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ブレーメンの屠殺場  作者: NiO
第35-42日目 1階校舎奥階段:幽霊階段
26/53

第6問 5感

 時刻は3時前。

 場所は1階校舎奥の階段へ向かう廊下。



「ところで、『幽霊階段と無限教室』はどういう話なの?」


「うん。

 夜中の3時33分に幽霊階段を上って3階校舎に行くと、そこには無限に教室が広がっているんだって。

 その教室は全て存在しない幻想の教室だから、部屋の物を壊そうが燃やそうが何をやってもいいんだけど。

 帰るときには必ず、上ってきた階段から下りないといけない。

 別の階段から下りてしまうと、無限教室から抜け出すことはできない……だったかな」


 そんな事を話していると、幽霊階段の前についていました。


「……なんだァ? シャッター?」


 階段はシャッターが下ろされており、シャッターには『時間外立ち入り禁止!』の張り紙が貼られています。


「……夜はシャッターが下ろされているのか。

 侵入防止対策かなあ」



 3人が携帯を見ながら話をしていると。

 “第42日目”が始まり、4人の電話が一斉にメール受信をします。

 内容は、以下の通りでした。



『口だと3階まで上ります。

 目だと4階まで上ります。

 鼻だと9階まで上ります。


 じゃあ、耳だと何階まで上りますか?』


 随分あっさりした内容です。

 そして、例の文字を確認します。



『ただし、間違った答えをすると、死にます』



 顔を上げると、先ほどの張り紙は白紙になっていて、横にボールペンがぶら下がっています。


「答えを書いて……その階層分、上るってことなんだろうなァ」 


「うあ……あたし、5階以上とか上れる気がしないんですけど」


「クソ猫ォ……あんまし、俺らの士気、くじくなや……」


「あ、ごめん……えっと、なるべく少ない階層だと、良いねえ」


 猫の少女が素直に謝ります。

 しかし実際は犬の少年自身も、正直あまり高い階層を上れる気はしていませんでした。

 先ほどの貴婦人による手足への攻撃は、かなりのダメージになっているみたいです。


「……ちょっと待って。

 みんな、時計を確認してみて」


 驢馬の少女が驚きの顔で携帯電話を見つめています。


『3時05分13秒 “第42日目”

 残り 54:47』


「時間が……止まって、いない?」


 そうです。

 今までは、どういう理屈か知りませんがXX時00分ジャストで時間が止まって、その横の残り時間だけがカウントダウンしている形でした。

 今回は、50分以上の時間が割り当てられている代わりに、通常の時間も進んでいるようです。


「このミッションを解いたら、ほとんど休む暇もなく最後のミッションに移行すると思う。

 連続にする意味を考えると……多分、49日目のミッションは、無限教室がらみかな」


「とにかく、急いで解こう。

 早ければ早いほど、次のアドバンテージになるし」


 3匹は頭を捻って考えます。


「目が4で、口が3……」


 3匹とも頭を捻っています。

 多分、今回も、気づき一発系だと思うのですが、



「……え?あ、わかった!

 わ、わかったけど、え? え? え??」



 猫の少女が正解が解った喜びの声を上げた後に、すかさず困惑の声を上げました。

 せっかく答えが解ったと言うのに、なんだか絶望した表情をしています。


 ……上る階数が、多かったのでしょうか?



「ホント?

 教えて、猫屋敷さん!

 答えは?」


「その顔だと、かなり上らないとダメらしいな。

 いくつだ、5か、10か?」


「……ちょう」


「「……は?」」


 猫の少女は突然、ペンを握るとガレージの張り紙に答えを書き込みます。


 紙の左端に『1』と記載すると。






 ……そこから『000000……』とゼロを無数に書き始めました。






 0の多さにぽかんとする他2匹。


 そして、答えを書き終えた猫の少女が呟きます。


「口は3()覚。

 目は4()覚。

 鼻は9(きゅう)覚。


 そして……


 耳は……




 100000000000(ちょう)0覚……」



 シャッターが正解であると告げるように、ガラガラと上にあがって行きます。



 絶望する3匹の目の前には。

 全く先が見えない、永遠に続くと思われる階段が、姿を現したのでした。

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[一言] おいおいおいおい0×12て
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