アホ……AH、アーマードヒューマン
建物の外に出た英治はルゼリウスを狙っているAHを具現化した短剣で攻撃したが……。
建物外に出た英治は、ルゼリウスの方へ視線を向けた。
(コッチに寄せつけないように、ルゼリウスが食い止めてくれてる。俺は、どう戦う?
何も考えないで来たからなぁ。だけど……戦わなきゃ)
そう思い英治は短剣を妄想し具現化させる。
その短剣をルゼリウスを攻撃しようとしているアンドロイドのようなヤツに投げつけた。
短剣は物凄いスピードで空をきり、アンドロイドのようなヤツの頭へと刺さる。
アンドロイドのようなヤツに刺さった短剣は、パッと消えた。
「ブッ、ギィギ……ギャ…………」
奇妙な言葉を発しアンドロイドのようなヤツは、バタンと倒れる。と同時に近くにいるアンドロイドみたいなヤツの視線が一斉に英治へと向けられた。
(倒せた!? 思ってた以上に、やれるかもしれないぞ)
そう思い英治は、ルゼリウスの方を向き見据えた。
「エイジ……なんで来た?」
振り返りルゼリウスは英治の方へ目線を向ける。
「一緒に戦うために決まってるだろ。何ができるって訳じゃないけど……除け者にしないでくれ」
「そんな、つもりなんかない。タダこれは、お前を護るためなんだ!」
「意味が理解できない」
二人が揉めているうちにもアンドロイドのようなヤツら……いや、アーマードヒューマン達は英治の方へと警戒しながら歩み寄って来ていた。
どうやら英治を攻撃するつもりはないようである。
そうそうアーマードヒューマンとは人間が改造されて人間型ロボットと融合した存在だ。まあ要は、サイボーグのようなものである。
因みに略してAHと云いアホと呼ばれているのだ。
「コイツらの目的は、エイジ……お前なんだよ!」
「訳が分からない。なんで俺なんかを?」
「アイツらにとっても、お前の存在は特別ってことなんだろうな」
そう言われるも英治は理解できずにいる。
「ええ、そうよ。そう……貴方の名前は、エイジというのね」
そう言われ驚いた英治とルゼリウスは警戒しながら声のした方を向いた。
「あら……驚かせてしまったようね」
「お前……人間にみえるが、アホなのか?」
なぜルゼリウスが、そう聞いたかと云うと人間に近いAHは珍しいのである。
「……その呼び方、嫌いなのよね。でも、まあいいわ。それよりもワタシは、エイジに用があるのよ」
そう言いAHの女性は英治へと歩み寄ろうとした。
「待て!? エイジに近づくな!」
そう言いルゼリウスは、AHの女性の行く手を遮る。
「邪魔よ!!」
そう言い放ちAHの女性はルゼリウスの体を薙ぎ払おうとした。
それを軽々と避けルゼリウスは金属製のブーツを履いた脚で思いっきりAHの女性の頭部を蹴ろうとする。だが避けられ空振りしてしまった。
「クソッ!」
「頭部を狙ってくるなんて、ワタシ達との戦闘経験があるみたいね」
「ああ……この町にくる前にな」
そのやり取りをみて英治は意味が理解できずに戸惑っている。
(状況がのめない。そもそも俺に用って、どういう事なんだ?)
そうこうしているうちに周辺をAH達が囲んでいた。
「そう、そういう事なのね。じゃあワタシ達のことを理解している……まあ、それだけのようなので手出しをしなければ見逃してあげてもいいわよ」
「見逃してくれなんて思っていない。お前たちの目的はエイジの捕獲なんだろ!?」
「ええ、そうよ……それが我らが神である、マザーの望みなの」
そう言いAHの女性は英治の方へ視線を向ける。
「……理解できない。だけど……そもそも、なんで俺を捕獲しようとしているんだ?」
「フフッ……貴方は、この世界の人間じゃない。それも特別な能力を持っている。そのことに対して同時に興味と恐怖の感情を抱かれているわ」
「そのことを知っているってことは……俺が、この世界に来た時……既に気づかれてたのか」
そう問われAHの女性は頷き笑みを浮かべた。
「そうだとしても、なんで今頃きたんだ?」
「マザーは悩まれていたのよ。貴方の処遇をどうしようかとね」
「なるほど……それで俺をどうするつもりなんだ」
徐に近づいてくるAHの女性に対し英治は、その歩数分だけ後退する。
「逢って直に話をして判断。その後、貴方の処遇を決めたいと言っているわ」
「そうなると、ここを離れることになる」
「エイジ、まさか行くつもりなのか?」
そうルゼリウスに言われ英治は首を横に振った。
「行くつもりなんてない。やらなきゃならないことがあるしな」
「そう、それが貴方の出した答え……それなら強引に捕らえるしかないわね」
そう言いAHの女性は英治に飛びかかろうとする。
咄嗟に英治は避け瞬時に鉄の棒を妄想し具現化させた。と同時にAHの女性を鉄の棒で思いっきり殴る。その後、鉄の棒は瞬時に消えた。
AHの女性に命中し数メートル後退させる。だが実際、英治はAHの女性の頭を狙ったのだがかわされたのだ。
「ホント……凄い能力ね。どうやって具現化させてるのか興味深いわ」
そう言い英治の方へ再び近づこうとしている。
それに対して英治とルゼリウスは身構え警戒していた。
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