第5章 3話
リノちゃんがグラスウルフから離れたがらなかったため、少し時間がかかったがモンスタードールズの三人は新潟へ無事旅立っていった。
頑張ってダンジョンをみつけてもらいたい。それにしても繰り返すようだがオルトロスちゃんいなかったけどよかったのだろうか。
グラスウルフ達も最初は警戒していたようだが、リノちゃんのモフりテクニックで一匹が落とされたのを見てからは最終的にはほぼ全員が行列をつくりモフり待ちをしていた。全員お腹丸出しである。途中ティアも並んでいたけどガン無視されていた。並びたくなる気持ちはわからないでもない。
モンスター的にどうなのだろうとは思うが、リノちゃんがテクニシャンなのだろう。個体に応じてモフる箇所を微妙にずらしていた。おそらくだが、各々の弱いところが見えているのだろう。リノちゃんなんて恐ろしい子。
「さて、いろいろあり過ぎてみんなにお土産買ってきたのを忘れてたよ」
「タカシさま、それは甘味ですの?」
「うん。ロールケーキといってケーキのスポンジでたっぷりのクリームを包み込んだものなんだ。しっとりやわらかふわふわ食感だよ」
「聞いてるだけで美味しそうですね」
「うん。レヴィも楽しみにしててね」
それからはゴブリン達も呼んでの歓迎会&作戦大成功パーティーを開いた。オードブルからフライドチキンやピザ等のパーティーメニューも用意した。もちろんデザートはザラメ醤油ロールケーキを切り分ける。
レヴィから話を聞いたらティアにミサイルが着弾して翼がズタズタに引き裂かれたらしい。上空からのミサイルに気をとられてのことらしいけど、ダンジョンの外ではちょっとした油断が命取りになりそうだ。まぁ、あまり外に出ないようにしよう。
チラッとティアを見たらフライドチキンに夢中だった。大丈夫そうだね。
「お姉さまは本当に食べるのが好きですね」
「双子なのにレヴィは違うの?」
「私も好きですよ。でも私の場合は大切な人と一緒に食べるご飯が好きです」
そういうと僕が食べていたピザをはむっと食べた。こ、これは高度な妹プレイ間接キッスじゃないか。レヴィの中で妹プレイはここまでいけるのか。すかさず僕はレヴィの食べた後を美味しくいただく。
なんだこの舌がしびれるような甘美な味わいは。さっきまでのピザじゃない。レヴィの唾液がスパイス的に作用している。美少女の食べかけピザまさにプライスレス。
「はい。レヴィ、あーん」
はむっ。
パクっ。
マーベラス!!!!
「はい。レヴィ、あーん」
はむっ。
パクっ。
マァァァァベラス!!!!
「ちょっ、何いちゃついてるんですか!」
まずい。レイコさんにみつかってしまった。
「ゴブゴブッ」
「ゴブッゴブッ」
「ゴブフガゴブ」
「ゴブッ」
レイコさんはUターンするとゴブリン達にコークスクリューブローをお見舞いしていた。漫画以外ではじめて見たよ。このパンチはワインボトル先輩直伝で腕に軸回転を加えるパンチだ。名前の由来はワインの栓を抜く道具のコルク抜きからきているそうだ。
とりあえずナイスゴブリン!とだけ言っておこう。お前らのことは忘れないよ……。僕はそっと手を合わせた。
「ゴブリンさん達死んでないですよね!リポップしないんですよね!治癒必要ですか?」
レヴィが慌てているのはめずらしい。それぐらいゴブリン達は綺麗な放物線を描いて跳んでいる。そう。飛んでいるのではなく自ら後方に跳んでいるのだ。
レイコの必殺技を喰らいつくしたゴブリン達だからこそ出来る伝統芸といえよう。よい子は絶対真似しちゃいけませんよ。
「大丈夫、大丈夫。はい。レヴィ、あーん」
はむっ。
パクっ。
マァァァァベラス!!!!
「お、お兄さま、う、うしろ」
振り向くと、そこにはとてもいい顔をしたレイコさんがいた。
「コークスクリュー、ブロォォォォ!!!!」
レイコさんそれは心臓に打ってはいけないパンチ…………。
「お、お兄さまぁぁぁ!!」




