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二度も親を失った俺は、今日も最強を目指す   作者: SO/N
三章 入学試験 (学院編)

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二十九話 試験

 



「ウルスとミル……受付完了だ。9時までここで待機しておけ。」

「分かりました。」


 ガータと別れ、ソルセルリー学院に着き受付を済ました後、俺たちは待機場所へと向かった。

 待機場所には既に何百ものの人たちが集まっており、その中には貴族らしき立ち振る舞いをしている者や、試験に向けて瞑想をしている者、数は少ないが獣人や精霊族などの他種族も混じっていた。


「へぇ〜色んな人がいるね。」

「ああ、ソルセルリー学院は人族の中でも1番の魔導施設……人の数は他の所よりも大分多いはすだ。」

「……そういえば、試験の内容は知ってる? もし武器を使うような物だったら……」

「それは大丈夫だ。細かい内容は聞いてないが、とりあえず今日は武器を使わない試験らしい。武器は今日の夕方ぐらいにはできてるだろうし、心配する事は………」


 ない……と言おうとした時、不意に後ろから肩を叩かれた。

 そして、聞き覚えのある声が耳に届く。






「ねぇ! あなたって……もしかして()()!?」



(……ユウ……? 何故その名前を………)


 『ユウ』とは、俺が旅をしていた時に自分に名付けた偽名である。由来はシンプルで『ウルス』の(U)から取ったものだ。


 疑心感を抱きながら後ろを振り返ると、そこには如何にも元気そうな横に髪を束ねた女が俺の肩を掴んでいた。



(………っ、この顔は……旅を始めた頃に会った……!)


 この幼げな顔に、燃えるような赤い髪………間違いない、旅を初めてまだ数ヶ月頃に出会った、ローナだ。


「久しぶり、なんでこんなところに!?」

「っ……………」


 ………不味い。早速俺の強さを知っている奴に会ってしまった。しかも、ローナは俺の強さの()を知っている奴でもない、非常に面倒な存在だ。ミルに言ってたくせに自分が目立っては元も子もな……






「………あれ? もしかして…違う…?」

(……?)


 しかし……俺が予想していた反応は返って来ず、その表情には疑いの色が現れた。




 ………もしかすると……………バレてないのか?



「……俺は『ユウ』って奴じゃないぞ。」

「そ、そうなの!? ごめん、人違いだった!」


 俺は期待を込めてとぼけると、ローナは間違いだと勘違いしたのか慌てて頭を下げてきた。


(……何でバレてないのかは知らないが…好都合だ。)


 俺は気付いていないのを利用して、初対面のように振る舞うことにした。

 そして、隣にいたミルが不思議そうに聞いてきた。


「ん? ウルスくん、知り合いなの?」

「………いや、違う。あんたは一体誰なんだ?」

「え、あ……ごほん! 私はローナ、この街に住んでいる普通の平民だよ………それで、人違いついでに聞くのもなんだけど…………2人の名前は?」

「……俺はウルス、同じく平民だ。」

「私はミル、私もウルスくんと同じ平…民? だよ。」

「ミルにウルス……これも何かの縁、いきなりだけどよろしくね!」


 そう言うとローナは手を出してきた。俺とミルはそれに応えて、手を握った。



 ……正体がバレてないのは幸いだが…………前に会ったのは2年ほど前。いくら成長期とはいえ、顔や体もそこまで変わっていないのに……何故気付かれないのだろうか。


「……ところで、そのユウ? って人は誰なの、ローナさん?」

「そうそう! ユウは昔会った凄い旅人なんだけど……後ろ姿が妙にウルスと似ててね、勘違いしちゃったの。本当ごめん!!」

「別に気にしてない………ちなみに聞くが、そんなにそのユウという奴と俺は似ているのか?」

「うん、だって……」





『九時になりました、それでは試験の説明を行います。』



 俺がローナに理由を聞こうとした時、ちょうどそんなアナウンスが流れ、会話が途切れる。


 ………まあ、今気にしても仕方ない。また後で聞けばいいか。


『試験の内容は大きく二つあります。一つは受験者同士の魔法での試合、もう一つは試験官との試合の二つあります。この二つの試合を通して合格か不合格を決めます……今、みなさんが持っている用紙に魔力を送り、文字を表記しました。用紙を見てください。』


 そう言われ、それぞれ事前に貰った用紙を見始める。

 俺もその用紙を確認すると………




『ウルス 第2会場』



 と、書かれていた。



『みなさんは文字に書いてある会場に行ってください。試合の詳しい内容はそれぞれの会場で説明します……それでは、健闘を祈ります。』


 アナウンスが終わると同時に、ここにいる人たちはそれぞれ移動を始めた。


「ウルスくんとローナさんはどこだった?」

「第2だ。」

「私も第2だよ、ミルは?」

「私は第3だったよ……少し寂しいけど、頑張ってくるよ!」

「ああ、でも()()()()すぎるなよ。」

「…………うん、分かってる!」


 俺は一応ミルに釘を刺しておく。万が一強さがバレたら面倒だからだ。


 ミルは俺の忠告を理解し、1人先に会場へと向かった。


「……じゃあ、折角同じ場所なんだし一緒に行こうよ!」

「ああ。」


 ローナにそう言われ、俺たちも2人で第2会場へ向かうことにした。





 試験の始まりです。


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