マザーAIと仮眠
AIシステムについてルゼリウスが説明し始め英治は……。
ルゼリウスは苦痛の表情を浮かべていた。
「エイジ……お前からみても、あのAIがいい物にみえるのか?」
「違うのか? 俺は……まだみていないし触れてないから、よく分かっていない」
「なるほど思い込みで言ったって事か。まあ実際……あのAIをみれば今のようなことは言えなくなるだろうけどな」
それを聞き英治は軽はずみで言ったことに対し申し訳ないと反省する。
「そうだな……悪い」
「謝らなくてもいい。お前は悪気があって言った訳じゃないしな。そうだな……この事について話しておくか」
そう言ったあとルゼリウスは話し始めた。
「全てのことを話すと長くなる。だから必要な最低限のことだけを伝えておく」
真剣な表情でルゼリウスは英治をみて再び語り始める。
その内容とは現状のAIシステムについて分かっていること。そのAIが何処から指令を受け稼働しているのかとかを、ツラそうな表情で話した。
「マザーAIが存在して、それは帝都デモルドにある。ってことは、ここにあるのって?」
「ここにあるヤツは、マザーから指令を受け動く子機のようなものだ」
「でも操作は、コッチでも出来るんだよな?」
そう問われルゼリウスは頷き言葉を選んで再び口を開き話し始める。
「勿論、操作できる。だが最終的に答えを出して指令を下すのはマザーだ」
「そういう事か。でもルゼリウス達も、その動力が欲しいんだよな?」
「オレは本当なら反対だ。それでも……この世界で生きていくには必要だからな。だけど……」
そう言ったあとルゼリウスは英治を見据えた。
「……今はエイジの具現化させた発電機がある。それさえあれば、なんとかなるはずだ。そっれに、これから必要な物を創ってもらえるからな」
「だけど……具現化できる物は限られている」
「レベルが上がれば、なんとかなるんじゃないのか?」
そう言われ英治は苦笑する。
「まあ……そうかもしれない。でも、まだ分からないからな」
「もっと自信を持てよ……凄い能力を持ってるんだからな」
「そうだな……できるだけそうする。でもルゼリウス達の期待に応えられるかは分からない」
相変わらず自信を持てない英治はルゼリウスの言葉を素直に受け取れなかった。
「さっきも言ったが、お前は間違いなく神の使いだ。その具現化できる能力があれば、ヤツラとも対等に戦えるかもしれない」
「ヤツラって……青派や赤派のことか?」
「いや……もっと大きな勢力のことだ。今は言えないけどな。どこで監視されているかわからないし」
なんとなく臭わせるような口ぶりでルゼリウスは言い周囲を見回している。
「何か……そうか、そうだな。余計な話はできない」
「ああ、そういう事だ。そろそろ横になって休んだらどうだ?」
「そうだった。仮眠するために、ここへ来たんだよな」
その後、英治はルゼリウスからベッドの操作方法を聞いた。そしてベッドに横になる。
「何か更に動きがあったら起こしてくれ」
そう言われルゼリウスは「ああ分かった。あとは任せろ」と言い笑みを浮かべ部屋の外へと向かった。
✽✦✽✦✽
ここは英治の部屋の外側の廊下だ。
扉の脇の壁に寄りかかりルゼリウスは目お閉じ腕を組んでいる。何かを思いつめているような表情をしていた。
(今はユックリ休んでくれ……――――……お前の存在……何れ、この世界にとって必要になる。
いやヤツラにとっては脅威となるだろうがな。んー……今までのことを監視されていたら気づいたかもしれない。
まあエイジなら大丈夫だろう。それに……俺が居なくてもな)
微かに笑みを浮かべ、ルゼリウスは壁から離れた後ティラベルとカゼリアの待つ自分の部屋へと向かい歩き始める。
✽✦✽✦✽
場所は戻り英治の部屋だ。
英治はベッドに横になり色々と思考を巡らせている。
(監視……恐らくはAIだろうな。そうなると俺の存在も認識されたってことか?
そういえば聞いてなかったけど……全ての人間の管理ってAIがやってるのか? 起きたらルゼリウスに聞いてみればいいか)
天井を眺め英治は何かを妄想したようだ。
すると手元が光って一冊の本が具現化される。
「下手に妄想しない方が身のためかもな」
そう言い手元の本を持ち中身をみた。
その本はエロ本である。ってことは勿論、中身は……まあそういう事だ。
(こんなのティラベルやカゼリアにはみせられない。あとでコッソリ、ルゼリウスにもみせてやるか)
そう思い起き上がると床に置いた鞄の中に本を仕舞った。そのあと再びベッドへ、ゴロンと横になる。
(それにしても、この世界に来たそうそう色々なことがあったな。ティラベルと逢い、ルゼリウスを紹介してもらって……カゼリアとも出逢えた。
色んな物を具現化した。これで何もなく平和だったらいいんだろうけど、それは無理だろうな。まだ今は青派も赤派も、ここにくる気配がない。
だけど何れは、ここへくるだろうな。キートモンの町の方も……気になる)
そう思考を巡らせながら英治は何時の間にか眠ってしまった。
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