二つ派閥について
青派と赤派のこと聞いた英治は……。
ティラベルの話を纏めると、この町には青派と赤派による二大勢力が存在し争いが絶えない。
青派の方は元貴族で位の高い者たちが同じ思想の者を集め束ねている。
その思想とは町を復活させ活気を戻すことだ。でも、それを成すには莫大な資金や物資が必要になる。
それだけじゃなく他にも必要な物を色々揃えなければならない。
まあ、これらは殆ど元貴族の者たちが昔のように優雅な暮らしをしたいためだ。
片や赤派は平民上がりの元傭兵などの軍関係の者たちがトップにいる。だが今では、ならず者の集団と化している派閥だ。
この派閥は町を立て直すにあたり娯楽施設を排除して大規模な軍事施設を造ろうとしている。
まあ、ないよりはあった方がいいのだろうが関係ない者にとってはいい迷惑である。
「そういう事か。ティラベルは、どっちの派閥なんだ?」
「どっちでもない」
「ってことは他にも派閥があるのか?」
そう問いかけられティラベルは首を横に振った。
「あるのは、その二つの派閥だけ。タダどっちの派閥にも属してない者たちも居て一緒に行動してる」
「どうしてだ?」
「どっちについても自由がなくなる」
それを聞き英治は、なんで自由がなくなるのか分からず困惑する。
「意味が分からない。自由なんて自分でどうにかできるもんだろ?」
「頭大丈夫? どっちが主導権をとっても死の苦しみしかない。平民は奴隷同然に扱き使われるだけだよ」
「軽く傷つくぞ、その発言……まあいいか。でも分からないんじゃないのか?」
首を横に振りティラベルは、ハァーっと溜息をついた。
「どこから来たのか知らないけど……余程、治安に恵まれた場所にいたんだね」
「そうかもしれない。だけど誰かが町を纏めないと駄目なんじゃないのか?」
「その通りだよ。でも、あの両派閥のトップはクズ」
ティラベルにクズとまで言わせる両派閥のトップのことが気になり始める。
「そんなに酷いのか?」
「青派のセリュウブ・ハンメルゲは自分よりも地位が低い者に対し見下した態度をとる」
一息つくと再び口を開いた。
「赤派のゴルトス・ルイベは戦闘マニアで弱い者を見下し歯向かう者を容赦なく処刑」
「そんなヤツラが率いているって訳か。それで俺に、ソイツラをどうにかしてほしいってことか?」
そう問いかけられティラベルは、ウンっと頷いた。
「もしボク達を助けてくれるなら、リーダーと仲間たちにあってほしい」
「俺の力で、どうにかできるか分からない。それでもいいって云うなら手伝う。それに、リーダーってヤツにも逢いたいし」
「リーダーいい人、だよ。エイジも気にいると思う」
そう言いティラベルは、ニカッと満面の笑みを浮かべる。
「そうか。そんなにいいヤツなら逢ってみたいよ」
そうは言うものの英治は、そのリーダーのことを警戒していた。そう逢ってみないことには人の也なんて分からないからだ。
それに良い人ぶっていても裏の顔を持っている可能性もあるからである。
「良かった! ここで待ってて……すぐに戻るから」
「確認とってくるのか?」
「うん……許可をもらわないと。そうだ! さっき渡した魔道具、二つ共あげる。また購入すればいいから」
そう言いティラベルは使い方を説明する。
「助かる、ありがとう。それにしても、かなり用心深いんだな」
「青派と赤派の両方にみつかると厄介。だから気づかれないように、ボク達は行動してる」
「そうか……色々と大変そうだ。そのことも踏まえて、そのリーダーにあって詳しく聞いた方がいいだろうな」
無作為に遠くをみたあと英治は、ティラベルの方を向いた。
その後、ティラベルは外を警戒しながら仲間たちの待つアジトへと向かう。
その間、この場を動けなくなった英治は暇になり何をして待っていればいいのかと思考を巡らせる。
(寝てるか? でもティラベルの話だと結構……物騒らしいしな。何かをしながらって言っても……思い付かない。
こんな時、漫画や小説……スマホかタブレットなんかあれば暇をつぶせるのになぁ)
そう思いながら英治は自分の掌へ視線を向けた。
(スマホ……創れるのか? タブレットのようなプレートは具現化できた。
一番いいのはプレートを創りかえるのが理想だ。とりあえず調べてみるか)
鞄に仕舞っておいたガラス製のプレートを取りだし検索し始める。
(……創りかえは無理か。そうなると……新たに創るしかない。でも、スマホやタブレットを具現化できるのか?
できたとしても小説や漫画、アニメなどの動画を再生できるとは限らないぞ。だけど…………何かの役に立つかもしれないし)
創るかどうするのかを悩んでしまった。
「お前……ここで何をしている?」
「……!?」
背後から声をかけられるも英治は振り返ることができない。
そうティラベルが言っていたリーダーに逢うまでは厄介ごとを起こしたくなかったからだ。
「なぜオレが声をかけたのに振り返らねえ……それとも耳が悪いのか?」
そう問いかけられ英治は、どうしようかと思考を巡らせていた。
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