゼがもじもじとしている横でシアが発言しようとした瞬間だった。


「お姉さまはいますか?」

「……メルリィ?」


 メルリィが焦った様子でラウンジにやってくる。

 どうやらシアを探していたようだ。


「メルリィ、どうかしたの?」

「それがですね、お姉さま……少し一緒に来てもらってもいいですか?」

「それはもちろん構わない……トモヤ、フラーゼ、そういうことだから」

「ああ、行ってらっしゃい」


 焦っているとはいっても、そこまでまずいことが起こっているというわけではなさそうだ。

 トモヤは安心しながら、二人に手を振って見送る。


 しかしこうなると、この場にはトモヤとフラーゼしか残っておらず――


「……トモヤさん、ようやく二人っきりになれたっすね」

「ッ」


 音もなく真横にいたフラーゼの言葉に、ドクンと心臓が高鳴る。

 一体何を言われるのかと身構える。

 だが、フラーゼがトモヤに告げたのは、予想とは異なる言葉だった。


「トモヤさん、あたしの知らない技術について教えてくれないっすか?」

「……え?」


 一瞬、言葉の意味を呑み込むことができず首を傾げてしまう。

 フラーゼは両手の人差し指をちょんちょんと合わせ、顔を赤く染める。


「べ、べべ、別にひよった訳じゃないんすよ? ただ、あたしはお礼とかじゃなく心からトモヤさんの愛情を受けたいわけで――って、何言ってるんすかね! 忘れてください、トモヤさん!」

「……フラーゼ」


 トモヤは正直、驚いていた。

 どうやらフラーゼは冗談などではなく、トモヤのことを好いてくれているようだった。

 その思いに応えることができるか、今この場で返事をすることはできないが、真正面から受け止める覚悟だけはできた。


 トモヤは考えをまとめたあと、フラーゼの発言を振り返る。


「それでフラーゼの知らない技術を教えるって、具体的にはどうすればいいんだ?」

「それはあれです! 先日作った宝石カメラみたいに、あたしが知らない物なんかの発想が欲しいんです! どんなものでも作ってみせますから」

「そうか。それだったら……」


 トモヤはフラーゼの願いに応えるべく、日本に存在した様々な機械や、終焉の剣から記憶参照した様々な技術について伝えていく。

 フラーゼは一つ一つを真剣に聞き、仕組みが分かるごとに楽しそうに笑った。


「なるほど、本当にトモヤさんは物知りっすね! じゃあ、さっそく作ってみるっす!」

「ここでか? ……って、もう聞いてないな」


 さすがは職人というべきか。

 一度集中したら外の声は聞こえないらしい。

 フラーゼは簡素な鍛冶道具を用い、その場で作業を始める。


 すぐにここから離れる気にもなれず、トモヤはじっとその光景を眺めていた。

 フラーゼの深い琥珀色の瞳はトモヤではなく作業物だけに向けられている。

 その横顔を見て、心から思った。


「……綺麗だな」


 これまでは背丈や言動から、どちらかというと子供のように可愛いという印象が強かった。

 けど、鍛冶師としてのフラーゼが纏う雰囲気は、まさに見とれてしまうほど綺麗なもので。


「……トモヤさん、聞こえてるっす」

「っ、フラーゼ!?」


 どうやらまだ完全には集中しきってなかったらしい。

 フラーゼは耳を赤く染め上げ、照れくさそうにそう呟いた。


 不思議な空気が流れるその空間を、トモヤとフラーゼは二人で過ごしていくのだった。

さて、この度本作『ステータス・オール∞』の2巻がヒーロー文庫様より発売されることになりました。

発売日は2019年11月30日です。

下の画像にもあるように、イラストレーターのシソ様が素晴らしいイラストを描いて下さいました。

シアとメルリィの表紙だけでも感無量ですが、2巻の中にはリーネやルナとの海水浴シーンが含まれています。


……後は言わなくても分かるな?


というわけで、ぜひ興味を持っていただけた方は読んでみてください。

2巻の詳しい説明を見たい方は、活動報告の方にも来ていただけたら助かります。

あと、喜びの声を感想なんかで聞けたらもっと嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします!

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◇『ステータス・オール∞』3巻の表紙です。
↓からホームページに飛べます。よろしくお願いいたします!
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