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76章 防御魔法?!

フェンリルを操る事に失敗したドゥーレクは、攻撃をしてきた!!

 76章 防御魔法?




 ドゥーレクはなぜフェンリルが魔法にかからないのか分からない。 もう一度意識操作(いしきそうさ)魔法を掛けなおす。


「なにをしている!! 私の言う事が分からないのか?! こちらに来いと言っているのだ!!」


 ドゥーレクはイライラして、地団太(じだんだ)を踏んでいる。

 それを見てフェンリルは頭を下げて俺の顔を覗き込んできた。


「なぁ······もしかしてドゥーレクとやらは、(われ)を操ろうとしているのか? 何も感じないのだが、あれって何かしているのか?」


 本気で不思議そうに聞いてきた。


「フェンリル!! 良かった!」


 なぜだか分からないが、フェンリルを操ろうとしたのに魔法が効かなかったようで、胸をなでおろした。

 しかし、イライラが頂点に達したドゥーレクの形相が突如変わった。



()()()()の分際で!! では死ねぇ!!」



 一瞬の事だった。 油断していた。

 フェンリルの上から真っ黒な巨大な稲妻、黒雷魔法が耳をつんざく雷鳴と共に襲ってきた。


 凄まじい衝撃が来る!! と思ったが······来ない?······?



 それどころか、俺たちに向けて放たれたはずの黒雷がドゥーレクを追いかけていく。



 ドゥーレクは空間移動を使っているのだろうが、黒雷も追跡魔法を使っているように、右へ左へと移動し、最後に黒雷はドワーフ山脈に凄まじい轟音と共にぶつかって、ズドドドドン! と、凄まじい黒煙と土煙(つちけむり)をモウモウとあげた。




 その土煙が消えた時には5千メルクほどある高い山脈の半分以上が吹き飛んで(けず)れ、大きな凹みができていた。

 すさまじい威力だ。



 ドゥーレクは山と共に吹き飛んだのか?


「やったか?!」と思ったが、ドゥーレクの音波拡声魔法の声が聞こえてきた。



「クックックッ、たかが狼と思っていましたが多少はできるようですね。 少し見直しましたよ。  

 それにしてもやはりマージェイン様は素直で真っ直ぐな方ですね。 楽しかったです。 また会いましょう」



「逃がしたか!」いつもの大きさに戻ったフェンリルは悔しそうだ。 




 ドゥーレクはというと、探索魔法でも見つからない場所までサッサと移動していってしまった。



 空間移動魔法はかなりのスピードがあり、侮れない。 注意が必要だ。



 ◇◇◇◇



 それより気になる!!



 究極魔法の黒雷魔法がなぜ俺たちの上で発動しなかったのか?


 黒雷がドゥーレクを追いかけて行ったのは、フェンリルの魔法なのか? 俺でもレイでもないという事はフェンリルしか考えられない。


 しかし、フェンリルには雷魔法は無いはずなのに、なぜ黒雷を撃てたのか?




「なぁ······さっきの黒雷はフェンリルが放ったのか? でも雷は加護してもらっていないだろう?」

「その事か。 (われ)(つの)は魔法の吸収と放出が可能なのだ。 ドゥーレクの黒雷を吸収してそれを放ったまでだ」

「吸収してから放っただと?! 凄い! どうして今まで(つの)を隠していたんだ? そんなに凄いのに!」



 珍しくフェンリルは少し恥ずかしそうに答えた。


「弱点だと言っただろう?······(つの)は衝撃に弱い。 角が折れると命に関わるのだ。 だからいくら凄くても(つの)は出せなかった」

「そ······そうだったのか。 そうなれば岩魔法は最高の加護だったな」

「そう言う事だ。 ホグスに教えてもらったこの鋼装甲(われ)を完璧にしてくれたのだ。 ガハハハハハ!!」



 だから、笑い方が下品だって!




 フェンリルは下品な笑いを収めて真面目に話す。


「しかし、ドゥーレクは我に魔法をかけたようなのだがなぜ効かなかったのだろうか?」


 それは俺も不思議に思っていた。

 しかしその問い掛けに答えたのはレイだ。



「僕が鋼装甲に防御魔法を加護したから効かなかったんだよ!」

「「えっ?!」」


 俺とフェンリルはレイを見つめてから、お互いの顔を見合った。



「「レイが?」」


 二人の声が再び重なった。 そういえば魔法を跳ね返す事ができると言っていた。



「よくやった!!」俺が言い、

「ありがとう!!」フェンリルが言う。



 俺は肩に乗っていたレイを引っ張り下ろして抱きしめた。 



 





鋼装甲の模様は綺麗なだけじゃ無かったのですね!

シークの魔法衣も同じだけど!

(*´σー`)エヘヘ

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