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使えないと追い出された生活魔法使い、無限の魔力で生活無双  作者: 九頭七尾


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第14話 また火力役が何か言ってるわ

 シルアの故郷で、今は廃墟と化しているフェリオネアの街中を探索していると、黒い肌の青年に遭遇した。

 シルアと同じ猫系の獣人らしい彼は、ゼファルと名乗った。


「俺はこのフェリオネアの出身でよ。今はこの都市の復興を目指す、復興隊のリーダーの一人として活動している」


 どうやらこの都市の復興が進められているのは事実らしい。

 ただ、生憎と進捗の方はまったく芳しくないようで、


「それもこれも、魔物災害後にこの都市に住み着きやがった、オークどものせいだ。やつらを一掃しない限り、復興どころの話じゃねぇ。もちろん復興隊が頑張って少しずつ討伐を進めているんだが……なにせ数が多すぎて、まだ全貌すら掴めてねぇくらいだ。俺は〈隠密〉のスキルが使えるからよ、こうしてやつらの戦力を把握するため、単身、街中を調査してたってわけだ」


 それでたまたま僕たちと遭遇したみたいだ。


「私はシルアって言うわ。この都市にはたぶん、五歳くらいまで住んでいたはずよ。残念ながらあまり覚えてないことも多いけど」

「シルア? まさか……いや、フェリオネアじゃ少なくない名前だからな」


 何か思い当たるところでもあったのか、ゼファルさんはブツブツと何かを呟く。


「それから色々あって戦闘奴隷にされてたけど、解放されたから十年ぶりに様子を見に戻ってきたの」

「そうだったのか……そいつは大変だったな……各地に散り散りになっちまった同胞たちの多くは、悲惨な境遇に置かれていると聞く。やはり都市復興は急務だ! 一刻も早く同胞たちが安心して暮らせる都市を取り戻さなければ……っ!」


 復興隊のリーダーをしているだけあって、ゼファルさんは正義感の強い人のようだ。


 念のため僕も簡単に自己紹介しておいた。


「僕はライルと言います。生活魔法使いで、Fランクの見習い冒険者です」

「おいおい、さっきも言ったが、あんな強力な魔法が生活魔法なわけねぇだろ」

「本当ですよ。才能のある緑魔法使いだったら、オークを吹き飛ばすだけじゃなくて肉片にしていますから」


 緑魔法の才能を持っていた僕の兄の一人は、天を貫くような巨大な竜巻を作り出すことができた。

 それと比べると全然だろう。


「……そもそも比較対象がおかしいんじゃないかって気がしてきたわ」


 シルアが半眼でこっちを見ている。


「ともあれ、お前さんたちを一度復興隊の拠点に案内したい。ついてきてくれるか?」


 ゼファルさんに連れられ、やってきたのは都市から少し離れた、小高い丘の上だった。

 そこには簡易な砦のようなものが築かれていて、ここを拠点にしながら復興隊は活動しているらしい。


 復興隊のメンバーは全部で三十人ほどいた。

 やはり全員が猫系の獣人で、フェリオネアの出身者たちである。


 元々はゼファルさんを含む数人で結成されたもので、その初期メンバーたちがリーダーとして隊を率いているらしい。


 ちなみに魔物災害が起こった地域一帯は、数年にわたって魔物が発生したり集まってきたりしやすい状態になってしまうのだとか。

 そのため復興に乗り出すことができたのは、ほんの最近のことだという。


「ただ、見ての通り、復興がまったくと言っていいほど進んでねぇのが現状だ。なにせ、やつらの数が多すぎる」


 まだ魔物災害の影響が残っているのか、この都市に巣食うオークは推定で千体を越えているという。

 オークは一体でも割と強い魔物なのに、それだけの群れになると掃討は容易ではない。


「しかもだ、やつらただ群れているだけじゃねぇ。統率されているように感じるんだ。その証拠に、常に三、四体ほどの集団を形成し、街中を巡回してやがる。加えて敵を見つけると、仲間を呼んでどんどん集まってくるんだ。知能が高めの魔物とはいえ、オークがここまで統率された動きを見せるなんて聞いたことがねぇ」


 まるで軍隊のようだと、ゼファルさんは歯ぎしりする。

 わずか三十人の復興隊では、とても太刀打ちできないらしい。


「このままじゃいつまで経っても復興が進まねぇ……だが!」


 そこでゼファルさんはなぜか僕の前に膝をついた。


「お願いだ! 俺たちに力を貸してくれねぇか!? お前さんの強力な魔法があれば、オークの掃討が間違いなく捗るはずだ!」

「分かりました。いいですよ」

「フェリオネアとは何の関係もねぇ人族のお前さんに、こんな危険なことを頼むのは、ムシが良すぎるとは分かっている! だが、俺たちには他に頼れるやつがいねぇ! って、え? いいのか?」


 僕があっさり頷いたので、ゼファルさんは拍子抜けしたように目をぱちくりさせた。


「はい。僕でよければサポートしますよ」

「あ、ありがてぇっ! お前さんの協力があれば百人力だぜ!」


 涙目で拝まれてしまった。


「ええと、そんなに期待されると、逆に申し訳なくなってしまうというか……あくまでサポート専門の生活魔法使いですし……」

「また火力役が何か言ってるわ」

「だから僕は火力役じゃないってば」


 シルアもそうだけど、みんな僕の魔法を買いかぶり過ぎだと思う。


「いや、もちろんこれは自分たちの故郷の復興だ! お前さんに頼りきったりなんてしねぇ! よし、そうと決まれば、早速、討伐チームを結成するぞ!」


 こうして僕は、フェリオネア復興のために、オーク掃討作戦に協力することになったのだった。


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生活無双
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