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なんでもアリな闇鍋ゲームで詰んでる俺は脇役兼死体役イコール被害者な件(仮)  作者: 来樹
1章 ようこそ、聖アールグレイ学園へ!
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※何も進展していません。超短いです。それでもよろしければ。。

代わりに、次回は早目に投稿予定。亀の歩みでちょっとずつお話が進んで行きます。


 「ひっ」


 なんだろう。

 とてもじゃないが、衆目に晒せない類のメール画面に、俺は情けない悲鳴を盛大に上げそうになったが、ギリギリ喉奥で堪えた。

 悪魔からのメールは、マジで地獄の底から届いた悪魔のお便りでした。

 最新メールが、小さな4で埋め尽くされた空白で「呪」の文字が浮かび上がるメールって、どこのチェーンメール?アナタ、どこの掲示板の回し者ッスか?

 呪いのメールの画面に黒い影が落ちる。


 「「…………」」


 乙女の肩を叩きやがった隣の席のオレ様である。思いっきりビビった俺の様子に興味を惹かれたのか、携帯を凝視している手元を覗き込んできた。肩に手を置いたままで。……はい、ギルティ!

 思わずその手を遠慮なくブッ叩いて払い除けようとしたが、その手に触れる前にハッと我に返る。

 恐る恐る周囲を伺うと、もう間もなく一限目が始まるからか、室内にはもう既にクラスメイトの姿はなかった。

 メインヒーローが教室で馴れ馴れしく一生徒を構っている姿や、肩に置かれた手を()っ叩く現場を見られなかったのは、幸いというか何と言うか。

 一瞬ほっとするが、ハタと我に返る。

 そう、一限目が始まるからこそ、教室に人がいない。

 一限目は視聴覚室を使った世界史。移動教室である。

 アレ、これ俺も移動した方がよくね?


 ガタッ!


 勢いよく立ち上がり、速攻閉じた携帯のメール内容を見なかったことにして、乱暴にポケットに突っ込んだ俺は、空気に溶け込む真面目なキャラ設定通りに遅刻せずに授業に向かおうと、慌てて教科書一式持ってドアへ向かった。が。


 「待て」


 「ぐえ」


 決して、乙女が上げてはいけない類の声が漏れた。

 グイッと、セーラーの襟を掴まれ、あえなく引き戸に手を掛けようとした手が空振り、失敗。お前、俺になんか恨みあるのか?

 めらっと殺意が沸き上がるが、よくよく考えると、俺も一昨日散々こいつに乱暴したなと思い出す。報復か?報復なのか?何て、心の狭い奴だ!

 つか、首!首、絞まってますから!

 「俺を無視するとは、良い度胸だな」

 一昨日爆弾発言しておいて、昨日はシラッと休みやがった、にっくき隣の席の王様―――未来のオレ様生徒会長、皇煌(すめらぎこう)()。その人が、俺の後ろからセーラーの襟を掴み上げ、ついでその手で奴の方へくるりと反転させられた。とてもレディに対する扱いじゃない。

 俺は一時的とはいえ、絞められた首を撫ですさり、ゲホゴホと大袈裟に咳込みながら、そのムカつくご尊顔を睨み上げる。

 「……色々、言いたい事はありますが。話があるなら、聞きますから、その汚ねー…コホン!……その手を放して下さい」

 襟首から離れた手は、逃がさない為か、俺の方腕を掴んでいる。

 汚い手で触らないでくれる?とか、言ってみたいところだけど、ええ知ってましたけど本当に綺麗な御手ですね。その無駄に整った手で触るんじゃねえこのイケメン野郎。

 前世から低い沸点で短気で手が早い俺だったが、さしものこの学園で攻略対象トップに、それは不味いと堪え、冷静な声を作って、なるべく穏便な言葉で問う。いや、だって、今教室に人がいないとはいえ、一応ね、一応。ほら、俺って、A型じゃないけど石橋は叩いて渡る慎重な性格だからさ!

 「お前……」

 「ハリー!」

 ポッターさんじゃなく、ハリーアップで急げの方ね。ネイティブじゃないから、思いっきり拙い発音だけど。

 呆れたように見下ろしてくる身長推定180以上の男が、じいっと何やら物言いたそうに目を(すが)める。

 アんだよ?とガン付ける俺も視線で色々物語らせる。察しろや。

 俺の熱視線に根負けしたのか、実に嫌そうな顔で渋々とその手を腕から外す。

 その瞬間、ささっと、ドアまでBダッシュして逃げ出そうかと9割本気で考えていたけれども、一昨日の中二病的発言の事件が未だ解決してない事を思いだし、辛うじて踏み止まる。いや、今マジでふわっと足が助走準備に浮きかけたからさ。ズラからなかった俺、エライ!

 さて。

 俺は一歩後退り、適切な距離を保つと、ちらりとオレ様会長を改めて見上げる。

 「それで、わざわざ教室に残らせてまで、私に何の用ですか?」

 努めて冷静に。

 なるべく、弱みはみせないように。

 足元を見られないように。

 手持ちのカードは伏せたまま。

 「白々しい。それも、『呪い』の影響か?もっとマシな口上で誘ってみたらどうだ、仮名四葉」

 「………」

 「茶を濁すような、面倒な問い掛けは時間の無駄だ。特に、お前にとっては」

 溜息を吐きそうな程、うんざりと言われ、米神に青筋が浮かび上がるが、我慢我慢。

 「なんだ、だんまりか?時間は有限だぞ。俺の時間もタダじゃない。欲しい情報(モノ)があるなら、形振り構わず貪欲(どんよく)になれ」

 「…………貴方の情報が、本当に私の欲しているモノだと?」

 「俺は、無駄な水掛け論をしに此処に来たんじゃないだがな」

 まるで、目の前に餌をぶら下げられているように、ゆらゆらと揺らして焦らされている気分だ。こいつもドS枠なのか?なんつー嫌な類似点。つか、いちいち、吐き出すセリフが腹立つんだが、こいつ一発ブン殴っちゃダメかな?

 「考える時間は充分やっただろう、仮名四葉」

 フと、腹立つ類の笑みを浮かべられ、俺は悔しさのあまり唇を噛みしめる。

 だって、答なんて既に出ている。

 それを、焦らすように、無駄な問答をしているのはコイツだ。

 なんて、性格の悪い。

 脳裏に、こいつと良く似た男が過って、眉を(しか)める。

 

 「お前は、俺の手を取るのか?」


 そう。結局、私の人生に、選択肢なんてあってないようなものなのだ。










To be continued…?





少女は「男」と「女」の感情の揺れについていけない。

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