92章 ドワーフ山脈·ニバール国側
こちらの竜生神は風魔法を持つ者がいるので、竜巻で虫を集める!
92章 ドワーフ山脈の道·ニバール国側
ニバール国側。
山脈の上から見ていると、無数の虫たちが、黒い雲のようにうごめきながらこちらに迫ってくる。
突然前触れもなく、虫の雲の中に数十キメルクの巨大な穴が開いた。 約半数の虫たちが消えたのだ。
「シークとレイだ!!」
竜生神たちから歓声が沸き上がる。
その直後、森の真ん中に真っ黒い雷がバキバキ!!と落ちたと思ったら、今度は離れた場所の虫たちの真ん中でズドドドド~ン!と、爆発した。
シークとドゥーレクの戦いが始まったのだ。
それを皮切りに、虫たちの動きが急に活発になってきた。
雲のように黒い塊となって蠢きながら飛翔系の虫たちが道に向かって飛んでくる。
その時、フェンリルが飛んできた。
「何をボサッとしている! 始めるぞ!」
「「おう!」」
スーガとキムル、ザラとリーンがフェンリルと共に「「「竜巻!!」」」と唱える。
森一面を雲のようにうごめいていた虫たちの中に、竜巻の穴が開いていく。 竜巻に吸いこまれていくのだ。
「「「炎魔法!!」」そこに炎魔法を放り込む。
竜巻が炎の渦となって周りの虫たちをも巻き込んで燃えていく。
「ザクト、今だ!」
「はい!」
ザクトが緊張気味に答える。
今度は炎の竜巻に中にザクトが「水魔法」を吹き込んだとたん、ズドド~ン!!と、竜巻が爆発した。
かなりの数を減らす事が出来た。
「さすがにシークの案だな。 もう一度行くぞ!!」
「「おう!!」」
◇◇◇◇
風と炎チームが竜巻で虫を集めている間にも、隙間をぬって道の方に目指してくる虫がいる。
そんな虫にはホグスが対応するのだ。
「岩!!」ホグスが数十メルクの大岩を空中に出す。
「散!!」岩が数千の槍にズザッ!!と別れた。
「分散追跡魔法!!」数千の槍が道の向かっていく飛翔系の虫を狙って飛んでいき、ドスドスドスッ!と、串刺しにしていった。
その時、フェンリルが急に高く飛び上がった。 みんながどうしたのかと見上げた途端、バキバキバキ!と、雷魔法がフェンリルの角に吸いこまれていき、角から虫たちの方に向かって雷魔法が放たれてズドドドド~~ン!と、大きな穴ができた。 雷魔法はコーマンの仕業だ。
すぐ隣の山の頂上にコーマンとザタンがいたのだ。
フェンリルはスーガに小声で話しかけた。
「お前もコーマンを倒したいだろうに、悪いな。 我に譲ってくれ」
スーガはフッと笑う。
「貴方のシークへの想いはよくわかっている。 もちろん譲るよ」
「バレていたか。 奴には言うなよ」
スーガはクスッと笑って頷いた。
フェンリルはザラに向き直る。
「ちょっと奴を倒してくる。 俺とのバトルが始まればこちらまで魔法を放つ余裕はないと思うが、それまでグリフォンやハーピーをコーマンの魔法から護ってやってくれ」
ザラが頷いた。
「そろそろ次の作戦に移るので、場所も移動するよ。 気をつけてね」
「おう! 任せろ!」
◇◇◇◇
コーマンのいる場所に移動している途中で、フェンリルの上と、後ろのみんながいる場所の両方に向かってバキバキバキと雷魔法が落ちてきた。
自分に落ちてきた雷魔法はそのまま足元に落とし、慌てて後ろを振り返ったが、もちろん結界に守られていてみんなも無事だった。
フェンリルはホッとして、そのままコーマンの直ぐ近くの山の頂上で止まる。
「コーマン······ギリムとザタンと呼びべきか? お前らの相手は我がする」
コーマンはクックックッと笑う。 こういう仕草はドゥーレクとよく似ている。
「俺たち2人の相手を一人でするのか? てっきりスーガも一緒に来ると思っていたぞ。 俺に怨みがあるだろうからなぁ」
フェンリルだけなので、コーマンは余裕の表情だ。
「彼には彼のやるべきことがある。 お前たちなどは我だけで充分だ」
再びドゥーレクと同じようにクックックッと笑った。
「最後までそう言っていられるかなぁ?」
ザタンが大きな姿に転身した。
やはりコーマンが来た!
フェンリルが相手をする。
(; ・`ω・´)




