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使えないと追い出された生活魔法使い、無限の魔力で生活無双  作者: 九頭七尾


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第48話 何やら強めの注意喚起が

「ガルアアアアッ!」

「魔物だ。魔力弾」

「~~ッ!?」


 前方に現れた獅子の魔物の頭を、凝縮した魔力の塊で撃ち抜く。

 魔物はあっさり地面に倒れ込んだ。


「この辺りの街道は割と魔物が出るね。まぁダンジョン下層の魔物と比べたら弱いし、魔力弾を使えば余裕で倒せるけど」


 アーゼルを発った僕は、大陸の南端にあるという魔境を目指していた。


 普通に徒歩で行くと一か月近くはかかる距離があるそうだけど、僕には〈歩行補助〉という生活魔法がある。

 これはその名の通り歩行をサポートしてくれる魔法で、発動していると何倍もの速度で歩くことが可能だった。


「アーゼルを出発して三日……そろそろ半分くらいまでは来れたかな? リーゼさんから貰った地図によると、この辺りに街があるはずだけど……」

「シャアアアアッ!」

「っと、また魔物だ。魔力弾」

「~~~~ッ!?」


 ――〈注意報〉を習得しました。


 蛇の魔物を倒すと、身体に力が漲る感覚があった。

 経験値が一定量に到達したことで、身体能力がアップしたのだろう。


 さらに魔法も覚えたようだ。


「〈注意報〉……発動すると、迫っている危険を知らせてくれる魔法みたいだね」


 試しに使ってみた。

 すると頭の中に周囲の情報が入ってくる。


 より強く魔力を消費すればするほど、情報はより正確になり、遠くの情報まで拾えるようになるみたいだ。


「えっと、北方向に三百メートルの距離にはゴブリンが三体いて、東南方向に五百メートルの距離にはラットオークと。なるほど、位置関係に加えて魔物の種類まで分かるんだね」


 これなら魔物の不意打ちを回避することもできるだろう。

 ちなみにラットオークは豚の魔物オークの下位種である。


 注意喚起してくれるのは魔物に対してだけではなかった。

 地面に開いている穴や躓きそうな石、さらには急な雷雨なんかも事前に教えてくれるみたいだ。


「あれ? 何やら強めの注意喚起が……」


 西南西の方向におよそ三キロ。

 そこには多数の魔物の反応があった。


「トロールが五十体強……?」


 トロールは大型の魔物だ。

 動きこそ鈍いものの凄まじい怪力を誇り、オークを凌駕する危険度とされている。


 オークと違ってあまり群れを形成することはないはずだけど、


「上位種のドントロールまでいるみたいだし、そいつが他のトロールを統率してるのかな」


 何にしても近づかない方が懸命だ。

 できるだけ迂回していこう……と思ったけれど、街道から割と近い場所だった。


 地図によれば近くに街もあるはずで、放っておいたら大きな被害が出かねない。


「すでに把握してるかもだけど、街に着いたらすぐに報告しないと。……でも、念のため直接この目で様子を確かめておいた方がいいよね?」






 トロールの群れが築いた集落は、街道から少し逸れたところにあった。

 ただ、断崖絶壁に囲まれた峡谷の底で、〈注意報〉が無ければまず見つけられなかっただろう。


「さすが大型種のトロール……この距離からでも大きいのが分かるね」


 背丈は二メートルほどと、ミノタウロスと同等。

 だけど横幅は倍、いや、三倍くらいはあるだろうか。


 でっぷりと肥え太った体型で、僕なんて圧し掛かってこられただけでぺちゃんこに潰される自信がある。


 中でもひと際身体の大きな個体がいた。

 恐らくあれがドントロールだろう。


「でも……何でだろ? そんなに怖いとは思えない」


〈注意報〉が警戒を促してきてはいるけど、正直それほど強いものではなかった。

 遭遇しただけで致命的になるような相手なら、たぶんこんなレベルではないはずだ。


「幸い隠れる場所も多くて、高い位置から狙いやすい……仮に気づかれたところで相手は動きの鈍いトロール……うん、試してみる価値はあるかも」


 魔力を凝縮し、狙いを集中する。


 ドン。


「ア?」


 一体のトロールが白目を剥いて絶命した。

 崖を背にして座っていたこともあって、周りのトロールたちは気づいていない。


「よし、行ける。以前よりも魔力弾の威力とコントロールが上がってるから、この距離からでもピンポイントで頭を撃ち抜いて倒すことができる」


 さらに二発目、三発目と放ち、トロールの脳天を貫いて一撃で仕留めていく。

 そうして十体ほど倒したところで、さすがに他のトロールたちも異変を察したみたいだ。


「ウゴア?」

「アウガ?」

「アーア!」


 仲間が死んでいることを確かめ、慌て出したけれど、僕は構わず狙撃を続けた。

 さらに四体、五体と頭を撃たれて倒れ込んだところで、ドントロールが咆哮を轟かせた。


「オオオオオオオオオオッ!!」


 その視線が、ちょうど僕が隠れている方向を射抜く。


「……気づかれた!」


 トロールたちが一斉に躍りかかってきた。

 ただ、ここまでは急峻な斜面になっているため、身体の重たい彼らではそう簡単には登ってこられないだろう。


「むしろ撃ち放題だね」


 斜面をよじ登ろうとして無防備を晒す彼らの脳天を、魔力弾でガンガン貫いていく。


 何体かのトロールが棍棒を放り投げてきたけれど、コントロールが皆無のそれはことごとく外れた方向に飛んでいった。

 ついには激怒したドントロールが、仲間の死体を巨大な棍棒で殴り飛ばしながら迫ってくる。


「っ……あんな図体なのに器用に斜面を登ってくるなんて」


 ドントロールは体格の割に俊敏だった。

 急な坂道を物ともせず、元凶の僕を排除しようと近づいてきたのだ。


 もちろんこちらも魔力弾で応戦するも、頭蓋が硬いのか頭部を直撃してもなかなか倒れない。


「まぁ追いつかれないけど」


〈重さ軽減〉を使い、斜面を楽々と登って逃げる僕。

 計十発くらい魔力弾を放ったあたりで、ようやくドントロールが意識を喪失し、斜面を転がり落ちていった。


 ――〈道案内〉を習得しました。


「うーん、やっぱり魔力弾は弱い魔物相手じゃないと難しいね」


 ちなみにトロールはこれだけ図体が大きいのに、素材としての価値はほぼないらしい。

 持ち帰る意味もないかと思い、放置してその場を去ったのだった。



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生活無双
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