1
4匹の修学旅行のお話しです
-部屋の中には4匹の動物がいます-
部屋に登場した猫の少女は、笑顔で声を張り上げました。
「やあやあ、遅れてごめんにごめんにー☆」
待ち合わせに60分以上遅刻した彼女は、鶏の少年、犬の少年、驢馬の少女へ、そんな、謝罪にもなっていない謝罪を行います。
「お、お前よォ、ちったァ謝り方ってモンが……」 ビキビキッ!?
犬の少年が血管を浮き上がらせてキレていますが。
「……そう言う南さんも、30分以上遅れてきたじゃないですか。
せっかく、いろいろ準備・計画していたのに……台無しですよ……」
待ち合わせの5分前に到着していた鶏の少年は、珍しく怒って……いや、怒りを通り越して、なんかもう、不貞腐れていました。
「ま、まあまあ、せっかくの修学旅行で、1日自由行動日なんだから、楽しくいこうよ、ね!」
笑顔で仲裁する驢馬の少女は、集合場所に1時間前に到着したため、なんと2時間以上部屋に待機していたのですが、笑顔でそんな言葉を話しています。
まあ、久しぶりの4人での自由行動が、本当に楽しみだったのでしょう。
また、メンツがメンツでもあり、最悪揃わない可能性すら考えていたのかもしれません。
因みに、1時間早めに来たというより、集合時間を間違っていたということは、皆には秘密のようです。
「じゃあ、出発しますか」
鶏の少年が、ため息を吐きながらも、笑顔を浮かべています。
「うう、ホントごめん、なんか奢るからさぁ~」
猫の少女は、あまりの空気の悪さに流石に本格的に謝罪しようとしています。
「ま、昼メシで手を打ってやンよォ」
犬の少年が笑いながら猫の少女の肩を叩きます。
「もちろん、遅刻した小犬丸君も一緒にワリカン、だよね?」
驢馬の少女のツッコミに、4匹は声を上げて笑いました。
久しぶりに揃ったブレーメンの動物達は、嬉しそうに部屋から出ていこうとしています。
フフフ。
これから、どんなことが、起こるのかも、知らずに。
暢気なものです。




