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20話 次なる拠点

 あの姫将軍とツセツ公爵のせいで朝一番で冒険者ギルドに行く予定だったのに昼からになってしまった。

 皆もこの国の貴族からの呼び出しだから仕方が無いのは理解してるけどのんびりはできない。


「まったく、士官なんて冗談じゃないわ!」

「昨日私達に声を掛けてきたあのお姫様ですか。聖女を引き入れようとするなんて、何をお考えなのでしょう?」

「腕の立つ武人には軍に入って欲しいってところだろう。老若男女問わずな。……うちの父も領地を訪れた有力な冒険者には声掛けてたぞ。『家の領軍に入らねぇか』ってな!そんなの乗る奴なんて居なかったが……」


 あぁ、ウェスティン侯爵家でも似たようなことしてたんだ。アステリアは純粋な平民だからその辺の事情を知らないは仕方が無い。

 それにしても普通に考えても実力のある冒険者に声かけても断られるだけだろうに。だって実力があれば士官先から支払われる給料なんて簡単に越えられるし、自由も無い。マトモな雇い主でかつ、余程安定した収入に魅力を感じてるとか言わない限りは応じるなんてありえない。


 因みに前世でも年齢的に冒険者として活動が厳しくなってきたところで応じる人は居たけど、上に行けば行くほど応じていなかった。金も十分稼いでるし魅力感じないんだろうね。当然ランク低い冒険者は安定した収入に目を引かれて勧誘されるなり積極的に応じてたけど。


 何が何であれ私はあの手の士官要求に応えるつもりは一切ない。縛られるつもりは一切無いからね。


 そんな愚痴を言いながらも情報を集めていた。


「この周辺は開発が進んでいるようですわね。この平野部に農耕地帯が広がり、その所々に街があるそうよ。危険な場所が少なくそうで、この街の周辺では野外系の依頼は護衛を除けば皆無でしたわ」

「加えて迷宮も無いみたいだね。穀倉地帯として発達して人の手入れがされてるのでしょう。土地の迷宮化が起こらないのも納得だわ」


 少し見通しが甘かったかな。でもこの辺り一帯が地形的にも情勢的にも安定している証左であり、本来なら喜ばしいことではある。あくまでも荒稼ぎや修練と言う意味では都合が悪いだけ。


「拠点をアンヘイ市に移しますか?王国有数の都市で近くに複数の迷宮があるそうですよ」

「確かにその辺は迷宮が多いけどよ。あそこの領主のマロシヤ公爵は問題のある人物らしいぞ。態々そんなところには行きたかねぇな。東のキイ侯爵領の方が安定してる」

「彼処は聖域が多数あると伺っています。宗教的価値観から起こる余計な騒動は嫌ですよ?」


 聖人組の情報はちょっと気になるわね。

 アンヘイ市は川沿いに北上した位置にある大都市だったね。西の国境に近いのもあって、産業基盤に優れた交通の要衝でもあったはず。利便性と言う意味では非常に優れている上にハザマハラに至る道中にあるので私としては地理的にはありがたい。


 だけど領主に問題があるって何の話だろう?

 普通はそんな要地に問題のある人物に治めさせる国は無い。余程腐敗した国でも無い限りだ。


 そんな人物が治めることになれば大都市であっても一気に没落し、衰退することは目に見えている。少なくとも先の姫将軍とツセツ公爵を見る限りは露骨に腐敗した国には見えなかった。

 どんな問題なんだろう?


 個人的には東から何やら気配を感じるから興味はある。魔族の気配では無く普通に聖地で感じた気配に似ている。だけど宗教的な問題があるのであれば情報が集まるまでは止めた方が良いかな。


「アンヘイの手前、オカナガ市辺りが良いかな。彼処にも迷宮はあるしね」


 今手元にある情報を元に私はその一歩手前の街を挙げた。

 口コミやら何やら調べても特に問題に感じるようなことはなかった。領主に関しても可もなく不可もなく特筆すべき点のない存在だ。安定して鍛錬に励めると思って良いだろう。


 貴族組からは大都市希望やら観光でキイ希望があったけどそれは捻じ伏せた。お前ら真面目に鍛錬する気あるのか?



 結局話し合った結果、オカナガ市のさらに手前にあるツタカキ市に向かうことになった。西の山岳地帯に迷宮があり、自然豊かな場所とされている。


 この街に行くことになった理由は貴族組の教育が理由だ。

 ぶっちゃけ4人とも田舎に慣れてなさすぎるのよねぇ。騎士になるにしても冒険者になるにしても田舎に慣れてないと苦労するからね。なのでその教育の為にも田舎町の方が良いという結論に至った。


 貴族組の希望?

 ほとんど考慮せずに終わった。


 当然だ。彼ら彼女らはあまりにもお気楽過ぎる。徹底的に鍛えるくらいで良い。

いつも理を越える剣姫をお読みいただき誠にありがとうございます。これからも宜しくお願いします。

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