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二度も親を失った俺は、今日も最強を目指す   作者: SO/N
十三章 龍と仮面

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百六十六話 もう……




(なんで…………こんな、威力………?)



 地面に埋まった体を出そうと(もが)き、何とか抜け出す。しかし魔力防壁を貫通した衝撃はもろに受けており、その証拠に無意識に構えた左腕の骨が完全に折れてしまっていた。


(俺の方がステータスは大きい……なのに、ここまで、どうして……………)

『コノテイド、カッ!』

「っ……なっ……!!?」


 すかさず追撃ののしかかりを喰らわせようとヤツが上空から落ちてくるが、それも転移で入れ替わるように空へ俺は逃げた。すると……とてもヤツのステータスからでは起こせないほどの地盤沈下(じばんちんか)があちらこちらて発生していた。


(どうなって…………いや……これは、()()……!?)



 ステータスの高さは、体の大きさや体格に比例しない。その証拠に、俺の体型は一般人とほとんど変わらないにも関わらず、大人とは比べ物にならない程の力の差がある。それはつまり、ステータスはそいつの見た目に左右されない……実際、事実であることは間違いない。

 

 しかし、それと同時に……そいつの力はステータスに左右されないということも、既に自明していた。技術によって…………()()()()()()()()()()()()



「なぜ……普通に考えれば、気づけた……だろ……!!」


 俺と龍の体重差はおそらく何トンレベル……人間同士ならいざ知らず、そこまでの差があってステータスの意味合いが変わらないわけがない。


(くそっ…………クソッ!!!!!)


 地面へ転移し、ガイアの











『ウルス、カゼマホウはどうだ? オレしか使えないマホウの中にカゼマホウもあるんだが、カゼなら一番オシえやすい……どうだ、やってみないか?』











「…………ゥぁアぁあアァァッっッ!!!!!!」



 

 使えない。使いたくない。もう…………いやだ。



『…………シツボウ、シタ。』

「がはぁっ…………!?」


 体を掴まれ、地面へと叩きつけられる。そしてそのままヤツの手に踏みつけられながら、魔力防壁をじわじわと削られていった。


『キサマハ、ナゼテヲヌク? ソノブキ……()()()()ガアレバ、ワレトタイトウニ……』

「…………………。」

『……ツマラン。ソンナニ、シニタイカ?』



 …………………もう…………



『…………オワリカ「終わりだ。」……?』




 …………………()()()()()()



『………コンドハ、ナンダ?』

「……爆発だ。全部……これで、終わらせてヤル。」


 瞬間的な力でヤツの手から離れ……虚勢(きょせい)の笑みで俺は腕を開けた。


 そして、片腕には絶対零度の水、もう片方には極熱の蒼炎をそれぞれ入れた特殊なガラス球を作り…………ヤツへ見せびらかす。


「知ってるか…………こんな小さな水と炎でも……使い方次第で、魔法を越える『()()』を引き起こせる。魔力もクソもない…………無慈悲(むじひ)な一撃をミせられる。」

『…………ヤッテ、ミロ。』

「………………後悔するなよ。」



 …………人間は、時に使うことのない知識を蓄えていたりする。


 日常……学校でも、絶対に己が覚えるべきではない物を、頭の片隅に置いておく。理由なんかなく、ただ…………好奇心や生活を豊かにするためだけに。



(…………俺も、タダじゃすまないな。)



 それでも、躊躇いはなかった。今から起こる現象が分かっていても…………簡単に体は動いた。












 その、水蒸気爆発(すいじょうきばくはつ)を。







(ぜつ)水爆(すいばく)




























ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



















「うわっ……ば、爆発……!!?」


 ガッラくんの言葉の通り、遥か森の奥……さっきまで私たちが居たであろう地点から、耳が痛くなるほどの爆発音が町を震わせる。また、それから少し遅れて爆発の余波が私たちを襲った。


「ぐぅぉっ……油断したら吹っ飛ばされるぞ……!」

「一体どんな魔法を……というより、今のはどっちが……!?」

「ラ、ライナさん……大丈夫ですか……!?」

「…………うん……」


 ニイダくんの心配の声も、私の耳にはいまいち入ってこず……ただ、()のことがずっと頭の中でぐるぐる回っていた。




『あいつを倒す……じゃあな、()()()()()()()。』

 




 普通じゃなかった…………いや、分かってる。そんなこと無理だって…………ウルくんは、()()()()()()()()ことも。





『ああ……あの時は特別悲しいことがあったわけじゃないって言ったが…………やっぱり、血の繋がった人がいないのは……寂しいんだ。』




『俺は……まだまだ青い。誰かの支えになれるほど強くないし、人の気持ちもちゃんと理解できない。ラナが思っているほど、万能じゃないんだ。』




『今にして思えば……2人はもう、戦いたくなかったはずだ。地獄をずっと受けてきて……もう何の危険もない、安らかな時間が欲しかったに違いなかったのに……俺は…………』





「……大丈夫っすかね……ハルナさんミーファさん、どうするっすか。」

「……やはり、ここは任せて私たちは…………」













「私は、()()()。」






 重なった夢は、想いへ。



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