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第20章 2話

「今回はアモナ姫には申し訳ないけどお留守番をと言いたいところなんだけど、認識(スキャン)のスキルを使う可能性も考えると同行お願いしたい。魔王様にちゃんと許可もらわないとならないよね……」


「大丈夫です! お父様にも話をつけておきましたので私は自由なのです」


 満面の笑みで僕の手を握ってくるアモナ姫はやってやりましたわ! といった表情をされている。


「アモナ様は二日間に及ぶ泣き落としで魔王様を陥落させたのです。条件はつきましたが、寧ろタカシ様のお力になるかと思われます」


 相変わらず娘に弱い魔王様だ。初日でほぼ諦めていたことだろう。よく二日も耐えたものだ。


「えーっと、ちなみにどんな条件がついたのかな?」


「なんと、タカモト様がアモナ姫の護衛につきます!」


 おー、それは凄い。魔族で一番強い人だからね。それはかなり助かるな。


「それは凄いね。もう娘の為ならば手段を選ばずという感じだね」


「お父様も押さえるべきポイントをご存じなのてす。この最終決戦で公爵派が勝てば長く続いた人族との戦いがようやく終わるのですから」


「タカモトさんどのくらい手伝ってくれるかな。可能なら戦闘中に師団長とか抑えといてもらいたいね」


 確かに、ここが大事なポイントであることは間違いない。近衛師団の動きもある程度押さえているし、メルキオールももういない。近衛師団の捨て身の攻撃というのが面倒かなぁぐらいだけど、前日の食事で毒を混入させてお腹を壊させれば、特段こちらで手を下すまでもなく相手のお腹が下っていることだろう。


「水竜の出番はまだですの? いつでも準備は整ってますわ!」


「ティア、水竜が現れたら魔族が絡んでいそうだとバレちゃうでしょ。今回はドラゴン禁止だよ」


「それは残念ですわ」


 とりあえずはメルキオールに姿を変えているカイトさんと合流するところからだね。何かしら新しい情報が入っていることだろう。アンジェリカさんの旅団が特攻してくるとして、近衛師団本体の動きも正確に確認しておきたい。


「ピースケ、またお留守番になるけど頼んでいたことをお願いするね」


「任せるっす。ワインボトルの状況確認、ダンジョンマスターのドロシーに関する情報収集っすね。第二世界にいるのなら情報はすぐ集まるはずっすよ」


「お願いね。ボトル先輩は無事だといいんだけどね……」


「ワインボトルの状況は前回から調べさせているからもうデータは揃っているはずっすよ」


 レイコさんが心配そうな顔をしているが、現時点で僕たちに出来ることは無事を祈ることぐらいしかない。


「ドロシーさんもポイントをクリアしているといいんだけどね。第二世界って勇者のいた世界だからダンジョン大変そうだもんね」


 あっ、余計なことを言ってしまったな。あからさまにレイコさんの表情が曇ってしまった。


「今は信じるしかないですね。吉報をお待ちして、私たちはしっかりとこの内戦を終わらせてしまいましょう」


「そうだね。僕たちは僕たちで出来ることをやっていこう。手の届かないことで、あーだこーだ考えても嫌なことが浮かぶばかりだと思うんだ。今は目の前のことを片付けていこう」


「お兄さま、そろそろ行きますか?」


「そうだね。それじゃあ、侯爵様の館へ向かおうか」


「ジルさん、タカモトさんを呼んでもらえるかな?」


 あれっ、侯爵様の館へどうやって行くんだっけ。ティア先生とレヴィ以外が僕の後ろに並んでいる。そうか、僕だけまた水竜に乗って王都近くまで飛んでいくんだね。


「お姉さま、次は順番的に私が乗せる番ではないでしょうか」


「そうね、順番的にはそうかもしれないわ。でもねレヴィ、これから私達は戦場に赴くの。遊びじゃないのよ。不馴れなあなたが背中のタカシ様を落とそうものなら全てが台無しになるわ」


「大丈夫です。私はお姉さまのように気分がハイにはなったりませんし、いつでも冷静です!」


「わかったわ。じゃあ帰り道は譲るわ。行きは私の優雅なフライトを見てしっかり勉強なさい」


 双子の話合いにどうやら結論が出たようだ。大抵の場合においてティア先生が強い。理論的でも正論でもないけどなんとなく勢いでねじ伏せる強さがある。まぁ、レヴィもどちらかというと控えめな性格なので、姉の強気な雰囲気に流されやすいというのもある。


 とりあえず今回のドラゴンライドは行きがティア先生で帰りがレヴィということで決定したらしい。ドラゴン禁止だよとか言っておきながら早速必要になってしまったな。

5月24日発売日となりました。

集英社ダッシュエックス文庫より発売です!

お楽しみ頂けたら嬉しいです!


引き続きWebの方もよろしくお願いします。

ポイントやブクマがまだの方は是非ともよろしくお願いします。

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