表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/196

7話 残党退治

今回で記念すべき通算100話目となりました

今まで読んでくださった皆様本当にありがとうございます

 私たちが駆けてきたのを見てワルカリアの残党たちは雄叫びを挙げ突撃してきた。何故か1人を除いて……。


 破れかぶれの奴らに負けるほど私たちは弱くはない。

 至近で爆発魔法を穿ち1人をミンチに変え次に来たヤツの剣を刀で受けた。


 グレンは左右から同時に飛びかかられたのに対して、姿勢を低くして身体強化で加速し左から来たヤツの足を斬ったみせた

 足を斬られたヤツはもう立てない、戦闘不能同然ね。相手がワルカリアじゃなくて普通の正規軍だったらかなり効果的な戦術ね。これが意図したものなのかは別として……。


「神官が剣なんて振るえるんか!オラァッ!」

「侮るなよ!小僧が!」


 グレンが手を出すに至れなかった残りの一人が神官長に向けて突撃を仕掛けてきた。残念なことにあの神官長は元冒険者で腕こそ鈍ってるものの剣の心得くらいは普通にある。キレこそ一流ではないけど見ごたえのある剣戟を演じていた。斬りかかってきたヤツの実力が酷いせいか、私たちが助けなくてもなんとかなりそう。

 一般的な神官たちがアレを見たら驚き呆れるだろうな。普通の神官は戦闘行為なんて行わないからね。


 突撃してこなかった残りの一人から魔力の膨らみを感じた。


 危ういと判断した私は鍔迫りから相手の体勢を崩してそのまま首を刎ねた。そして即座に魔力を膨らませたヤツと対峙する姿勢をとる。


 今、破邪聖石を持ち歩いているのは私だけ、つまり私がヤツと対峙する必要がある。仮にグレンも持っていたとしても今のグレンではコイツの相手は荷が重い、いや、重すぎる。ハッキリ言えば長く保たない可能性が高い。


 コイツは対峙しただけで分かる。加護の力に頼りすぎないタイプの加護持ち、加護無くても十分に強い歴戦の戦士だ。勝利至上主義と化したノシュヤみたいなヤツね。最初から手段を選ばないとなると彼より厄介と言わざるおえない。


 ふと横を見ればグレンが片足を失い戦闘不能になっていたワルカリアのメンバーにトドメを刺しヤツを警戒してる。


「破邪聖石か、確かに俺には効果的だな。だがお前らでは勝てんぞ?成長途上のお前らなど俺からしたら大した相手ではない、ノシュヤにすら勝てんだろうな」

「確かにアンタは強い。だけどそのノシュヤと言う男なら私でも倒せたわよ。まぁ仲間からのあるまじき横槍が入って降参に追い込まれていたけどね」

「ほう?」

「あのまま戦っていても多分勝てたわ」

「そうか……その歳であのノシュヤを越えるか、天才とはままならぬ者よな。だがそれでこそ俺が出る価値があるというもの。来いっ!小娘よ!その武威を示してみせよ!」


 もはや言葉は要らない。彼も生粋の武人、ならばここからは武を以て会話をすべきである。


 両者とも無造作に前進する。勢いはつけない、いや、つけられない。そんなことすればカウンターを喰らってしまう。私もヤツもそのレベルに達してる。

 そして間合いを入るなり得物を振るう。弾いては弾かれる、そんな戦いを続けた。両者ともに隙を伺っていた。力も技術も拮抗している。


 今、隙を晒せば一瞬で片が付く、そんな予感がする。恐らくヤツも同じだろう。だから私は戦術に変化を齎すことで突破口を設ける。

 尚、味方でヤツとの戦いに食い付ける者はいない。グレンですら引き付ける役割をこなすのは危険と言わざるおえない。つまり私だけでやる必要がある。


 私は敢えて少し飛ばされる形でヤツの剣を受け流した。そう、距離をとるためだ。


「なに?」


 一歩も引かなかった私が下がったことに違和感を感じたのかヤツは後ろに飛んだ。

 戦術の変化を図ったことはバレている。だけどそれは運の悪いことに悪手でしかない。


 私は『爆炎球』と『アイスピルム』を同時に発動した。どちらも遠距離魔法として有名な魔法、避けられるのは想定の内、だからヤツの想定を上回る。


 ヤツは予想通り避けた。だけど氷と爆炎、この2つが揃ったことによる影響は読めなかったようだった。あたり一面を霧が覆う。

 魔力探知で見てみると動きを止め警戒するような姿勢をとっている。まるで何処から飛び掛かられても反撃可能なように……。


 確かにこの場での反撃対策は有効、だけどそれはミスリードだ。剣戟を一定時間続けたのは強力な魔法を警戒して発動を阻止するのが目的、それは同じだった。だから魔法はそこまでの剣士だと思っていたに違いない、それを利用する。


 多分でしかないけど魔法は隠し味として警戒されてる可能性はある。でもそれは派手な魔法であり地味な魔法はどうとでもなると思われてる可能性が高い。

 地味でこの場でとても効果の高い魔法が求められる。霧であれば特に電撃は有効だ、液体は基本的には水を通すからね。


 魔法の発動と同時に霧の中で電撃が拡散する。これで相手を痺れされる事ができる。痺れさせればこちらが有利になる、そのはずだった。


 霧から魔法が飛んできた。


 避け損なった。足に斬撃痕、まさか『鎌鼬斬り』が来るとはね……。高速で斬撃を飛ばす魔法、如何にも剣士が使いそうな魔法だ。


 この程度の傷なら治癒魔法で何とかなる。そう判断して使おうとしたその瞬間、霧が吹き飛ばされた。


「両者とも有効打は1回ずつか……。お前、恐ろしい実力の持ち主だな……ぐっ……」


 どうやら電撃で麻痺してるらしい。思うように体が動かせないらしい。


「まさかあの状態から『鎌鼬斬り』を仕掛けてくるとは思わなかったわ……油断したわ……」


 向こうが動けないので治癒魔法を再開する。傷はすぐに治った。でも違和感がある。


 解析したらすぐに分かった。どうやら魔力阻害効果があるらしい。これは身体強化に大きく影響する。今は接近戦はしたくないわね……。


 因みに霧の大量発生の瞬間にグレンは神官長を襲っていたワルカリアの兵士を不意打ちで仕留めていた。

 動くに動けなかったけど霧をチャンスと見做したらしい。どうやら自分で手も足も出ないことは理解してたようね。


「魔力阻害効果を無視して強引に治癒しやがったか……バケモンじゃねぇかよ……」

「自ら正体を明かすとはね。まぁ良いわ、この程度でどうにかなるわけがないわ」


 足に魔力を流さないことで魔力阻害を最小限に留められる。ソレに対して向こうは麻痺して思うように動けない、このチャンスを逃すわけにはいかない。


 私は小規模な攻撃魔法を乱射した。今は数で押すのが最適、思うように動けない相手は避けることすら難しいはず。しかし防ぎ続けるのはかなりの負担のはずだ。


「な、に……!?」


 防戦一方で驚きを隠せないようね。足なら魔力阻害も対策可能なことを知らなかったらしい。


 たった1つの小さ過ぎる間違いで戦闘の結果は変わってしまう。それが超高レベルな実力者の戦いというもの。


 しかし私の弾幕も戦闘を優勢にする効果はあれど決定打を与えるには至っていない。


 両者の損耗を繰り返すだけの決め手の無い戦いは突如として終わりを迎えた。

 なんと神官長が動いたのだ。そしてヤツは神官長の動きに気がついていない。


「この状態で神官を放置するとはな、これで終わりだ」


 眩い光の槍がワルカリアの加護持ちに突き刺さった。その光は何かを浄化するように加護持ちの肉体を崩壊させた。


「あれは?」

「神官固有の浄化魔法の一種です。まぁアレが効く時点でワルカリアの正体はお察しと言うべきでしょう」


 やはり、感想はそれだけだった。


「ですが、敵の正体をここで気にしてる暇はありません。祠をこれから開けます」


 そして神官長は儀式を始めた。

いつも理を越える剣姫をお読みいただき誠にありがとうございます。これからも宜しくお願いします。

良ければブックマーク、評価、感想、レビュー等お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ