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ギリギリ、月イチ更新(汗)書けるところまでアップ。。
振り返った先にあるその顔を見て、俺は嗚呼と落胆した。
所詮、この世は無常で無情だと。
「……ご用はなんでしょう?」
断定ではなかった。
ただ、違ってあってくれと願って口にしたその名称は、振り返った先にあった笑みで否定されなかった。
努めて平静を装った声音は震えなかっただろうか、
いつも張り付いた無表情は崩れなかっただろうか。
決して手の届かない世界を、身近に感じさせる錯覚めいた偽物。
この世界では、彼女こそが本物だというのに。
チェシャ猫のように笑うその顔を、能面のようだと見返す俺の瞳には、やっぱり虚像のように見えた。
聖アールグレイ学園の栄えある生徒会長と別れ、一人寮へと戻る俺の脳内といえば絶賛混乱の極みにあった。
自分の死亡フラグや、この世界が乙女ゲーム(笑)だったと気付いてしまった時よりも衝撃的だったかもしれない。
だって、だって……!
生徒会長、アレだよね!
どう考えてもアレだわ。
………とすると。
「誰か、嘘だと言ってくれ…………」
入学してまだ三日目だというのに、更なる不穏な案件が生じているのに気が付いてしまった俺は思わず空を振り仰いだ。
一つ言うと。
暮れない朝はないし、明けない夜はない。
太陽は等しく大地を照らすし、星は等しく頭上に輝いている。
ここがゲームという仮想な世界で、ありとあらゆる技術を駆使した先にある幻想の最果てだとしても、そういった自然の摂理はこの世界をより現実に補強する法則として存在しているらしい。回りくどい事を言っているけれど、要は、混乱の極致に在る俺にも朝がやってきたというわけだ。俺の心情なんてお構いなしに、時間は無情にも過ぎて、滞りなく太陽は昇り、迎えたくない朝が訪れてしまったのだ。寝不足と考えすぎで頭が微熱を発する気怠さを堪える。窓から差す爽やかな朝陽に暗澹たる表情で快晴な空を一瞥し、俺は若人らしくない重い足取りで、身支度すべく洗面所に向かった。
制服に着替え、備え付けの簡易キッチンで朝食を作ると、テーブルに並べて粛々と栄養補給に勤しむ。死んだ魚の目で、昨日の残り物の魚を突っついていると、サイレントモードにしていた(俺のアドレス帳の登録件数なんてお察しだからな)携帯電話が通知ライトを発しているのに気が付いた。今じゃもう嬉し恥ずかし懐かしのガラケーだ。腕時計型の携帯や、スマフォ、タブレットなんつー主流軸の端末機器じゃないから、ある意味で物珍しい部類になってしまった携帯電話。まあ、プリペイド携帯みたいなコンパクトサイズの携帯よりは型は古くないが、如何せん今時の携帯と比べると古い部類に入ってしまう。携帯電話の蓋のパキパキ音とか手触りが好きだった「俺」からしたら、この携帯を敢えて今も使っている「私」はやっぱり「俺」なんだろうなあとしみじみ思う。登録件数の少なさから来る要らない機能や値段の面で見ての選択部分もあるんだろうけれどな。取り敢えず、俺が所持しているガラケーは、蓋の部分に蛍光ライトで着信とかの通知のお知らせやアドレス表示が出る。液晶じゃなくて蓋の部分が光るんだからある意味これもハイテクだよなあと、スマフォに乗り換えた社会情勢に内心首を傾げながら、その通知ライトを何の気なしに見ていたら。
「ぶっつ……!」
吹いた。
To be continued…?
少女は激怒した。
「必ず、かの邪智(略)」




