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第11章 11話

「情報を一括に集約しているということはそれなりに信頼の厚いボスモンスターであることが予想されます。おそらくですが、私とタカシさんが大阪で見たアレがそうなのではないかと」


「あー、アレね。ガルーダ達を率いていたし可能性は高いね。見るからに強そうな雰囲気だったもんね」


「はい。自らも外に出て情報の精度を確認しているのかもしれません。おそらくはダンジョンマスターからもある程度自由に行動することを許されているのだと思うのです。狙うのはそこです」


「つまり情報を誘導して誘き寄せるということ?」


「そうですね、戦力を分断していきましょう。彼にはマスターに報告するまでもないけど、少し気になる程度の情報を、ならば自分で調べてみようかといった具合のものを用意しましょう」


「そのタイミングでリリアさんと『大阪ダンジョン』のマスターが長時間の会談をしてたりすると尚いいかもしれないね」


「とてもいいですね。今のところ、ボスモンスターはそのガルーダキングの名前しか挙がっておりません。引き続き情報を集めながら彼に狙いを定めるべきか判断したいと思いますがいかがでしょう?」


 さ、さすが委員長、いやレイコさん。


「うん。今のところはその方向でいいんじゃないかな。ガルーダキングを誘き寄せるちょうどいい罠を平行して考えておく必要があるね」


「お兄さま、それならガルーダ達を利用するのがよいでしょう。直属の部下に問題が起きた方が行動させるきっかけとしてはいいかと」


 うちの頭脳派チームはなかなかに優秀かもしれない。


「面白いね。その方向でいこう!」


「マスター! 俺にもいい案があるぞ」


 どうやらヨルムンガンドちゃんが頭脳派チームに参戦したいみたいだ。残念ながら君の頭脳が五歳児なのは知っている。


「おい、聞いてるのかよ!」


「う、うん。聞いてるよ。それで案というのは?」


「マスターは俺の種族が何か知ってるだろ」


「えーっと、確か『大海蛇』だっけ? それがどうしたの?」


「そうだ。『大海蛇』ってのは名前の通り海に住む種族なんだよ。つまりよぉ、俺は変身したらエラ呼吸が出来るようになるんだ。すげーだろ! 上手く使ってくれよ!」


 すげーな。初耳だよ! って丸投げかよ! し、しかも変身できるのか! ちょ、ちょっと混乱しちゃったじゃないか。いや、まぁティアやレヴィも出来るんだからそりゃ出来るか。まぁあれだ。本格的に海のフロアを造ってもいいかもね。


「ガルーダキング、カモメの情報操作、ガルーダにエラ呼吸か……」


「タカシさん、エラ呼吸使えるかもしれません。大阪湾に飛び込んでくるガルーダ達を海中で捕らえましょう。スピードのあるガルーダ達も海中ではそうはいかないはずです」


 エラ呼吸使えるのか! 見るとドヤ顔のヨルムンガンドちゃんが、ムハーと鼻息があらくてかわいい。


「お兄さま、なんとなくですが方向性は見えてきましたね。念のためですがガルーダ達が何かの異変に気づいて海に飛び込まなかった場合に使えそうな魔法はありませんか?」


「あるよ。暴風雨(テンペスト)という魔法で空を飛ぶガルーダを海に落とせると思う」


「その魔法、あとで見せて頂いてもよろしいですか? ちなみに、その魔法を扱えるのはお兄さまだけでしょうか」


「了解。あとで見せるよ。暴風雨(テンペスト)はサクラちゃんも扱えるよ」


「お兄さまには別の役割をお願いしたいので、出来ればサクラさんにお手伝い願えないでしょうか」


 『新潟ダンジョン』はポイント的にも外出するのも問題ない。サクラちゃんも頼れと言っていたしお願いしてみようかな。


「大丈夫だと思うよ。明日お願いしてみるよ」


「はい。お願いします」


「マスター、カモメ達がまた新しい情報を持ってきてるみたいっす」


「情報のとりまとめはレヴィちゃんと私がやるからタカシさんは休んでください。戻ってきてからあまり休んでないんじゃないですか」


 頭脳派チームのやる気が半端ない。ここは素直にお任せしよう。


「それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらって先に休ませてもらおうかな」


「ゆっくり休んでくださいね」

「お休みなさいませ。お兄さま」


「うん、おやすみー」

「じゃあな!」


 ん? 目を擦りながらヨルムンガンドちゃんが一緒についてきている。しょうがないな。たまには一緒に寝てあげよう。


「あっ、じゃあなマスター! 俺、レイコの部屋だから」


「あ、うん。ヨルムンガンドちゃんお休み……」


 子供は急に大人になるのかもしれない。もう絵本とか読んでも興味ないのかな。エラ呼吸出来るしね。

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