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笛吹けども踊らず 筑後衆

永禄九年 十一月 小佐々城 小佐々純正


千方から報告が届いた。


「その後筑後衆はどうだ?動きそうか?」

「は、たびたび大友から出陣要請が出ておるようですが、毛利の動向も有り、腰が重いようです。」


ふむ、やはり毛利の存在が大きいか。大友にしてみれば長引けばやっかいだし、早めに決着をつけたいところだな。しかし国衆制はやはり面倒だな。動員兵力はもとより、参戦する・しないが外的要因によるところが大きすぎる。


やはりよほど大きい勢力でない限り、基本的に直轄地政策がいいな。


今後の基本方針は大友を極力刺激せずに、毛利と泥沼で戦ってもらって、お互いに国力を消費してもらう。その隙にこちらも国力をつけ、対等ではなくとも簡単には手が出せない様にする。


筑後は火薬庫だから、やはり肥後か。北肥後は完全に大友に従属しているわけではないから、阿蘇か相良と結ぶか?日向以外は大隅に肝付がいるが、どう考えても島津が北上してくるだろう。


しかし、父祖伝来の土地を回復するとなれば、肥後よりも日向だな。確か史実でも、肥後をとるのは日向の伊東氏を破ってからだ。


流れ的には、耳川の戦い→島津の三州統一→大友の没落→龍造寺の台頭となる。いや、いやいや、既に龍造寺隆信を討ち果たしているから、正直史実は参考程度にしかならない。島津の北上と九州制覇の野心は既定路線とは言え、順序が変わるはずだ。


目安とするなら、南肥後の相良義陽と東肥後の阿蘇惟政は最後まで島津に抵抗するだろうから、やはり北肥後か。相良・阿蘇と誼を通じながら徐々に攻略していこうか。日向の伊東は大友と親しいのだろうか?


いずれにしても史実どおり伊東と相良と阿蘇は島津の防波堤になってもらおう。しかしそうなると耳川の合戦が遅くなるな。いっそ時期をみて筑前・筑後に攻め入るか?だとすればどっちだ?


こちらが筑前衆に攻め込んだら間違いなく大友勢が優位になるだろう。毛利は退かぬかもしれないが、国衆は動揺するはずだ。どっちが勝つか、勝つ方につこうとするだろうからな。


筑前が完全に大友から独立し、毛利勢力が豊前全域を支配する様になれば、大友の影響力は豊後のみになる。筑後は日和見だからな。そうなれば北九州はまた群雄割拠になる。・・・当面は情報収集に専念するべきか。


「千方、北肥後のぐあいはどうだ?誰か国衆の中でも抜きん出た、小大名はいるのか?」


「は、さればおおよそ三人に絞られまする。まずは隈部城の隈部親永。こちらは大津山城の大津山家稜、内村城の内空閑鎮真他を従えておりまする。次に菊池城の赤星統家ですが、こちらは合志城の合志親為、小代城の小代実忠を取り込んでおります。最後が隈本城の城親賢、こちらは宇土城の名和行直を傘下に入れております。」


「なるほど、だいたい三つに分かれているのだな。」


「はい。ただしこちらの三家は、その時々に応じて大友の支援を受けたり、または大友の支援を受けていた勢力を攻撃したりと、大友に対する態度をはっきりさせていません。」


「なるほど。難しいな。」


「されど今のところ、一番大きく大友の援助を受けているのは隈部親永と存じます。そして赤星統家に属する小代実忠ですが、小代城から合志城に向かうには反対勢力の内村城下を抜けなければなりません。それゆえ内村城を組み入れようと、各勢力が躍起になっております。」


「なるほど。地の利で考えれば内空閑が要と。」


「そうか。うーん、ふむふむ。うー。よし、利三郎と道喜、道喜がいなければ弥市を呼んでくれ。」

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