第2章 14話
目が覚めると私はベッドの上にいた。
ここは私の部屋?いや違う。この感じはダンジョンの中?
そういえば!み、みんなは、みんなはどこ?
「目が覚めたようですね。気分はいかがですか?はい。お水です」
青い髪をツインテールにした美しい少女がコップに入った水を差し出してくる。
ゴクッゴクッ。
喉がものすごく渇いていたみたい。
少しだけ落ち着くことができた。
「ありがとうございます。あっ、あの!ここは?」
「ここは『千葉ダンジョン』です」
「そ、そうですか。やっぱり『千葉ダンジョン』だったのですね。他の、みんなは……」
「そのあたりはマスターから説明した方がいいと思います。レイコさんが起きたことを伝えて参りますね」
そう言って、その美少女は扉を出ていった。
私が『千葉ダンジョン』にいるということは、『千葉ダンジョン』の傘下に入ったということになる。おそらく先輩がそうしたのだろう。先輩…。
じゃあ他のみんなは……。
コンコン。扉をノックする音とタカシさんの声が聞こえてきた。
「レイコさん、タカシです。入りますね」
「あっ、はい」
聞きたくない。子供みたいにそう思ってしまう。
結果は変わらないのに話を先延ばしにしたくなる。
「山梨ダンジョンであったことを説明するね」
黙ったまま頷くことしか出来ない。
「警察の特殊部隊が侵入してきたのは覚えてるよね。ゴブリン達が時間を稼いでいる時にレイコさんはボトル先輩の指示で動いたゴブリンリーダーに気絶させられたんだ」
「先輩……」
「レイコさんが気絶したあと管理権限をボトル先輩が代行して僕に委譲した。そしてすぐに、ボトル先輩もゴブリンリーダーも特殊部隊へ向かって突撃したんだ。何発も銃弾を受けながらも特殊部隊をぶん殴っていた。みんな最期までとてもいい顔をしていたと思う」
うぅっ…えっぐ…っぐ。
「ボトル先輩からレイコさんへ伝言を預かっている」
「お前らしく、そして強く生きろ」
わぁああん。あーぁん。えぐっ、わぁぁぁー。
むせび泣くように泣き崩れるレイコさんの背中をレヴィがさすってあげていた。
「レヴィすまないが、しばらくレイコさんのことを頼む」
「はい。お兄さま。お任せください」
ティア達が死んだら僕はどう思うのだろう。
レイコさんのようにひどく悲しむのだろうか。憎しみから激昂するのだろうか。その時になってみなければ分からないかもしれない。
レイコさんが彼らを家族と思っていたように僕もみんなをかけがえのない仲間であり家族だと思っている。
だからこそ、侵入者には容赦しない。
容赦なんかしてはいけない。
僕自身かなりレベルも上がっており、正直どんな軍隊が来たとしても僕一人でなんとか出来てしまうだろう。
ティアやレヴィも強い。
だからこそ、ダンジョンを攻略されるというイメージがどこか薄くなっていたのだろう。
山梨ダンジョンの攻略を目の前にし、あらためて気を引き締めることが出来たように思える。
あんな悲しいことは二度とみたくないし、このダンジョンでは決してやらせない。
絶対に攻略できないダンジョンを造り続けよう。
その日、僕はダンジョンをひたすら強化した。
悲しい想いをしないように。そして、この生活とみんなを守り続けるために。
タカシ(ダンジョンマスター)
レベル42
保有ポイント1億8千5百20万
体力480
魔力1040
攻撃力215
守備力220
素早さ217
魔法:水、土、雷、氷属性初級
スキル:魔力操作レベルMAX
装備:賢者の杖
ティア(水竜)
レベル20
体力520
魔力480
攻撃力320
守備力490
素早さ290
魔法:水属性中級、氷属性初級
スキル:魔力操作レベル1
レヴィ(水竜)
レベル20
体力480
魔力340
攻撃力280
守備力450
素早さ500
魔法:水属性中級、氷属性初級
スキル:魔力操作レベル1




