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A国から逃げ隊  作者: 瓜
26/35

幕間

サウンドオンリー。

話の大筋とはあまり関係ありません。多分。

「この事態は…些か急ぎ過ぎたのではないか?」


「そうかな?」

「でもしょうがない。もう時計の針は回ってしまったんだから」

「それに、どの道何時かはやる予定だったんでしょ?」

「なら、今更変わらないって」


「…そうだな」

「では、この装置の説明を頼む」


「おっけー任された」

「これは…そうだねぇ、取り敢えず『ベクトル発生装置』とでも呼んでおこうか」


「『ベクトル発生装置』…?何だそれは」


「まーまー、今説明するから」

「キミも、ゾンビの行動原理がベクトルの『向き』と『大きさ』に支配されているのは、流石に知ってるよね?」


「…初耳だぞ」


「はぁ!?…おいおい、軍部の情報伝達網はどうなってるんだよ!」

「キミ、この作戦が終わったら辞表でも書いた方が……」

「…まあ、いい。聞かなかった事にしよう。続けるよ」


「そうしてくれると助かる」


「あークソッ。どこまで話したっけなぁ。ゾンビの行動原理までだっけか」

「じゃあ、ベクトルの説明からか?」


「そうだな」


「ゾンビを突き動かしているもの──ベクトルは、そうだなぁ、『生命エネルギー』とでも言うべき代物でね」

「これに惹かれて、ゾンビっていうのは動くんだ」


「ほう」

「その『生命エネルギー』とやらは、何か特別なものなのか?」


「いいや。普通の、生きている人間から微量に感知されるものさ」

「厳密に言えば、この『生きている』という状態は、人ではなくゾンビから見たものだ」

「ただの人間は生命エネルギーを感知出来ないからな」

「けど、そこに関しちゃ、キミ達は気にしなくていい」

「ゾンビにとっての『生きている』は、人にとっての『生きている』とほぼ同義だからね」


「ふむ」

「ゾンビから見て『生きている』と判断される基準が、その生命エネルギーなのか?」


「そーゆーこと」

「逆に言えば、生命エネルギーさえ感知されれば、ゾンビは対象を『生きている』と判断し、そちらに向かって動く」

「たとえ、エネルギーの発生源が機械だったとしてもね」


「それでは、この機械が?」


「そう。この機械こそが、生命エネルギー発生装置なのさ」

「ボクが『ベクトル発生装置』と言った意味が分かってきただろう?」


「ああ」

「しかし、まだ『向き』と『大きさ』の意味が分からないな」


「なぁに、そんなの簡単な事さ」

「ゾンビから見て、生命エネルギーのある方向が『向き』で、生命エネルギーの大きさがそのまま、ベクトルの『大きさ』なんだよ」

「ゾンビ達の感知するエネルギーが大きければ大きい程、沢山のゾンビを、より強力に集める事が出来る」


「成る程」

「しかし、これを動作させるだけでは、ゾンビを集める事しか出来ないのではないか?」


「そこで登場するのが、キミに埋め込まれたチップだよ」

「まだ接続設定が完了していないけど、これが完了すれば、キミは思いのままに生命エネルギーの向きと大きさを操作する事が出来るようになる筈だ」

「そうしたら、例えば、生命エネルギーを敵軍に差し向けて、ゾンビ達に攻撃させる事も出来る」

「生命エネルギーが直線状に分布していれば、ゾンビはそれに沿って動くからね」


「了解した。俺は戦局を見ながら、ゾンビを動かしていけばいいんだな」


「その通り。多少細かい調整も効くから、後で試してみるといい」

「でも気をつけてね。余りに発生させる生命エネルギー量を減らしすぎると、今度はキミの方に集まってくるだろうから」

「ま、一個人の発生させる生命エネルギー量なんてたかが知れてるし、大丈夫だとは思うけどね」


「ああ、気をつける事にしよう」


「…ああ、そうそう」

「接続設定が完了するまでに万が一の事があったら困るから、この近辺には、ゾンビが忌避する周波数の音を流してるからね」

「ボクはもう行くけど、それまでに此処に来る奴がいたら……」


「…忠告感謝する」


「あはっ。どういたしまして」

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