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ブレーメンの屠殺場  作者: NiO
その他:ブレーメンの閑話シリーズ
46/53

ブレーメンの新年会 ※おまけ※

 時刻は午前5時。

 場所は某神社。


「凄い神社ですね……こんなにも……誰もいないとは(・・・・・・・)……マイナーにも程がある」


「時間も時間だから、だろうがなァ」


「あ、手水舎だ。

 (そむく)ちゃん、やり方、分かる?


 ……ん? なんで本殿に向かって礼してるの?」


「……小揖なんだけど……まあ、いいや。

 手の洗い方ね。


 まず、柄杓を右手に持って、左手を洗う。

 次に、柄杓を左手に持ち替えて、右手を洗う。

 その次は、もう一度柄杓を右手に持ち替えて、左手に水を受けて口を洗い、その後左手を洗う。

 最後に、柄杓を立てて柄の部分に水を流して終わり。


 あ、実際に口を漱がなくても良いよ」


「次は本堂か。

 これァ分かるぞ。


 まずは軽く頭を下げた後、鈴を鳴らしてカネを入れる。

 2礼2拍手。

 願い事を言って、1礼だなァ」


「おみくじ、おみくじー」


「無人のおみくじ売り場ですね」


「よっしゃ、全員で引いて見せ合いっこしようぜェ」


「「「「せーの!」」」」



『大凶』『大凶』『大凶』『大凶』



「「「「……」」」」


「おい、これ、どーすンだ?」


「ま、まあ実際は書かれている内容が大事だし。

 気になるなら、引き直しもオッケーだよ。 ただ、参拝を最初からしないといけないけど……」


「そ、そうか。

 じゃあ、ひき直そうかなァ」




「ちょっと待って下さい。

 ……この、おみくじに入っている御神体……ニッケルで出来てます(・・・・・・・・・・)


「……おみくじに、神社の名前書いてあるよ。

 『新蹴神社(・・・・)』だ」


「「「「……」」」」


「これは、引き直しても意味ないですね。

 多分、全部大凶です」


「……じゃあ、『災い転じて福となす』で行こうか。

 利き手と逆の手でおみくじを結ぶ所に結べたら、大凶がひっくり返る……らしい、よ」


「チィ……意外と難しいなあ……よし、出来た。

 ……驢馬塚は、早いなァ」


「ちょっとだけ練習したからね」


「ふう、良し、僕も何とか出来ましたよ」


「ふん、ふん、ふんぬー!!」


「「「……」」」


「ふん、くそ、ぐおりゃあああ!!」


「「「……」」」


「ほら、猫屋敷さん。

 一緒にやりましょうか」


「ふんぬ……え、ええええ!?」


「ほら、そっちを掴んで。

 僕がこっち側から回しますから」


「手が、手が!

 顔近い、顔近い!


 ええええ!! ええええ!?」


「……おい、アレ、良いのかァ?」


「……良いなぁ……」


「……ふうん、良いのかァ」


「……よし、結べました」


「うし、じゃあ帰るかァ」


「あ、帰る前に、ちょっとだけ待っててもらって良い?」


「「「……?」」」


「おい、どうしたンだ、“驢馬塚”の奴、また賽銭入れてるぞォ?」


「神社の参拝方法も詳しかったし、オカルト少女だし、なんかやってるんでしょ」


「お待たせー、じゃあ、帰ろっか」


「驢馬塚さん、何してたんですか?」


「えーっと、お賽銭に500円いれてきちゃった」


「ご、500円とは、(そむく)ちゃんってば、剛毅な……」


「剛毅て……まァ、気持ちは分かるがよォ」


「『新蹴神社』って、霊験あらたか過ぎる(・・・・・・・・・)からね。

 ちょっともうこれ以上の御利益(・・・)は要らないかな、って」


「……その心は」


「『これ以上の効果(硬貨)が無いように』、ってね」


「あ、アンパンと牛乳ありますけど、皆さん要ります?」


「食べる食べる!」


「な……流された……」


「……あ、初日の出!」


「……綺麗……」


「なんだか、凄く正月してますねえ、僕たち……」


「……うォ!

 そう言えば、すっかり言い忘れてたわ!」


「「「……。


 ……あああああ、そう言えば!」」」


「ニッケルさんのせいだ……」


「まァ良いだろ、思い出したんだし。

 そんじゃまァ、行くぞォ」



「「「「せーの……」」」」



 あけおめ。


 おわり。

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