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二度も親を失った俺は、今日も最強を目指す   作者: SO/N
十四章 失った者たちに

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百七十七話 手に




「…………降参しましょう、グランさん。」

「なっ…………いや……そう、だな。」

「……そうですか。」


 ガラルスの提案にグランは何か言いかけたが、振り払うように頭を震わせ頷く。それを確認した俺は2つ目の玲瓏龍華を解除し、腕を払ってオーラを解く。

 そして、ゆっくりと地面へ降下し……グラン(ししょう)に手を差し出した。


「……想像以上でした、さすが師匠です。」

「…………ああ、ありがとう。」



 掴まれた手には、まだ熱があった。











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー













「さて……今日はもう疲れたし解散するか。」

「それもそうだな……あっ、おいウルス。勝負も終わったんだしステータスを見せてくれよ。」

「……いいですよ。」


 後片付けをし、学院長室に転移で戻ってきた俺たちだったが、長椅子にぐたっと座っていたクーザにそんなことを言われる。しかし、別に彼らに隠す理由はなかったので、俺は3人に見えるよう自身のステータスを可視化した。





名前・ウルス

種族・人族

年齢・15歳


能力ランク

体力・974

筋力…腕・994 体・952 足・908

魔力・2041


魔法・30

龍魔力・300

神界魔法・2

付属…なし

称号…【運命の束縛者】

   【記憶維持者】

   【魔法を極めし者】

   【限界を超えし者】

   【龍神流継承者】

   【化身流継承者】

   【武身(ぶしん)流継承者(りゅうけいしょうしゃ)】(武身流を習得した者に贈られる)

   【(しん)龍神流(りゅうじんりゅう)継承者(けいしょうしゃ)】(真・龍神流を習得した者に贈られる)

   【裏式(うらしき)使(つか)()】(裏式魔法を扱う者に贈られる)

   【今来(こんらい)使(つか)()】(龍器・テラスの使い手に贈られる)

   【神界・神眼】

   【神界・鬼神化】

   【(りゅう)恩恵(おんけい)】(龍から力を与えられた者に贈られる。発動時、ステータスと魔力操作能力が超上昇する。また、龍の魔力を扱えるようになる。)




「な、長っ……一個いっこ確認するのも一苦労だな。」

今来(じんぎ)に神界魔法は分かるが……最後の称号と『龍魔力』というのが…………」

「ええ、金色成る龍から授かった力です。この魔力と称号を使えば真・龍神流だけではなく、通常の魔法の威力も桁違いに底上げできます。」

「……これはまた、凄い称号を手に入れたな。この力さえあれば(デュオ)を……いや、そんな簡単な話じゃないか。」


 一旦自身の考えを肯定しようとしたが、師匠はすぐさま首を横に振る。


「龍を操っていたんだ、あいつら自身にも龍の力があるのかもしれない……ウルス、もし神眼に龍の魔力を混ぜたらどうなるんだ?」

「今試します………………いや、ダメです。今回の調査隊の場所まで確認しましたが、反応は無いです。」

「単純にそこに居ないか、龍の魔力は関係ないか、それこそ同じような対策を取ってるか……何にせよ、もっと調査範囲は広げておかなければ。」

「色々、やることも山積みだなー。今年の冬には()()()()もあるしな。」

「……例のアレ?」


 その言葉に思い当たる節がなく、俺が鸚鵡(おうむ)(かえ)しをするが……クーザは口を閉じるような動作を見せた。


「それはまたのお楽しみだ……まあ、お前にとってはお遊戯(ゆうぎ)だろうけどな。」

「……そうですか、なら俺は先に帰ります。」

「ああ、儂たちはもう少し話したいことがある、また何かあったら来てくれ。」

「……しっかり休めよ、ウルス。」

「はい。」


 別れを告げ、俺は学院長室を出る。とりあえず今日の予定は無くなったが……師匠の言葉通り休むわけにはいかない。




『………ウルス、頑張れよ。』






(…………龍の力を磨かなければ。そして、アイツを……この手で…………!!)

「ねぇ。」



 …………………え?


「…………ハ、ハート……さん? いつの間に。」

「何で、そんな怖い顔してるの? っていうか、何で学院長室(ここ)から出てきたの?」


 熱くなって周りが見えていなかったせいか、いきなり目の前に現れたかのように立っていたフラン=ハートは、相変わらずの無感情な瞳で俺の目を覗き込み、そう聞いてきた。


「……調査隊で少し報告することがあって、今はまだ忙しいらしいので用があるなら後の方がいいと思います。」

「…………そう。」

「…………それじゃあ、俺はここで。」


 適当に誤魔化しながら、俺はその場を離れようとした…………その時。



「……………?」

「……………」



 隣を横切ろうとした瞬間、俺の腕は何も感じられない冷ややかな手に掴まれる。その犯人へ振り返ると、彼女は何か思い付いたかのような表情をしていた。


「…………じゃあ、君で()()()。」

「……まだ、何か?」

「……………………













 ………………勝負、しよ。」




 温度がよく変わりますね。


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