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使えないと追い出された生活魔法使い、無限の魔力で生活無双  作者: 九頭七尾


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第52話 狩人なのに解体は嫌いだから

「魔物っ? た、確かに、言われてみたら近づいてきてるかも……っ!」


 狩人のレーヴァも魔物の接近を察知したみたいだ。

 直後、通路の先に姿を現したのは、一羽の鳥だった。


「「「ニワトリス!」」」


 その名の通りニワトリそっくりの鳥の魔物である。

 背丈が一・五メートルほどあるため、大きさはニワトリとは比較にもならないけど。


「コケコケコケッ!!」


 鳴き声もニワトリそっくりだ。


 ニワトリスは正直、それほど強い魔物じゃない。

 このダンジョンの地下1階に出没するくらいだしね。


 性格も臆病なので、街の近くに現れても放置されることも珍しくない。

 ただ、中には積極的に狩る冒険者も多い。


 というのも、


「ニワトリスって結構、美味いって話だぜ!」


 そう。

 その肉が食用にできるのだ。


「いきなり遭遇できるなんてラッキーだ! おれたちの最初の獲物に決定だな!」


 アルクが剣を抜き、ニワトリスに躍りかかった。


「コケェッ!?」

「って、こいつ、逃げた!?」


 だけどニワトリスは即座に踵を返したかと思うと、猛スピードで逃走してしまう。

 先ほど臆病な性格と言った通り、すぐ逃げてしまうのだ。


「しかも速い!?」

「に、逃げられちゃいます……っ!」

「任せなさい!」


 このままではせっかくの獲物を取り逃がしてしまうと思われたそのとき、アルクのすぐ脇を一本の矢が通り抜けていった。

 狩人のクーヴァが放った矢だ。


 さすがの腕前で、そのままニワトリスの背中に突き刺さる。


「コケエエエッ!?」


 どうやら致命傷を与えたようで、鳴き声を上げながら地面にひっくり返るニワトリス。


「貰ったあああっ!」

「コケッ――」


 ようやく追いついたアルクが、トドメとばかりにニワトリスの首を刎ねた。


「よし、鶏肉ゲットだぜ!」

「ちょっと、なに自分の手柄みたいな空気だしてんのよ? 私がいなかったら余裕で逃げられてたわよ?」

「で、でもこんな大きな素材、持ち帰るだけで大変そうです……」

「確かにな。食材にできる箇所だけを切り分けて持ち帰るとするか。クーヴァ、できるか?」

「できるけど……あんまり好きな作業じゃないのよね。血で汚れるし」

「あはは……クーヴァちゃんは、狩人なのに解体は嫌いだからね……」


 クーヴァがしぶしぶながらニワトリスの解体を始めようとしたところで、僕は彼女を呼び止める。


「待って。ここは僕に任せてよ。サポート要員の本領を見せてあげるから」

「任せてって……解体できるの?」

「うん。解体だけじゃないけど……まずは〈食材切り〉」


 通常の何十倍もあるニワトリスの身体が、一瞬で部位ごとに切り分けられた。


「「「は?」」」

「続いて〈小物収納〉」


 唖然とするアルクたちを余所に、僕は食材として利用できる部位だけを〈小物収納〉で亜空間に保存していく。


「「「消えた!?」」」


 驚く彼らに僕は種明かしをした。


「〈食材切り〉に〈小物収納〉。どちらも僕の生活魔法だよ。ちなみに亜空間の中は時間が進まないから、生鮮食品が腐る心配がないんだ」

「せ、生活魔法にそんな便利なやつがあったんだな……」

「そういえば、さっき魔物をいち早く発見してたけど、あれは何だったのよ?」

「それも生活魔法だよ。〈注意報〉っていう魔法で、発動しておくと近づいてくる魔物を教えてくれるんだ」


 さらに僕は最近、習得したばかりの〈道案内〉を使ってみた。


「なるほど、矢印で正しい道順を教えてくれるわけね。この先にある最初の分かれ道を右、その次を左、それからずっとまっすぐ進んで、突き当りを右。これで次の階層に続く階段に辿り着けるはずだよ」

「そんな魔法まであるのか!? 生活魔法使いって意外とすごいんだな!?」

「く、クーヴァちゃんの役割が、どんどん無くなってく……」

「ちょっとコレッタ、それは言わないでよ」


 アルクが興奮したように言う。


「火力役にできないのは予想外だったけど、これはこれで役に立ちそうだな! ニワトリスの肉を大量に持ち帰ることができるぞ!」

「切り替えが早いわね……まぁそれがあんたの唯一の取柄だけど」


 それから僕たちは〈道案内〉に従って進んでいった。

 途中で遭遇する魔物は、アルクとクーヴァの二人だけで問題なく仕留めていく。


 まだ地下1階の弱い魔物が相手だというのもあるけれど、二人とも駆け出しにしては動きがいいみたいだ。

 ただ、先ほどの個体以来、ニワトリスには遭遇できていない。


「ニワトリスはいないのか!」

「他の冒険者も狙ってるだろうし、地下1階にいる個体なんて狩り尽くされてるんじゃないかしら? さっきは運が良かだけだと思うわ」


 下層に続く階段はすぐそこだった。

 ダンジョンでも自分の力が通用することに気をよくしたのか、アルクが提案する。


「じゃあ、このまま地下2階に行ってしまおうぜ!」

「そうね。この感じなら大丈夫だと思うわ」

「あ、あたしの出番、まだゼロです……」


 ちなみにこのダンジョン『埋没遺跡』は、地下20階まであるらしい。

 地下1階から地下5階までの上層は、魔物が弱くてトラップも少なく、駆け出しのEランク冒険者で通用するレベルだというので、彼らなら問題ないだろう。


「ところでニワトリス、せっかくだから味見してみたいね」


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生活無双
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