3人目と4人目
2015夏ホラー、8月6日には何とか間に合いそうれす。
時刻は4時00分00秒、制限時間は残り3分を切ったところ。
場所は中学校の4年3組、放送室、その、窓辺。
2匹は手を繋いで、外を見ています。
時間は止まっているはずなのに、雲が動いて木々がざわめいています。
生ぬるい風が2人を包みました。
もうすぐ、夜明けです。
「大丈夫。
小犬丸くん、これは、『※』の中。
だから、窓から地面に落ちても、大丈夫」
驢馬の少女が、確かめるように、呟きます。
「おう。
ここは、『※』の中。
窓から地面に落ちても、大丈夫だ」
犬の少年も、一緒になって呟きます。
「……本当に、窓から出ていくんですか。
あっちの……校門からじゃなくて、良いんですか?」
私が2匹に向かって話しかけると。
驢馬の少女がなぞなぞノートに書かれたなぞなぞの一説を復唱します。
「『部屋の中に入ると、その奥にニッケルさんの小部屋がありますので。
ドアからではなく、窓から入ってください』」
「間違いなく……こっちが正解……のはずだ」
「……本当の、本当に、良いんですか?
なぞは、まだ、残っていると思うんですが?」
私は再度考え直すように話しかけましたが、それ以上は会話は不要と判断したのか、2匹は無言で窓から広がる階下の景色を見つめています。
「一応、3階だと思い切りがつかないかもしれないので、13階の高さにしておきましたよ?」
2匹が見る風景は、13階建ての建物からのそれと同じ……しかも、地面はコンクリート。
間違いなく即死の状況です。
「……わざわざ、どうも、ありがと。
それじゃあ、永遠に、バイバイ」
驢馬の少女がその言葉を発すると同時に。
2匹は窓からダイブしました。
「……やれやれ、本当に、落ちちゃいましたかぁ……
最後のなぞを、解きもせず」
誰もいなくなった放送室で、私は独り言ちます。
「うーん。
デスゲーム、ですか、デスゲームですよね……。
さすがに、4匹全員ってのは、やり過ぎだったかなぁ」
深く椅子に腰かけながら、私は今回の一連の流れについて、反省をしてみます。
ですが、覆水盆に返らず。
もう4匹は、私の手の届かないところに行ってしまったのです。
悲しい気持ちで窓辺から階下を見下ろすと。
……2匹が。
……頭から脳みそを出した状態でコンクリートの地面の上に横たわっていました。
「……。
これで、4匹全員。
……他界してしまいましたか。
……残念です」
私は寂しげに、放送室の椅子をキイ、と鳴らすのでした。
次回、最終回。
多分、本日17時頃、更新予定。




