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ブレーメンの屠殺場  作者: NiO
第49日目 放送室:ニッケルさん
32/53

7不思議その0 ニッケルさん

 時刻は4時00分00秒、制限時間は残り8分を切ったところ。

 場所は中学校の4年3組、放送室。


 私は、放送のボタンを押して、マイクからしゃべりかけます。



♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪


『全校生徒のみなさん。

 夜中の4時です。

 校舎の中に残っている人たちは。

 速やかに帰宅しましょう。

 帰るときは、寄り道をしないで。

 車に気を付けて帰りましょう。

 繰り返します……』


♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪



「え? え? これは……」


「問題に集中!」


「お、おう!」 


 驢馬の少女の発言に、犬の少年は我に返るとなぞなぞノートを読み返します。


 ……改めて考えてみると、ニッケルさん(わたし)の絵本を見つける過程は、とても大変です。

 13階のビルを上るところなんかは、特にそうでしょう。

 犬の少年も、同情するように問題文を読み進めています。


『ビルの中には部屋がたくさんありますが、43と数字の書かれた部屋に入ってください』


「……?」



 43?

 なんだか聞いた事があります。



 ……4年……3組?



 ……じゃあ、これは。



「あ、あ、あ、そうか!!」




 そうです。

 この、ニッケルさん(わたし)の絵本を見つける道のりは。





 そのまま(・・・・)今回のなぞなぞ全ての(・・・・・・・・・・)答えになっていた(・・・・・・・・)のです(・・・)



 犬の少年は1つずつ思い返します。



『まず目の前に3つの鳥居を見つけることが出来るので、その真ん中を通ってください』


 第1問 鉄と綿  真ん中のサークル



『次に左右に分岐する道がいくつかあるので、最初を右へ、次を左へ向かってください』


 第2問 正直村と嘘吐き村  理科室、右の扉

 第3問 ウサギかカメ  左の檻



『更に進むと5人の兄弟が邪魔をしてきますので、真ん中の子に話しかけてください』


 第4問 5つの部屋  3番目の部屋



『話しかけると、彼は金目のものを要求してきますのでポケットの中にあるコインを渡してください』


 第5問 7色の謎  金、銀など 金偏がつく色



『彼はビルに案内してくれるので、そのビルの13階まで上りましょう』


 第6問 5感  10の0乗階からスタートして10の12乗階まで、実質13階



『ビルの中には部屋がたくさんありますが、43と数字の書かれた部屋へ入ってください』


 第7問 100の部屋  4年3組





 ここで、犬の少年は思い至ります。


「え? じゃあこの……『ブレーメンの屠殺場』っていう空間は、俺たちの……『※』?」 


 犬の少年は、そう呟いて、驚きます。

 『※』という言葉が、言えないことに。


 驢馬の少女は笑顔で振り返ると、犬の少年に話しだします。


「そう、ここは、私たちの『※』の中。

 私たちは、49日間の覚めない『※』を見させられている」



 少女は、1番最初のメール……ルール説明のメールを犬の少年に見せながら解説しています。


「ここ、クリアの条件を見てみて。

 “条件:ミッションを正解し続け、『ブレーメンの屠殺場』から抜け出す術を見つける(・・・・・・・・・・)()

 つまりこれ、読みようによっては、『ミッションを正解し続け』るだけでは、抜け出せない(・・・・・・)

 抜け出す術を(・・・・・・)見つけなければ(・・・・・・・)!!」



「素晴らしいです!」


 私は思わず、歓声を上げて手を叩きます。


それこそが鶏の少年(・・・・・・・・・)そして猫の少女が(・・・・・・・・)辿り着いた真実です(・・・・・・・・・)



 ミッションを正解し続けながら、この世界が『※』であることに気づいたものだけが、ここから抜け出すことが出来るのです。



「さて……もう、時間もありません。

 宴も(たけなわ)ですね。

 どうぞ、ゴールへお向かい下さい」


 私は笑いながら、先を促します。


 促す先には、校門の扉(・・・・)



「いや、違うな」


 犬の少年が首を振り、驢馬の少女が笑顔で頷きます。


「私たちが向かうのは、そっちの……校門風の扉じゃない」


「……そっちの……




 窓の方だ(・・・・)


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