ホロカードと問い
問いかけに反応しないとマズイと思った英治は振り返り……。
反応しないと却って怪しまれる、そう思い英治は振り返った。
そこには銀色の髪でガタイのいい男が立っている。
「いや……聞こえてる。タダいきなり声をかけられて驚いた」
なるべく見下されないように英治は口調を強めに発言した。
「なるほど……まあいい。そんで、ここで何をしていた?」
「町をみて歩いている。だが疲れて、ここで休憩してた」
「よそ者か……珍しい。すぐに町を出てくのか?」
そう問われ英治は首を横に振る。
「来たばかりだ。少しみてから町を出ていくつもりでいる」
「じゃあ寝泊りする所は必要だよな? どうだ! そんなに急ぐ旅じゃなければ、ウチにこいよ!」
「ありがたい誘いだが、あまり人と馴れ合いたくない」
そう言い英治は目の前の男から視線を逸らす。
「なんか訳ありみてえだな。まあいい……気が変ったら連絡しろ」
そう言い男はカードを英治に渡した。
受け取った英治はカードをみて首を傾げる。
「何も書いてない。どうなってるんだ? それに、こんなカードで……どう連絡をする?」
「まさか……知らないのか? どんな辺鄙な所から来たんだ?」
顔をひきつらせ男は英治を半目でみた。
「辺鄙……まあ、そうかもな」
何も言い返せず英治は苦笑する。
「しょうがない。使い方を教えてやる」
その後、英治は男からカードの使い方を教わった。
使い方はと云うと……。
カードの右側に【星マーク】のスイッチがある。それに触れるとホログラムが現れて持ち主の名前など表示されるのだ。
連絡をする時は、ホログラムで浮かび上がっている【連絡】に触れればいいのである。
「なるほど、そう使うのか……便利なもんだな」
「本当に……何も知らないんだな。じゃあ余計に助けは必要なんじゃないのか?」
「そうかもしれないな。だとしても必要ない……今は一人で行動したいんだ」
真剣な表情で英治は目の前の男をみた。
それを聞き男は「分かった」と言い頷き英治へ視線を向ける。
「そうそう……ホロカードを持ってないなら名前聞いておかなきゃな」
名前を聞かれ英治は教えた。
その後ベイジスは「じゃあ、またな」と軽く手を振り外へと向かい歩き始める。
それを確認した英治は男からもらったカードを再び操作し始めた。
(名前は、ベイジス・イデグ。年齢……二十二か。見た目よりも老けてる。それにしても、あの風体で青派の幹部とはな)
ベイジスが出て行った方へ英治は視線を向ける。
(できれば関わりたくない。恐らく……ベイジスは強いと思う。
そばに居ただけで、どうい訳か鳥肌が立った)
ブルッと身を震わせ英治は、もう二度と逢いたくないと思いながら隠れる場所を探す。
「体が隠れる程度の瓦礫……アレにするか」
丁度よさそうな瓦礫をみつけて英治は身をひそめ隠れる。
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暫く待っていた英治は何もすることがなくて暇で眠ってしまっていた。
「……エイ――…………エ――……――ジ――……エイジ起きて……」
そう言いティラベルは英治の体を揺する。
「ん……――ん? ティラベル、か」
眠たい目を擦りながら英治はティラベルへ視線を向けた。
「吞気に寝てた。緊張感なし……これは強者の証なのか」
「何を訳の分からないことを言ってるんだ。それよりも確認とれたのか?」
「うん、バッチリ。但し信用できるか試すって」
そう言われて英治は不安になるも「分かった。それが当然だろう」と頷く。
「それで……試す場所は何処なんだ?」
「待ってて……外で待ってるから連れてくる」
英治が頷いたのを確認するとティラベルは外へと向かった。
(ここで何をする気だ? 信用できるかをって……どんなことをするつもりなんだ?)
そう考えていると英治の前に赤い髪の男が姿をみせる。
この男の名はルゼリウス・ゴレムと云い、二十歳だ。そして、ティラベルの言っていたリーダーである。
「お前がティラが言っていたヤツか?」
上から目線で言われ英治は、ムカつくも堪えた。
「そうじゃないのか。それで……試すって、どうする気だ?」
「……まあ待て、そう焦るなよ。それよりも、お前……何もんだ?」
「タダの旅の者だ。聞きたいことはそれだけか?」
そう英治が問うとルゼリウスは、ニヤリと口角を上げる。
「いや、まだだ。何処から来た?」
「言わないといけないのか? まあ、そうだとしても……教えるつもりなんかない」
「なるほど……まあいい。それよりも、ここに青派のベイジスが来てたみたいだな。何を話していた?」
そう聞かれて英治は悩んだ。そう誤魔化すか事実を話すかをである。
(ここで誤魔化したら却って疑われるんじゃないのか? それに事実を話しても問題ないだろう。タダ信じてくれるかだが)
考えが纏まると英治は、ベイジスに言われたこととホロカードのことを話した。
「ベイシスの誘いを断ったのか?」
「ああ、そもそも面倒なことには関わりあいたくない」
「ん? 面倒ごとが嫌ってことか……じゃあ、オレ達の助っ人になる話もか?」
ティラベルの話と食い違いルゼリウスは困惑していた。
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