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39話 ワルカリア討伐戦-2-

 私が『白い徒花』のメンバーに釘を差そうと近づいたら既にフリードによって釘を差されてた。本当にフリード様々ね。

 なので会ったときも普通に王女であることは隠してくれたし本当に助かった。


 他にも『ツインライン』の2人もこの部隊に配属されていた。それにしても知り合い多いわね……これ意図的でしょ……。


 そしてこの部隊には破邪聖石は配備されておらず、率いてる騎士は礼儀正しく公正な人だけど非常に弱そうだった。騎士の中でも最弱クラスじゃないかしら?

 でも配属されてる冒険者の中にはAランクが2人混じっている。これは私を主軸に据えた形ね。この部隊の任務は敵の化物人材がいる部隊の始末で間違いない。


 しかしこの部隊は緊張感がなかった。なんと言うか最前線に向かう様な雰囲気ではなく、緩い感じがしていた。

 当然進軍を始めてからもそこまで緊張感があるようには思えなかった。


「多分、私たちは後方支援が任務になりそうね」

「率いてる騎士も弱そうだし、やたら若手が多いのも気になるわ」

「となると私たちは万が一の用心棒、主力が来るまでの時間稼ぎが求められるってわけね」


 道中、気を緩めて会話してたのは『白い徒花』のリーダーのマリンと『ツインライン』の2人だった。

 残念だけど彼女たちの目論見は外れてると思うけどね……。こればっかり実情知らないとわからないから仕方がない無いんだけど……。


 と言うかこの部隊全体にユルユルした雰囲気が漂っていた。油断してるのは彼女たちだけじゃなかった。これは危ういかもしれない、知り合いだけでも警戒を促すことを考えた方が良いわね。でも情報が足りないわね。


「マリン、ちょっと知りたいことがあるんだけど……」

「何かしら?」

「この街に来てからAランクが付けられた理由って聞いてる?」

「後方支援でも襲われる可能性があるからって聞いてるけど……」

「やっぱり……かなりマズイわね……」

「え……?」


 やっぱりだった。

 私の懸念通り、この部隊は後方支援ではなくて前線に出される、間違いなく!


「多分、私たちは最前線の一角に回されるわ」

「えっ!?それってどういうこと?」


 さて、一つ一つ説明していきますか……。


「まず、追加の人員としてAランク2人に私は後方部隊には明らかに過剰戦力よ」

「待って待って、ジャンヌちゃんは期待の新人程度にしか見られてないはずだわ」

「誰が総大将なのか忘れたかしら?彼は私の実力を知っているわ」

「あっ……」

「だけじゃないわ。私はパステル市にいたワルカリアを拠点ごと壊滅させている。その戦果も伝わってるはずよ」

「だったら何故ジャンヌちゃんがこの部隊に?」


 ようやくその疑問に辿り着いたわね。


「まず、私は普通の貴族にその存在を知られるわけにはいかない。だからそっちの関係者の少ないこの部隊に入れられたの」

「確かに存在を知られるわけにはいかないわね」

「そしてこの部隊は私の存在を前提に前に出すことにされた部隊なの。Aランクの2人は私の補佐する役目が負わされてるはずよ。…………知らされてるかは知らないけどね」


 多分Aランクの2人は知らない、ギリギリまで教えてもらえないはずだ。指揮官は一応知らされてはいるとは思うけど、現段階では口止めされてるんじゃないかな?


「つまり目立たないように貴女を前線に出す方策としてこの部隊が使われたということ?」

「簡潔に言えばね。それにワルカリアには化物じみた奴らがいるわ。そいつ等を如何にして撃破するかが重要になってくるのだけど、それは特殊な道具を用いて行う手筈になってるの。しかしこの部隊はそれが無い、その代わりにのる撃破経験を持つ私ってわけ」

「聞けば聞くほど頭が痛くなるわ……」


 マリンが頭を抱えたことで他の知り合いたちも気になって寄ってきた。

 最後に私は寄ってきた人たちだけに聞こえるよう小声で忠告した。


「激戦区行きはほぼ確定だから覚悟してね」


 この一言にほぼ全員が顔を引き攣らせたのは言うまでもなかった。一部、私の存在からヤバいと判断してた者たちもいたけど少数だった。


 そして昼頃、ワルカリア討伐軍はパステルの南にある街の近くに陣を敷いた。

 私たちの部隊はすぐに招集をかけられ、指揮官たる騎士から命令を下達された。


「よく聞け!これから我々は街の西門より街に突入する。そして覚悟せよ!敵には化物がおると専らの話だ、無理はするなよ!」


 やはりこの部隊が突入部隊の1つになった。予想通りと言って良いわね。

 この一言で場が完全に沈黙してしまった。皆が想定外の事態に混乱していた。しかし骨ある者の本能は違った。


「俺たちは後方支援じゃなかったのか?」


 すかさずAランクの2人が抗議した。当然だと思う、彼等は後方支援部隊の用心棒だと考えていたはずだ。まさか最前線に出ろなんて言われることは想定してなかったはずだ。


「総大将からの指示だ。済まないが我々は突入部隊の1つになった、この事実は変わらない」


 先程は沈黙だったけど皆が理解したのか、ざわめきの声が大きくなっていく。理解したが故に恐ろしくて仕方ないのだろう。

 私を筆頭に知ってた者たちが頑張って士気を上げるしか無さそうね……。


 指揮官による命令下達の後、西門まで行くと攻城兵器による門への攻撃が実施され、門が破壊された。

 それが合図となり戦闘が始まった。

いつも理を越える剣姫をお読みいただき誠にありがとうございます。

来週から投稿時刻を変更します。


変更前

19:30更新

変更後

12:00更新


更新時刻は変更となりますが、これからも理を越える剣姫をよろしくお願いします。

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