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第12章 4話

「ぐぅあぁぁぁぁ! うわぁっ、ヒィヤァー!!! ヒィーヒー!!」


 ジュプシッ! ザシュッ! クチャッ クチュッ


 入口付近に現れた二体のドラゴンは手当たり次第に頭を食いちぎり、前足で首を切り裂いては、倒れている『ガルーダ』の心臓を踏み抜いていった。


 あっという間にとんでも惨状が出来上がっていく。次々と積み重なっていく『ガルーダ』の死体。逃げ惑う『ガルーダ』達で通路は埋まってしまっている。通路に入りきれない『ガルーダ』が入口を出ようと試みるが、塞ぐように鎮座しているドラゴンにあっさりと殺されていく。


「久々にレベルが上がってるわ。これはレベル30オーバーは堅いわね。レヴィ、今日はとてもいい日だわ」


「お姉さまは油断し過ぎですのでもう少し注意してもらいたいのですが、この鳥達の方がダメみたいですね。お兄様のダンジョンを舐めすぎています。少し恐怖というものを知っておいてもらった方が来世の勉強になるかと思います」


「レ、レヴィがキレているかしら……」


 グオオオオオォォォォォ!!


 レヴィは咆哮をあげると一気に突っ込んでいった。


「に、逃げろー!! つ、通路に逃げ込むんだ! どけー!!」


 ズザズザザザザザザザッーーー、ガァァプッ!!!


「た、助けてくれぇぇ……あぁ! ヒィアァァァ!」


 通路に逃げ込んだばかりの『ガルーダ』をドラゴンはその長い首を突っ込んで強靭な牙に引っ掛けながら連れ去っていく。


「い、急げ! 奥へ、とにかくもっと奥へ入るんだ」


 よ、よし、もう首は届かない。これだけ離れれば、ドラゴンは入ってこれないはず。


 ……いや、違う。こんな狭い場所でさっきの魔法を撃たれたら今度こそまずい。全滅しちまう……。ダメだ、とにかく急いで先に進むしかない!?


 ゴォォォォー!!!


 後ろからは魔法の音が聞こえてくる。ヤ、ヤバい! またあの水魔法か!


「は、早く進めぇー!」


 とにかくすぐにこの迷路を抜けなければ……。


「お前ら邪魔だ、早く道をあけろ! おい、迷路を抜けた奴はいねぇのか! 抜けた奴は、俺にいち早く伝えろ! とにかくでけー声で知らせろよ!」


 シュゴオオォォォォー!!!


「や、ち、近い! み、水が来てるぞぉぉぉ!!!」


 ドゴオオォォォォォー!!!


 一瞬で濁流と大量の『ガルーダ』に巻き込まれ強烈な勢いで壁や天井、地面にぶつかりながら流されていく。


「ぐふぁッ! ブボペップォ!!!」


 ドッシャァァァァァァー!!!!!


 ぐっちゃぐちゃになりながら流されて行き着いた先が行き止まりでなかったのは運が良かった。溺死せずに済んだのだから。


「はぁ……はぁ……はぁ……な、何なんだこのダンジョンは。……め、迷路は抜けられたのか」


 周りを見ると少し開けた場所に出たようで黄色い花が咲き乱れていた。『ガルーダメイジ』と『ガルーダ』も辿り着いていたが、かなりの数がすでに命を落としている。生き残った者も息も絶え絶えの状態で動くのがやっとに見える。


 数えるのも面倒だが、見た感じ動けるのは全部で二万もいないだろう。奥には下層へ降りる階段が見えている。一体このダンジョンは何階層あるんだ……。後ろにはドラゴンがいるし、前に進むしかない。


「おい、『ガルーダメイジ』はどれだけ残っている! すぐに来い!」


 集まった『ガルーダメイジ』達に怪我の手当てと一時の休息を命じた。


「魔法は使いすぎるなよ! 最低でも半分は残しておけ」


 チッ、こんなことなら魔力回復薬を持ってくればよかった。こんなはずじゃなかった……。ドラゴンが二体もいるダンジョンなんて聞いたことないぞ。


 パタッ、バタバタッ


 物音に振り返ると何体かの『ガルーダ』が倒れていく。まるで眠りにつくかのように力が抜けて倒れるような……。これはまさか何らかの罠か!


「おい、起きろ! どうしたんだ! 一体何をされたんだ。くそっ! この場所はダメだ。意識のある奴は急いで次の階層に降りろぉぉぉ!」


 大急ぎで滑空し階段を降りていくとそこには沼地の階層が広がっていた。


 沼にはモンスターの気配がある。相手にしている場合ではないな。このダンジョンはとにかく早く攻略する。休んでいたらあっさり殺られてしまう。イーグルと合流出来ればまだ生き残るチャンスが上がるかもしれねぇ。とにかく前へ進むしかない。


「沼には降りるな。あの神殿まで飛んだまま向かう。いいな! おい、お前達は先に神殿内の様子を見てこい」


「はっ!」


 これだけ広い階層なら機動力を活かせる。何か出てきてもやり過ごすことも可能だろう。最悪は『ガルーダ』を囮にして進めばいい。


 そんなことを考えていたら斥候に向かわせた『ガルーダ』達が戻ってきた。


「マスター、神殿内には何もありません。下層へ向かう階段のみでこざいます」


「よし、お前ら進めー!!!」


 こうして、タカシが待ち構える三階層草原のフロアへとジョナサンは辿り着いたのだった。

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