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二度も親を失った俺は、今日も最強を目指す   作者: SO/N
三章 入学試験 (学院編)

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三十一話 凍れ

 



 ローナは魔法の後ろを追うように迫ってきている。そして前にできたのは水溜り……


「……凍れ。」


 俺は水溜りをそのまま凍らせ、氷の地面を作り出した。

 しかしローナはそれに気づかず、凍った水溜りを踏んでしまう。


「えっ、滑っ……うわっ!!?」

(……かかった。)


 凍った水溜りを踏んだローナは上手く体勢を保てず、滑って転けてしまう。

 それを見届けた俺は飛んできている氷弾を跳び上がって避け、魔法を放つ。


「『フレイム』」

「ぐっ!!魔力防壁が……!」


 転んだままのローナは炎を避けることができず、ダメージをもろに喰らっていた。

 すかさずローナは立ち上がるが、今の一撃が致命的だったのか既に魔力防壁はボロボロだった。


(……上級魔法だったな、確か。少し威力が高すぎたか。)


 ……いまいち加減が難しいな。幸い誰も疑問は感じていなさそうだが、今の一撃は上級魔法にしては威力が高すぎた……もっと上手く調整しないと。


 ローナは俺から軽く距離を取り、体勢を立て直して何故か自信満々に言い始めた。


「ふっ、まだまだっ!! こうなったら、私特製の魔法を使ってあげる!」

「………そんなものがあるのか。」

「いくよ……はぁぁぁっ!!!」


 そう言ってローナは体に力を込め始める。その姿は隙だらけでいつでも攻撃はできそうだったが………せっかくだ、待ってやろう。



「……まとえ、『フレイムアーマー』!!」

「…………炎……」


 詠唱を唱えると同時に、ローナの両腕には炎が鎧のように纏われた。


(………見たことのない魔法だ。)


 どうやら本当にオリジナル魔法のようで、周りの受験者たちも声を上げて驚いていた。


「面白いな……何流なんだ?」

「流派は特に作ってないよ、私しか使ってないし…………それじゃあ改めて……行くよっ!」


 ローナは低姿勢で力を溜めながら接近し、拳を突き出してくる。


「はぁっ!!」

「っ………」

(……思ったより速いな。)


 炎が拳のスピードを増させているのか、攻撃にはステータス以上の威力と速さが乗っていた。

 


「喰らえっ!!」

「ぐっ………」


 一度はローナの拳を避けたが、続けて振られた拳を避けることができず、俺は魔力防壁を削られてしまう。

 一応受け身を取ったのでダメージあまりは無いが、それでもそれなりの威力はあったので、軽く後退させられてしまう。


「……まるで、武闘家だな。」

「まだまだいくよっ!!」


 ローナは俺に攻撃を当てられたからなのか、嬉々として殴りにかかってくる。




 …………恐らく今回の試験は、勝てば合格・負ければ不合格……というわけではない。

 その場の工夫や戦い方・思考の柔軟さ・魔法の使い方など、それらの判断を評価基準として見ているはず。そうでなければ、相手によって合否が決まってしまう理不尽な試験となってしまう。流石にそこまで厳しくはないはずだ。


 だから、最悪負けてもいいが………さっきも言った通り、わざわざここで負けてやる理由はない。

 ローナの実力は正直大したことはない。勝っても何か疑われることなんて特に無いだろう。


「……『アクアランス』」

「そんなもの……効かないよ!」


 俺は大きく距離を取り、ローナ目掛けて中級魔法の水の槍を数本飛ばす。

 だがローナは、それらを次々に炎の拳で壊していき、周りに大粒の水飛沫を撒き散らしていった。



(……………()()()。)




「『ライト』」

「………えっ?」


 俺は手から初級魔法を放つ。この魔法は攻撃性も拘束性もない、ただ眩しい光を放つだけの物だ。


 当然、誰でも使える初級魔法なので性質も知られており、ローナは直視しないように光を避けた。


(……まあ、そうだろうな。)


 それを予想していた俺は、再び()()()()


「凍れ。」

「えっ、また………うっ!?」



 俺が凍れと言った瞬間、飛び立っていた水飛沫が一斉に凍り出し……同時に俺は目を()()()

 そして、その凍った水飛沫の一部は光に当てられ……あちこちに反射させていくのを感じた。

 

「目、目が………!」

(……上手くいったな。)


 目を開けると、必死に目を擦っているローナの姿が見えてきた。

 そんな無防備なローナに対して、俺は距離を取ってからとどめを刺しにいった。



「終わりだ………『フレイム』」

「……っ、ぐはぁっ……!!?」


 俺はフレイムを当て、ローナの魔力防壁を破壊した。




「……そこまでっ! この試合の勝者はウルス!!」





 ある意味、環境のゴリ押しですね。



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