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二度も親を失った俺は、今日も最強を目指す   作者: SO/N
三章 入学試験 (学院編)

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三十話 これでいい

 



「…………そういえば、ウルスとミルってどういう関係なの?」

「どういう………」


 会場に着き、開始の時間を待っている途中にローナはそんなことを聞いてきた。


「……何でそんなことを?」

「いやぁ、仲良さそうだなって思って………もしかして、彼女さんとか?」

「違う、ただの知り合いだ。」

「何だぁ………」

「……失礼な反応だな。」

「ご、ごめんごめん。ついうっかり……」


 ……ミルとの関係か。あまり考えた事はなかったが……



「…………まあ、そうだな。色々言い方はあるが……『家族』、だな。」

「家族? それって…………」





「それでは、そろそろ試験を開始します!」




 そうこうしているうちに、第2会場で始まりの合図が鳴った。

 その合図とともにその場にいた全員が、会場の中心にある舞台の上にいる試験官へと目を向けた。


「まず最初に、ソルセルリー学院入学試験について説明します。今学院では2日間に別れて試験を行い、その結果を参考に合否を決定します。また、ソルセルリー学院では受験者の実践的な実力を知るため、試験内容については事前に詳しく伝えることはありませんでした。」


(……事前に内容を知らせない事で、その人の本当の実力を見極める……ということか。)


 事前に知っていれば、それに向けて対策はできてしまう。その対策を如何に練ることも重要な物の1つではあるが……今回はあくまでその場の力を測りたいのだろう。


「皆さんが聞いていたのはおそらく、初日の試験は武器を使えないということだけだと思います…………では、早速本日の試験内容を発表します。」


 試験官の言葉に、全員が耳を傾ける。


「本日の試験…………それは、『この場にある受験生同士が戦う』です!」












ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー














「そこまで!!」


 試験が始まり、続々と試合が進んでいく。


「いきなり人との勝負か………緊張するなぁ……」

「……そうだな。」


 ローナの言葉に相槌を打ちながら、他の人たちの試合を観戦する。



 今日の試験の内容……それは、『無造作に選ばれた受験者たちが一対一で勝負をする』といったものだった。

 ルールは単純、相手の魔力防壁を壊した方が勝ち……そして事前に言っていた通り、武器の使用は禁止といったものだ。


「……ウルスは自信はあるの?」

「………まあ、それなりに鍛えてはいるし……負けるつもりはない。」


 ………一応、この試験では勝つつもりでいる。いくら実力を見せないと言っても、万が一負けて落ちてしまえば意味がないからな。


「次の試合は……ウルスとローナ! 舞台へと上がってきてください!」

「わ、私たち!?」

「……行くぞ。」


 俺たちは同時に呼ばれ、舞台へと上がっていく。


「……まさかこんな偶然があるなんてね。」

「ああ、だが手は抜かないぞ。」

「もちろん!」


 そう言ってローナは構え、それに倣うように俺も戦う準備をする。


 (……再会して間もなく戦うことになるとは。これも何かの縁だろうか。)



「2人とも、位置に着きましたね。それではルールの確認を……勝敗はどちらかの魔力防壁が壊れるか、気絶するか、あるいは舞台から落ちた場合に決定とします。」



 舞台の広さは直径20メートルほどの広さはある。そう簡単に舞台落ちはないだろうし、この広さは利用できそうだ。


(……さぁ、始まりだ。まずは…………)




「……それでは、始めっ!」

「………!」



 開始の合図ともに、俺はローナのステータスを覗いた。






名前・ローナ

種族・人族

年齢・15歳


能力ランク

体力・49

筋力…腕・29 体・31 足・44

魔力・44


魔法・8

付属…なし

称号…なし






(……まあ、特別特訓していない普通の子供レベルぐらいか。)

「いくよ、ウルス!!」


 俺が確認している間に、ローナは俺との距離を詰めてきていた。

 そして、ローナは走りながら魔法を唱える。


「『アイスショット』!」


 詠唱と同時に、洋神流の数弾の氷の弾が飛んでくる。


(中級のアイスショットか…………なら、これだ。)


「『(ほのお)(たま)』」


 俺は対するように和神流の中級魔法の炎の弾を、氷の弾にぶつける。

 しかし洋神流魔法の特徴として、一度の発動に多くの数を飛ばすことができるというものがある。


 そして、俺が使った和神流魔法は基本的に単発……威力はこちらの方があるものの、この状況では俺の判断は間違いだと見るのが普通だろう。


「1弾だけじゃ防げないよ!」

「知ってる。」


 ローナの挑発にのうのうと返事をする。

 その間に炎の弾は氷の弾を溶かしていくが、数発消したのちに消えていってしまう。そして溶けていった水は地面へと垂れ、小さな『水溜り』を作った。



「………………」



 

(………これでいい。)





 何か企んでますね。


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