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ブレーメンの屠殺場  作者: NiO
第49日目 放送室:ニッケルさん
33/53

3人目と4人目

2015夏ホラー、8月6日には何とか間に合いそうれす。

 時刻は4時00分00秒、制限時間は残り3分を切ったところ。

 場所は中学校の4年3組、放送室、その、窓辺。



 2匹は手を繋いで、外を見ています。


 時間は止まっているはずなのに、雲が動いて木々がざわめいています。

 生ぬるい風が2人を包みました。

 もうすぐ、夜明けです。


「大丈夫。

 小犬丸くん、これは、『※』の中。

 だから、窓から地面に落ちても、大丈夫」


 驢馬の少女が、確かめるように、呟きます。


「おう。

 ここは、『※』の中。

 窓から地面に落ちても、大丈夫だ」


 犬の少年も、一緒になって呟きます。


「……本当に、窓から出ていくんですか。

 あっちの……校門からじゃなくて、良いんですか?」


 私が2匹に向かって話しかけると。

 驢馬の少女がなぞなぞノートに書かれたなぞなぞの一説を復唱します。


「『部屋の中に入ると、その奥にニッケルさんの小部屋がありますので。

ドアからではなく(・・・・・・・・)窓から入ってください(・・・・・・・・・・)』」


「間違いなく……こっちが正解……のはずだ」


「……本当の、本当に、良いんですか?

 なぞは、まだ、残っていると思うんですが?」


 私は再度考え直すように話しかけましたが、それ以上は会話は不要と判断したのか、2匹は無言で窓から広がる階下の景色を見つめています。


「一応、3階だと思い切りがつかないかもしれないので、13階の高さにしておきましたよ?」


 2匹が見る風景は、13階建ての建物からのそれと同じ……しかも、地面はコンクリート。

 間違いなく即死の状況です。


「……わざわざ、どうも、ありがと。

 それじゃあ、永遠に、バイバイ」


 驢馬の少女がその言葉を発すると同時に。


 2匹は窓からダイブしました。



「……やれやれ、本当に、落ちちゃいましたかぁ……








 最後のなぞを(・・・・・・)解きもせず(・・・・・)



 誰もいなくなった放送室で、私は独り言ちます。




「うーん。

 デスゲーム、ですか、デスゲームですよね……。




 さすがに、4匹全員(・・・・)ってのは(・・・・)やり過ぎだったかなぁ(・・・・・・・・・・)



 深く椅子に腰かけながら、私は今回の一連の流れについて、反省をしてみます。


 ですが、覆水盆に返らず。


 もう4匹は、私の手の届かないところに行ってしまったのです。


 悲しい気持ちで窓辺から階下を見下ろすと。


 ……2匹が。


……頭から脳みそを出した(・・・・・・・・・・)状態でコンクリートの(・・・・・・・・・・)地面の上に横たわって(・・・・・・・・・・)いました(・・・・)



「……。

 これで、4匹全員。




……他界してしまいました(・・・・・・・・・・)()



 ……残念です(・・・・)


 私は寂しげに、放送室の椅子をキイ、と鳴らすのでした。


次回、最終回。

多分、本日17時頃、更新予定。

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