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なんでもアリな闇鍋ゲームで詰んでる俺は脇役兼死体役イコール被害者な件(仮)  作者: 来樹
1章 ようこそ、聖アールグレイ学園へ!
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お久しぶりです!

仕事と家事で一日終わるので執筆全然進まないっす!



 「では、ここは公平に委員長にはどちらが相応しいか、先生に決めて貰いましょうか?」


 ちらりと四季(しき)(れん)()を一瞥した北城(ほうじょう)(れい)()の瞳には敵対感情が薄らと透けて見えた。まあ、声音にもそれらの負の要素が乗せられている。

 表面上は公明正大に言っているが、主人公(ヒロイン)に向ける視線や言葉がその態度を裏切っている。言わなくとも、内部生であり家柄も財力も申し分のない自分が、その反対の極致にある、いち外部生になど負ける訳がないという自信がありそうだった。まあ、お金持ち学校の王道学園設定で、時代錯誤で封建的なあったま固い考え方が学生の下地にあって、教え導く筈の教師がその権力にへこへこ屈して媚びてと忙しいものだから、フォローするべき大人がいないせいもあって、そんな腐った考え方が(まか)り通っている。だから、腐った環境で育った、身分と権力を笠に着た勘違い野郎共が、そのご自慢の権力が通用するこの学園でブイブイ言わせるのもまた自然の流れで。

 権力に追従すべき教師が、よもや己を選ばない訳がないと。

 そういうコトなわけ。

 ま、そこはテンプレートな設定なんだから、今更そこにツッコミ入れるのも野暮ってもんだよね。腹は立つけれども。

 因みに、こうも自信満々な彼女が、最初に副委員長として立候補した生徒の時に共に挙手してなかったのは、単純に委員長として立候補するつもりがなかったからだ。しかし、外部生の四季(しき)(れん)()が挙手するのを見て取って、すかさず牽制に入った。これは、彼女が後のイベントで自白していたから知っている。彼女は、最初の共通イベントでこの学園で一番身分の高い(すめらぎ)(こう)()と立場を弁えず馴れ馴れしく会話しているのを目撃していて、そこから主人公(ヒロイン)の事を敵視していたからだ。彼女が己より上の立場にあろうとするのは、高々クラスの委員であろうとも腹立たしい事らしい。プライドの高い奴の無意味なプライド掲げる理由なんぞ俺はクソ程興味もないので、共感する部分が欠片もないから、そうらしいとしか言えないが。

 「うーん、そうは言っても、俺は今年受け持ちが初めてだし、お前らの事もまだよく見れてないからなあ」

 ロリコン教師、逃げたな。

 学園内では見事に立場が弱い教師の中でも、攻略対象者はどうやらそこまで媚び(へつら)おうとはしないらしい。

 内部生も外部生も分けず、公正に決めようとする態度はこの学園の教員としては立派なものだが、結局どちらにも良い顔して判断を投げるなら、ただの八方美人でしかない。俺の中でロリコン教師の株が上がるには、彼の次なるアクションがただの八方美人ではないという事を、道理に則った手段で示すしかない。

 元々攻略対象って時点で他の顔面偏差値高い人間よりもマイナス評価なのだから、少々辛口になるのは仕方がない。諸君もそう思うだろう?

 「あら、そうでしょうか?先生が先程、(おっしゃ)った通り、もう三日も経つのですからそろそろ生徒の適性なんてお分かりになられているものだと。それに、先生は、この聖アールグレイ学園の教鞭(きょうべん)()られているのですから、この学園の従来のやり方に従って、誰を委員長に推薦するかは明白だと思いますわ」

 ロリコン教師の奴、さっきの返しの言質(げんち)取られてるわ。ざまあ。

 それにしても、なんて定型文(テンプレート)な悪役の台詞。

 思わず、肩を竦めて外国人ばりの大袈裟な仕草でやれやれと首を振りたくなる。

 あー、つまんね。台本通りの台詞なんて、ちっとも心に届かない。……それは、俺がこのシナリオの結末を幾通りにも知っているからこその感想で、冷めた感性による受け取り方なんだろうけれども。

 だけど、俺には陳腐に響く台詞でも、この世界の住人(キャラクター)とってはどうやら重く響くものだったらしい。

 特進科クラスでもAは特別身分も財力もある生徒が集められたクラスだ。その中でも取り分けて由緒正しいお家柄らしい北城家の一人娘の言葉は、(ぬる)い身分制度に浸かりきっている生徒にとっては当たり前の絶対で。権力に物を言わせる生徒達にとっては、己が生活を従来通り送るなら当然とばかりに首肯すべき言葉であった。何故ならば、その言葉を否定すれば、己の権力を笠に着たやり方を否定するものだからだ。それをアイデンティティとするなら、根本をひっくり返す言葉をわざわざ発する訳がない。

 暗黙の了解とも取れるように、北城の言葉を遮るものはなく、追従するかのように生徒達は沈黙している。もしくは、反論するほどの興味がないだけなのか。

 俺はそんな大多数の生徒に混じって、ただ沈黙を守りながら、教壇に立つ若い教師を見上げた。

 へらへらしていた上杉誠也(うえすぎせいや)は、北城の言葉を受けてその唇を閉じた。

 それだけで、クラスに漂う空気が微妙なものになるのを感じる。

 ここで、外部生である四季(しき)(れん)()の立候補をなかった事にするのが、従来の学園の教師陣のやり方だ。穏便に済むように、荒波を立てないように、権力者の子供である学園の小さな権力者に従う事が賢いやり方なのだ。

 北城やロリコン教師の会話に、小さく挙手をしていた四季(しき)(れん)()も、漂う空気の変化を察したのか完全に手を下ろし、膝の上で拳をきゅっと握った。その瞳はゆらゆらと宙を彷徨(さまよ)うように揺らいで、一度瞼を閉じて、すっと開いた。

 「あの、私、やっぱり…「よし、分かった」

 外部生とはいえ、教師と生徒の間にある溝を知らずとも違和感を察した主人公(ヒロイン)が、これ以上目立ちたくないという思いもあって辞退の言葉を発したが、ロリコン教師に遮られる。

 さて、ここからがルートの分岐点。

 主人公(ヒロイン)の好感度は?








To be continued…?





そして、彼女は思う。

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