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なんでもアリな闇鍋ゲームで詰んでる俺は脇役兼死体役イコール被害者な件(仮)  作者: 来樹
1章 ようこそ、聖アールグレイ学園へ!
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ちょっと進展。



 答えは、YES or NO―――?


 いいや、違う。

 答えは、たった一つしか求められていない。

 それ以外に、言葉がないかのように。



 「お前は、俺の手を取るのか?」



 ………そんなの、俺の方が知りたい。











 

 例えば。

 もしも、世界に神様がいたとして。

 地獄に苦しむ数多の人間がいる中――今にも死にそうな時に、その救いの手が差し伸べられたら。


 俺は、何の一片の迷いなく、その手を取れるだろうか。


 性善説でも、性悪説でもない。

 ヒトの性が善を知っているか、悪を後に知るかの違いなんてどうでも良い。

 どちらが先でも、この行為に、善悪どちらかで語れるモノなどありはしない。

 ならば、何が問題なのか。

 何故、そこで躊躇(ためら)うのか。


 答えなんて、()うに出ているのに―――?


 そう、答えなんて、とっくに出ている。

 生きるか死ぬかの二者一択で、わざわざ死を選ぶ人間なんていないように、救いの手を拒む人間もいない。そこに、大きなバックボーンがあったり相手が仇敵だったりとかの感情の葛藤や(しがらみ)なら兎も角、自分が可愛い自分本位の人間が、自分の首を絞めるような真似なんてしない。俺は、俺が大事だし、こんな若い身空で、意味分からん理由による犬死になんて冗談じゃない。

 しかも、手を差し伸べてきた相手は、この「世界」における上位の人間で、俺を救える実力も権力あるだろう御身分だ。普通に考えても、ギャンブルにもなりえようがない相手を拒む理由なんてない。見返りが何を要求されるか、そんな問題点はあるにはあるが、これは俺の生殺与奪権の問題でもあるのだ。そんな究極の場面で、確実に助けられそうな手腕を持つのに、その案を蹴る馬鹿はいないだろう。

 だからこそ、そこに躊躇なんて必要ない。

 結果を求めるなら、過程なんて重視すべきじゃないし、これは生きるか死ぬかの瀬戸際の話なのだから。

 ―――「呪い」だなんて、ただの人間がどうにかできる範疇を超えた案件ならば、(なお)(さら)


 そう。その筈だろう?


 「私は………」


 目の前に立つ、この「世界」のカースト上位者を見上げる。

 (ごう)(ぜん)と手を広げて見せるその姿は、彼が絶対的に揺るがない盤石の上に立っているのだと痛感させられるのと同時に、激しく湧き上がる屈辱と言う名の辛酸を舐めさせられているような気分になる。歯痒いまでの、絶対的な格差。この世界にとって、自分というちっぽけな存在は、彼とは違って、どこまでも使い捨ての駒でしかないと察せられる。

 それが、どうしようもなく。

 悔しく、腹立たしくて………悲しい。

 

 「仮名四葉」


 怒りのあまりか、(ほとばし)った激情が体を巡って、その熱が、彼を睨み付ける目に集まるのを感じる。


 「仮名四葉?」


 煩い。呼ぶな。


 「おい、仮名四葉」


 呼ぶな。


 「仮名四葉!」


 …違う。




 「「仮名四葉」」




 ソレは、「俺」の名前じゃない!!!!!!!


 口を開いて怒鳴ろうとした瞬間、視界が閉ざされた。






 「……悪かった」






 ふわりと、あの(にお)いが香った。

 優しい、小さな、花の。

 星屑を集め、一滴の雫を垂らしたような微かな。




 「………何にも、知らない癖に」




 

 はらりと、一粒、何かが零れた気がした。








To be continued…?





少女はまだこの世界の全貌を知らない。

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