急転
ティラベルに起こされた英治は今起きていることを告げられて……。
……――英治は目を擦りながら瞼を徐々に開き天井をみつめた。
(まだ眠い……もう少し寝てから起きるか)
そう思い瞼を閉じる。
(ライオネル……もっと話をしたかった。そういえば、なんであんなことを言ったんだ? これから何か起きるって云うのか、よくわからない。
まあいいか……後悔しないように前に進めばいいんだよな)
そう思考を巡らせているうちに英治は何時の間にか眠ってしまった。
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「……――エイ……エイジ……起きて! 大変――――早く――お願い……」
そうティラベルの声が聞こえ体をゆすられた英治は何があったんだと驚き飛び起きる。
その拍子に英治とティラベルの顔が激突した。
「イターイ! それに……まあいいか。ラッキーだし」
そう言いティラベルは、ニタァっと笑みを浮かべ唇を軽く触った。
「ごめん……あーまあ、うん……これは事故だ。そうだ……そうそう」
英治の頬が仄かに赤いようにみえる。
「って、それよりも大変て何かあったのか?」
「あっ、こんなことしてる場合じゃなかった。ルゼリウスが……ううん、ルゼリウスの所に急いで行って!」
「その様子だと……両派閥が動いたのか? それともキートモンの町のヤツラが……」
そう問いかけられティラベルは首を横に振った。
「違う……みたこともない軍隊。赤派と青派に、キートモンの町の方にも沢山」
「みたこともない軍隊って……何者か分からないのか?」
「ボク達はみたことない。でも、ルゼリウスは知ってた」
そう言いながらティラベルは今にも泣きそうである。
「その様子だと……状況は悪いのか?」
「うん、だから……急いできて」
そう言われ英治は、ベッドから下りて鞄から必要なガラス製のプレートと液晶ディスプレイを取り出した。
「分かった。ルゼリウスは今どこに居る?」
「この建物の外。カゼリアや仲間たち、この敷地を分担して戦ってる」
「だけど、なんですぐに起こさなかった?」
俯きティラベルは、ツラそうな表情である。
「ルゼリウスが、エイジには言うな……って」
「どういう事だ?」
「外に出すな……今は、エイジのことを隠しとおせって……そう言ってた」
それを聞くも意味が分からず英治は困惑した。
「まあ……そうだな、その意味を考えている暇……なんてないか。とりあえず……向かった方がよさそうだ。俺に何ができるか分からない。だけど、タダこうしているだけなんて嫌だ」
そう言い英治は速足で扉の方にくると開けて廊下へとでる。
「エイジなら……そう言ってくれるって思った。急ごう……」
笑みを浮かべると、ティラベルは英治を追いかけた。
廊下へと出た英治は建物外に向かうため駆け出して、そのあとをティラベルが必死についていく。
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建物の外に出た英治は信じられない光景を目の当たりにする。
そうそこには人間ではない存在が居て、ルゼリウスと戦っていたからだ。
それをみた英治は何が起きているのか理解できずにいた。だが今ティラベルを表に出すのは危険だと判断し建物の方へ向きを変える。
すかさず英治は建物の中へ入りティラベルがくるのを待った。
(ハァハァ……アレはなんだ? ロボット……いや違う。武装した人間のようにもみえるが、アンドロイドなのか?)
そう思っているとティラベルが息をきらしながら英治のそばまで駆けてくる。
「早い……だけど、エイジ。なんで……外に行かない?」
「外に出たけど……戻ってきた」
「どうして……何かあったのか?」
不安に思いティラベルは英治をみつめた。
「ティラベル。外には出ないで、ここに居て待っててほしい。そのことを伝えたくて……戻ってきた」
「なんで……女だから? ボクは戦えるよ」
「それもある、だけど……それだけじゃない。今ルゼリウスが戦っているヤツらは恐らく人間じゃない」
それを聞くもティラベルは納得できずにいる。
「それなら一人でも多い方がいい」
「そうかもしれない……だけど、ティラベルを俺は護ってやれない」
「心配してくれてる。そうか……じゃあキスをしてくれたら、ここで大人しく待ってる。それに、さっきのは……事故だったし」
顔を赤らめティラベルは英治をみつめたあと瞼を閉じた。
(ティラベルのことが嫌いなんじゃない。でも、どうしたら? したくない訳でもないし……そうだな、このあと何があるかわからないか)
後悔しないでと云うライオネルの声が聞こえたように思え英治はティラベルを抱きしめキスをする。
その後すぐ英治は、ティラベルから離れ背を向けた。
なぜ背を向けたかと云うと英治は恥ずかしくてティラベルの顔を真面にみれなかったからである。
「こ、これでいいだろ」
「うん……ありがとう」
そう言いティラベルは英治に抱きつき背中に顔を埋めた。
「待ってるからね、エイジ。無理だと思ったら戻って来て」
「ああ、そうする。その時は……ルゼリウスも連れ戻すよ」
それを聞いたティラベルは英治から離れる。そして扉を開けて外へ向かう英治の背中を心配に思いみていた。
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