四十四話 強さ
「ソルセルリー学院……やっぱ、他の建物と比べても一段とでかいっすね。」
「そうだね……」
学院まで辿り着くと、2人は改めて学院の大きさに感嘆する。
「人族1番の魔導施設だからな、学院だけじゃなくて訓練所や寮もある。敷地の大きさでいえば国の城の敷地と同じくらいらしい。」
「へぇ……そう考えると、私たち凄いところに行ってるんだね。」
………まあ、何より気になるのは………
(ガラルス=ハート………英雄の1人が管理している学院、か。)
師匠はガラルス=ハートがここの学院長ということは知っていたはず……だとすれば、師匠がこの学院を選んだのはおそらく必然的な理由がある。
何でわざわざここを紹介した理由は分からないが、何もないってことは無いはず…………いつかその理由も聞いておかないとな。
「……おっ、あそこにクラス分けが書いてあるっすよ。なになに…………」
「……どうやら、みんな同じクラスのようだな。」
「やった、ローナさんの名前もあるよ!」
「ローナ? 誰っすかその人は?」
「試験で俺たちが知り合った奴だ……また後で紹介する。」
偶然にも、俺たち4人は同じクラスに配属されていた。それは喜ばしいことだが………
(……………ラナ。)
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「あっ、ウルスとミル……と、そのスカーフの人は?」
教室に入るとローナが既に席に座っており、ニイダの顔を見て首を傾げていた。
すると、ニイダは手を大きく広げて自分を見せながら自己紹介を始めた。
「どうも、俺はウルスさんの友達のニイダっす。あなたがローナさんですよね……よろしくっす!」
「そうなんだ……私はローナ、よろしく!」
(……普通に挨拶ができるのか。)
ニイダの挨拶にローナは元気よく返す。せめて俺の時もそうしてくれたほうがいいんだが……どうせ聞かなそうだ。
「……そういえば、2人は他に知り合いがいたりしないの?」
「うーん、私は特にいないな。」
「俺は1つ上の学年に兄がいますね……結構強いっすよ?」
「お兄さんか……羨ましいなぁ。」
「いやぁ、そんな良いことばかりでもないっすよ。あの人、人が気にしてることばっかり突いてくるっすから。」
(…………似た者同士だろ。)
なんて心の中でツッコミを入れていると……一瞬、教室の喧騒が止んだ。その原因は…………
「……あっ、ウルスくん。あの人って確か次席の……!」
「…………あぁ……」
「確かライナ……だったっけ。綺麗な髪をしてるねぇー」
「堂々としてるっすね……流石次席ってとこっすか。」
教室に入り、1人静かに席に着くライナを見てある人は感嘆………またある人は羨望を彼女に向けていた。
(……………………)
そして俺は………迷いを向けた。
名前・ライナ
種族・人族
年齢・15歳
能力ランク
体力・81
筋力…腕・70 体・74 足・90
魔力・111
魔法・13
付属…なし
称号…【隠れた才能】(隠れた才能を持っている者に贈られる。また、能力成長速度が小上昇する)
(………強い。一体どうやって……)
……ステータスの高さで言えば国の魔導士に入る事も可能なくらいに高い。どうしてここまで強く………
(……………使って、みるか。)
『神眼』
神眼には、相手のステータスを絶対的に覗けるほかに、相手の詳細や来歴…………つまり、相手が今までどんな人生を送って来たのかを知ることができる。
あまり他人の人生を覗くなんて俗な真似はしたくないが……俺は、ラナの強さを知りた…………
〈ライナ〉
ある小さな村で生まれ、しばらくはその村で平和に過ごしていた。だが、家族で街へと旅行をしていた際に村を襲われ、村の人たちや大切な幼馴染がいなくなったため、心に深い傷を負っている。そんな時に称号、『隠れた才能』が贈られた。それを手に入れた彼女は……
「…っ………」
「……ウルス、聞こえてる?おーい。」
(……………見なければ、よかった。)
こんなことを、知ったところで……俺は………ラナには………………
「……ねぇ、ねぇウルス!」
「………あ…………ああ、どうした?」
「どうしたじゃないよ、この学院生活がどうなると思うかって聞いてるの!」
「そ、そうだな………まあ……」
この……学院生活は……………
「楽しいものになると思うぞ。」
苦しい…………だけなのかもしれない。
何してんでしょうね。
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