表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/114

58 LINE


夜の街はすっかり静まり返っていた。

俺は寄り道もせず、真っ直ぐ家に帰った。

外の冷たい風が少し熱を持った頬に心地よく、

早くベッドに倒れ込みたい気分だった。


玄関を開けて靴を脱ぐと、ふっと力が抜けた。

やっぱり、少し体が重い。

風邪気味なのかもしれない。


「店長からもらったパスタ、食べておこうかな」


そう呟きながら、キッチンで温め直したパスタを一口。

トマトソースの香りが鼻をくすぐり、

思った以上に優しい味がした。

食べ終えると、薬箱から風邪薬を取り出し、

コップの水で流し込む。


ベッドに体を横たえると、

スマホの明かりだけが部屋をほんのり照らしていた。

静かな部屋の中で、ひなの顔がふっと浮かぶ。


(そうだ、ちゃんと報告しておかないと)


俺はスマホを手に取り、

ゆっくりとLINEのメッセージを打ち始めた。


いま、家だよ。

ご飯も食べ終わった。

店長から差し入れもらった。


送信して間もなく、ひなから返信が来た。


お疲れ様。

よかったね。

どう? 体、大丈夫?


その言葉に、自然と口元が緩んだ。

(ほんと、優しいよな……)


うん。問題ないよ。


少し間を置いて、またひなからメッセージが届いた。


シュウ、テレビ電話にしようか?


その提案に、心臓がドキッとした。

(顔見たら、また照れくさくなるな……)

でも、ひなの声が聞きたくて。


いいよ。


そう返してスマホを持ち直すと、

画面の中で着信マークが優しく光り始めた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ