表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/196

40話 ワルカリア討伐戦-3-

申し訳ありません、投稿予約忘れておりました……。

 街に突入した私たちは街の入口に強固な橋頭堡となる陣地を構築していた。

 指揮官である騎士は部隊の特性を理解して無理押しはせずに長期戦の構えを取った。数が多いとは言え、化物じみた奴らが待っているワルカリア本陣を下手には突くわけにはいかない。普通に考えたならね、しかし作戦の趣旨や状況を考えれば悪手も良いところだった。


「前線部隊がこんな呑気なことしてて良いの?」

「こんな大掛かりな陣地構築が必要かと言われると要らないわね。はっきり言えばワルカリアからしたら格好の標的よ」


 なんと経験の浅いドンジョですらおかしいと考えていた。事実として最前線で呑気に陣地構築なんてやってたら襲われるのは道理、あまりにもお粗末過ぎる指揮と言わざるおえない。現時点では奇跡的に襲われてないけど一点突破を狙われたら保たないのは確実、どう対処したものか……。


「それにこの近くには教会があるはず、教会の確保は最優先課題なのでは?」

「騎士様は何を考えてることやら……」

「こんな目立つような施設、狙われておしまいだろ……」

「正直逃げたいよ」


 他の冒険者も兵士たちも支持はしてないわね。

 当然といえば当然ね、こんな無意味な行動しても良いことは何も無い、いや、より自分たちの命を危うくすると言った方が正しい。末端の者達ですら気がついているのに指揮官は何してるのだろうか?


 そして皆の懸念は当たった。動かないこの部隊を壊滅させるべくワルカリアの部隊がこちらに進軍してきた。私はため息を吐きながら迎撃に向かった。


ーーーーーーーーーー


 戦場では完全に味方が押されていた。当然だ、元々そこまで戦闘力の高い者達が多いわけではない。しかしここで負けるわけにはいかない。

 私は敵兵を次々に斬り捨てていった。数は拮抗していたけど陣地構築の隙を突かれ、平均練度で劣っていたのが押された原因だった。それに今は見えないけど化物クラスがいないとは言い切れない。

 それに市街戦で混戦状態にあるので下手な魔法は使えない、使えば味方や無辜の市民が死んでしまうからね。本当に戦いにくいわ……。


「うおおおおおおぉぉぉ!」

「死ねやああァァァ!」

「ブッ殺せえええぇぇぇ!」

「道を開けろおぉぉぉ!」


 敵味方ともに凄まじい言葉の応酬をしながら戦っている。正に『戦争』だった。

 この雰囲気、グランリアを思い出すわね。あの時とは違って死ぬつもりもないし、負けるつもりもない。そろそろ上げていきますか!


「来いっ雑魚ども!私こそはパステルにてワルカリアを壊滅させし者なり!」


 近くの家の屋根に登り、刀を敵に向け盛大に挑発してやった。

 当然敵方からは怒りの暴言が飛んでくる。


「あの小娘をブッ殺せぇ!」

「敵討ちじゃあ!」

「テメェは赦さねぇぜ!」

「調子乗ってんじゃねぇ!」


 派手に挑発しただけあって、敵部隊の1〜2割程が私の方を目掛けて走ってきた。これなら魔法を使っても同士討ちになるリスクは減ったわね。


 まぁこんな単調な突撃など止めるのは簡単だ。爆炎球を即席で構築して向かってきた敵のド真ん中に放り込んでやった。

 爆発と同時に挑発に乗った敵の大半が即死もしくは致命傷を負った。また、致命傷を負わなかった敵も吹き飛ばされ万全の状態ではなくなった。


 如何に部隊の平均練度が低くとも、この状態を見逃さない実力者はそれなりにいる。吹き飛ばされた連中は部隊の兵士や冒険者によって刈り取られていった。


 戦況は私の一手で大きく変化した。私の魔法によって人数差が生まれ、押し返し始めたのだ。


 しかし敵にも現状を覆すゲームチェンジャーは当然いる。私は警戒を始めた。その瞬間、近くで禍々しい魔力を派手に撒き散らし始めた奴が2人も現れた。

 やっぱりいたわね。化物混じりなのは予想はしていたけど2人も出てくるのはちょっと読みきれなかったわ……。


 そしてその2人はそれぞれの方向に分かれて走り出した。1人は私の方に来てるわね、当然迎え撃つ!


 凄まじいスピードで突き出される剣を避け、下半身を斬り落とそうと刀を振り抜いた。

 しかし私の刀も避けられた。いや、軽く弾かれたようなブレが生じた。刀が当たる瞬間に跳んだらしい。空中で前転をしつつ着地した。避けられてタダで済ます私ではない。雷系の超高速攻撃魔法の『マッハライトニング』を奴に浴びせた。流石に命中はしたが多少顔を顰めたくらいでほとんど効果は無さそうね。


「なかなか強いな。フディーサランがやられるわけだ」


 言葉は返さない、返せば隙になる。油断なく構えて次に備えた。


「生憎と不意打は嫌いでね。フディーサランやギーザンの手口は嫌いだったよ。だから奴らを消してくれたことは感謝してるのだよ。本当に目障りなゴミ共だったよ」


 あぁそうなの?と言う感想しか抱けなかった。信用はできない。


「申し遅れたな、我が名はノシュヤ、ブーアクルバ様の加護を受けし戦士である。パステルの地で同胞を散々に打ち破った貴女に対し一騎打ちを所望する!」


 騎士道精神ね……マフィアに入るような連中にそんなもんがあるなんて思わなかったなぁ……。

 相手は構えはせずとも油断せず私を見てきた。恐らく私の名乗りを持っているのだろう。本当にコイツは名誉を気にする人間なのかもしれない。


 私は周りを見渡した。一定以上の実力を持つ仲間の助勢は見込めない。

 あまりリスクは抱え込みたくは無いけどこれではもう仕方ない。一騎打ちを受け入れるしかないわね。


「私はCランク冒険者のジャンヌだ。その一騎打ち、受けて立つ!」


 予想通り、名乗りをあげた時に襲ってくるようなお粗末な真似はしてこなかった。

 名乗りを終えた私は刀を構えた。それを見て奴も剣を構えた。


 どちらも構えただけですぐに攻めることをしなかった。下手に手を出せばやられるからだ。

 だから両者ともにカウンターを狙う体勢を取りつつ間合いを詰め始めた。私は既にかなり緊張しており冷や汗びっしょりだった。


 間合いが詰まる中、味方からとんでもない発言が飛び出した。それも大声で……。


「指揮官がやられたぞー!」


 な、なんと……やられてしまったのか……。ちょっと想定外、これは介入されるまでにケリつけないといけないわね。いや、それも厳しいか……。


 さて、どうしたものか……。

いつも理を越える剣姫をお読みいただき誠にありがとうございます。

次回は9月9日(月)12:00更新です。

良ければブックマーク、評価、感想、レビュー等お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ