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51話 異常な迷宮

本日は3回更新です!

お次は12:00!

 翌朝、私たちは教会の会議室に集まっていた。

 昨日のあまりにも酷すぎるあの迷宮について話し合う為だ。あまりにも酷すぎたせいか、皆気分が優れていない。


「あの迷宮、あまりにも異常過ぎます。穢れから魔物が産まれているようにも見えました」


 アンナが冷静に思っていたことを口にした。彼女の意見は間違っていない。全員が頷く。


 聖人としてあの環境をどうにかしたい。


 皆がそう思ってるのは間違いなかった。

 あの地獄の洞窟をどうやって浄化するのかを考えているのがすぐに分かった。


「正直に言えば前に来た時より魔物の数が遥かに増えています。雰囲気は変わって無くともあれはおかしいとしか思えません」


 セレナさんも聖人の感覚抜きにしておかしいと思っていたらしい。つまりあの洞窟で何かが起きているのは間違いないと考えるべきなのだろう。事態は深刻なのかもしれない。


 だけど今日、全員で行くには少し問題がある。

 それは……


「どうにかしたいとは思いますが一晩明けても疲れが取り切れておりません」


 そう切り出したのは魔道士のレインだ。

 そもそも聖人は聖戦士を別として激しい運動をしない者が多い。なので昨日の戦闘はかなり負荷が高かったらしく、特に彼は激しい筋肉痛を訴えていた。平気なのはバリバリの戦闘員である私とセレナだけだった。


 動けるのは私とセレナだけ、とは言え私も彼女も消耗していないわけではない。


「動けるのはジャンヌさんと私だけ、かぁ……。ちょっと厳しいかな。ジャンヌさんのペースに付いていける気がしないわ」


 まぁそうでしょうね。基礎体力はややセレナが上だけど魔法的素質や技術面では私に手も足も出ない。従って継戦能力や倒せる敵の限度も大きな差がある。彼女でも私に付いていくのは難しいでしょうね。


「私たちでは残念ながら足手纏ですからね。昨日も明らかにジャンヌさんは私たちのフォローをしながら戦ってました。元々私たちが同行したのはジャンヌさんの御目付役としての側面が大きいですし」

「流石にアステリアは気づくわよね。シーネリアの意向は兎も角、今日はパーティーで動くのは難しい、だから皆は体を休めてて。私がソロで偵察に行くわ」


 問題は誰も付いていけないこと、なので単騎で動いた方がマシだ。

 パーティーは下に合わせる必要があるからね。


「しかし大丈夫なのか?背後を守る仲間はいないのだぞ?」

「問題はないわ。アステリアも言ったでしょ?私の実力が突出し過ぎている。複数の仲間をフォローしながら戦うより己の背後を気をつける方が楽なのよ」

「悔しいけど認めるしか無いわ」


 ザーヴェルスは貴族の紳士らしく私を心配しているようだけど、平民出身のアンナは完全に肩を落としている。


「なら俺たちは体を休めつつも適度に訓練した方が良さそうだな」

「そこまで言うなら私がいない間はロートンに訓練の指導させようかしら?」

「うえぇ……指導は苦手なんだよ……」


 ひとまず話し合いの結果、私がソロで偵察、皆は軽く訓練しつつ休息を取ることが決まった。そして明日、私が持ち帰った情報を元に再度方針を検討することに決まった。


ーーーーーーーーーー


 皆を宿舎に残して単独で迷宮に向かった。しかし道中で違和感を覚えた。

 昨日に比べて穢れが明らかに濃くなっている。そして穢れに混じって魔族の邪気まで感じることができた。


 これはマズイかもしれない。

 仮に本当に魔族がいて穢れを撒き散らしているのであれば由々しき事態だ。早急に対処する必要がある。


 急いで迷宮に入口に向かうとそこは既に緊迫した状態だった。

 なんと迷宮の外に魔物がいた。


 本来は迷宮の魔物が外に出ることは少ない。

 迷宮の魔物は迷宮の外の環境を嫌う性質があると言われている。それでも出てくるということは余程のナニカがあることを示している。


 前世では時々この手の災害に呼び出されていたので少し懐かしさはあるものの、放置しておいて良い現象ではないので対処を始めよう。


「ここは魔物が溢れていて危険です!貴女様はお下がりください!」

「その必要はないわ。今日ここに来たのは異変を察知したからよ。それにこの状態なら一人でも手練が必要でしょ?私は単騎での竜狩り経験を持つ冒険者だから問題ないわ」


 聖人だからって護られるのは違うと思う。この国の考え方はやっぱり合わない。


 魔物が迷宮から飛び出し、私に向かって突進してきたのを確認して大太刀を抜いた。さぁ戦闘開始だ!


 最初に飛び出してきたのはバーニングタイガー、飛び出した勢いに乗って燃え盛る爪で私を焼き裂こうと腕を振り下ろしてきた。

 それに対して私は振り下ろされる腕を躱し、逆にバーニングタイガーの背に刃を叩き落とし胴体を真っ二つに斬り裂いた。


「私は中を確認してくるわ」


 そう言い残して、出てくる魔物を魔法で焼き、近づいてくる魔物を斬り捨て迷宮に突入した。


 迷宮の中は昨日よりも穢れが濃い、そして魔物の発生数も比例するかの様に多かった。


 だけど湧いてくる魔物に大物は少ない。これなら簡単に蹴散らして進めるわね。前方に群がる数十の魔物を『フレイムウェーブ』で纏めて焼き払った。無論これで終わりではない。足を止めること無く生き残った魔物や間近で湧いた魔物を斬り捨て、邪魔になるであろう魔物を魔法で蹴散らしながら進んでいく。


 この迷宮の中は前に進めば進むほど瘴気が濃くなっている。そして戦ってるうちに瘴気にも流れがあることに気がついた。


 瘴気に流れがあるのであれば後は簡単だ。

 その上流へと辿っていけば元凶に辿り着ける。


 そして辿り着いた先には予想通り魔族がいた。

いつも理を越える剣姫をお読みいただき誠にありがとうございます。これからも宜しくお願いします。

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