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二度も親を失った俺は、今日も最強を目指す   作者: SO/N
四章 タッグ戦

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四十七話 人任せ

 



「ど、どっちも!?」

「両方とも突っ込んで来たか……これはやりがいがあるなっ!」


 俺たちの突進にカーズは驚き、ソーラはたぎっていた。

 そんな様子を確認しながら、俺はニイダに一応聞いておく。


「……お前はどっちにする?」

「じゃあ……俺はソーラさんを!」

「分かった。」


 二手に別れて俺はカーズ、ニイダはソーラを標的にした。


「おっと、通さないぞ!」


 その話を聞いていたのか、ソーラは俺たち2人を足止めしようとする。そして、その背後から魔法の気配を感じ取る。


「『アクアランス』!」

「おっと!」

「……………」


 カーズが放つ中級魔法の水の槍を俺たちは全て避け切る。

 しかし、その避けた隙を狙うように前に出ていたニイダをソーラは剣で斬り伏せようとする。


「ウルスさん!」

「ああ、『フレイム』!」

「ちっ……!」


 俺はそれを防ぐため、フレイムをソーラ目掛けて放った。

 それを見てソーラは攻撃を止め、フレイムを避けるように大きく距離を取ろうとした。


「あら、逃げるっすか!」

「つ、詰め……ぐっ!」


 ニイダはその行動を好機と見たのか、ソーラが距離を取った瞬間にその間を詰めて短剣でソーラを斬った。

 続けてニイダは()()()()()斬りかかるが、流石にソーラも反持っていた片手盾で反応し受け止めた。


「剣と盾……いいバランスっすけど、それじゃ動けないっすね?」

「ま、不味い……!」

「ウルスさん、どうぞ行ってくださいっす!」

「ああ、そうさせてもらう。」


 ニイダの開けた道を進んでいく。


 今、ニイダは短剣を使って全力で盾と競り合っている。だとすれば当然ソーラも盾の方に力を集中させているだろう。


「ぐっ……!」

「ほら、その剣は使わないんすか?」

「っ……なら、望み通りにやってやる!!」


 ニイダの煽りに反応したソーラは剣を上から振り下ろし、ニイダを斬ろうとしたが………


「よっと。」

「なっ……!」


 それを読んでいたニイダは軽々とその剣を避ける。すると、ソーラはさっきまで短剣を受け止めていた盾の方に体の重心を全て注いでいたようで、誘われるように剣振るったせいか体重移動を失敗したようで、その場で大きくフラついた。


(……なるほどな。)


 ソーラの武器は片手剣と片手盾といった、この世界では珍しい構成である。

 今フラついてしまったのは、さっきから力を入れていた盾の方を維持しながら剣を全力で振ったためであり、ニイダが不意に短剣を離してしまった結果、盾の方の力が制御できなくなり身体のバランスが取れなくなった……といったところだろう。


 上手くいったことからか、ニイダは()()()を見て誇らしげに笑う。





(………俺も集中するか。)


 ソーラのことはニイダに任せて、俺はカーズを見据える。


「……!」


 カーズはソーラが行動できないところを見て、背中に備えていた槍を抜いて構えた。


「……はっ!」

(突きは……流す!)



 俺は槍の突きに対して剣を抜き、剣身で滑らして受け流しながら距離を詰める。


 カーズの持っている武器はカーズ自身よりも長い槍であり、目測で2メートルくらいのものだった。動きはやや拙さが見えるところから、あまり槍の使いは慣れていなさそうだ。



「っ……らぁ!」


 カーズは俺が接近するのに焦ったのか、突いた槍を横に振ってきた。



(……甘い。)

「な、しゃがんで……ぐっ!!?」



 俺は横に振られた槍に対して滑らしていた剣を離し、しゃがんで避ける。そしてそのまま低い姿勢を保ちながら距離を詰めて剣を振りかざした。

 そしてカーズは俺の行動に驚いて全く動けず、もろに剣を食らっていた。


(次は…………)


 その怯んでいる隙を見て、俺はさっきまでカーズへと向かっていっていた方向へと後ろ歩きしながら距離を取る。


「な、なんて動き……!」

「驚いている暇はないぞ。」

「……? 後ろ…………?」



 俺はカーズの背後を指差して、視線を向かせた。

 その瞬間…




「うおっ!」

「えっ、ソー……ぐふっ!?」



 いきなり吹っ飛んできたソーラに反応しきれず、カーズはソーラの下敷きになる。

 それを横目にしながらニイダはヘラヘラと笑いながらこっちは走ってきた。


「いやぁ、上手くいったっすね……ってか、よく俺のしたいことがわかったっすね?」

「……別に分かってた訳じゃない。ただ、()()()()()()()()()()()()だろ、それを見て何かするつもりなんだろうと考えただけだ。」

「それで隙を作ってくれたと……何か、結局作戦は無いのに作戦っぽいことしちゃってるっすね。」

「……そうだな。」



 まだ浅い付き合いだが……ニイダはよく笑う。しかし、その笑みに純度はカケラも無い。大概何かを企んでいる薄気味悪い物だ。


(……お前がこっちを探るなら、こっちもこの試合で探らせてもらおう。)




「『アクアランス』!」

「うぉっと……立て直してきたっすね。」


 心の中でそう宣言していると向こうから水の槍が飛んできたが、俺たちは軽く避ける。

 その飛んできた方向を見ると、カーズとソーラが横並びに立とうとしていた。どうやら今度は2人で同時に攻めてくるつもりのようだ。」



「…………ウルスさん、いい作戦を思いついたっす。」

「作戦?」

「はい……まあ、作戦というか人任せというか。」

「……人任せ?」



 …………あまり良い予感はしないが、ここは耳を傾けるか。




 

 彼に純粋な笑顔なんてあるのでしょうか。


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