84章 加護の力?
なぜ竜生神が次々に生まれるのか?
みんなで話し合いになった。
84章 加護の力?
その日の帰り、6メルクの巨大な姿になったフェンリルの上に、俺とアニエッタと、スーガとザクトも乗ってニバール国に戻る。
俺の空間移動魔法をつかっているので、半刻もかからないし、周りを結界で囲んでいるので風もない。
「そういえばザクトさんはアンドゥイ国までどうやって来たんですか?」
俺が聞くと、ザクトの肩にポンとアセンが姿を現した。
「もちろんアセンに乗ってきました。 アンドゥイ国で会議をしているとお城の方に聞いたので、少しでも早くお知らせしたくて」
フェンリルの背中に胡坐をかいてみんなピクニック気分だ。
「お兄さんは大丈夫か?」
スーガが心配そうだ。
竜生神になれるかなれないかで、人生が変わる。
スーガの周りの人竜族に竜生神はいなかったが、凄く憧れがあったそうだ。 スタンリー兄弟の弟だけが竜生神になったので兄の心が折れないか心配になったようだ。
「実は兄も今朝から体調を崩しているのです。 ドラゴンが生まれるのではと期待しています。 俺もそれを望んでいます」
「生まれればいいな」
「はい」
ザクトはチラチラアニエッタを見ている。 そういえば、初めて会うのか?
先ほどの会議も遅れてきたので、自己紹介も聞いていないだろう。
この場で紹介する。
「ザクトさんは初めてでしたね。 こちらはアニエッタさんとミンミで白魔法を持っています。 ガドル先生のお孫さんです」
ザクトは少し赤くなりながら、小さな声で「よろしくお願いします」と言う。
するとスーガが「シークの彼女でもあるけどな」とつぶやくと、シークとアニエッタと、なぜか「えっ?」と言ったザクトまで赤くなった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
白馬亭に行くと、マルケス、フィンとヨシュアたちが来ていた。
「よお!! 終わったか?」
「何とか決まったよ」
「ところで······なぜスタンリー弟が一緒なんだ?」
俺たちと一緒にザクトも一緒に白馬亭に来た。 後ろからついて入って来るザクトにマルケスたちは首をかしげる。
「弟の名前はザクトさんだ。 竜生神になった」
「「「ええ~~っ?!!」」」
「そう言う事になりました。 よろしくお願いします」
「お···おう!···とにかく座ろう」
なぜかマルケスたちは対応に困っているように見える。
どうしたのだろう? 竜生神が珍しい訳でもなく、スタンリー兄弟も顔見知りのはずだ。
店の人に頼んで全員が座れる大きなテーブルを用意してもらって落ち着いた。
なぜか座っても、みんながシンとしている。 マルケスが口火を切った。
「人竜族って、やっぱり俺たちと違うんだな。 シークやスーガは身近過ぎて実感がなかったけど」
ヨシュアたちも遠慮がちに頷いている。
「何をバカな事を言っているんだ? 何も違わないぞ。 俺は俺が人間と違うって思った事はないぞ。 ガドル先生も言っていた。 人竜族はちょっと変わった人間だって」
言い回しは違うけど、そう言う事だろうと俺は思っている。
ハハハハハ! フィンが笑い出した。
「ちょっと変わった人間か。 それはいい。 ところで、竜生神がどんどん増えるな。 前にドラゴンを生んでから進化が始まるって言っていなかったか? ザクトはとっくに進化が終わっているだろう?」
フィンの笑いで、みんながいつものみんなに戻ってくれた。 そしてその問いにザクトが頷く。
「私もそう思っていましたので、自分でも驚いています」
「俺の時もそうだったが······」スーガが遠慮がちに話す「田舎に帰ったとき、すでに進化が始まっていた。 だから竜生神になるのは諦めていたんだ。 しかし生まれた。
天龍と加護者のおかげだと思っているのだが違うのだろうか?」
「俺とレイは何もしていないぞ?」
レイもうんうんと頷いている。
「しかし······ゴブリンやドワーフの住処を知らずに加護したと言っていただろう? ニバール国も知らずに加護していると」
「そう···みたいだな」
「実は俺···シークがこの国に来た時から何て言うか······何かよく分からない何かに護られていると言うか······包まれていると言うか······」
「あっ! 分かります! それ!」
ザクトが声を上げ、アニエッタとフェンリルまでもが頷き、それを見てマルケスたちは顔を見合わせている。
スーガは話しを続ける。
「俺、何かの文献で読んだのだが······[黒龍現る時、天龍現る。 天龍現る時、竜生神集う]という文章なのだが、竜生神がいろんな場所から集まってくるという事ではなく、新たな竜生神が···人竜族がドラゴンを生んで新たな竜生神になるという意味なのじゃないかな。 俺やザクトのように······どう言えばいいのかよくわからないのだが······」
その時、フェンリルがおもむろに話しだした。
「我ら霊獣や人竜族は常に天龍と加護者の加護を受けている。 何かに守られているように感じるのは天龍と加護者が共にいる時のオーラの力···それが加護の力だ。
人竜族が新たな竜生神になり、魔力が増し、加護を受けて新たな魔法に目覚める。 これは黒龍に対抗する為には必要な事だからのではないだろうか。
加護の力で竜生神をも生んでしまうという事ではないかと思う。
本人たちには自覚はないようだが······」
そう言えば初めてガドル先生と会ったときに俺の近くにいるだけで魔力が増加するのを感じると言っていた事を思い出した。
そうか······俺たちはそういう存在なのか。
フェンリルの言葉が全てを物語っているようでしたね。
( ̄ー ̄)b




