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西に火の手あり。

永禄八年 十一月一日 五島江川城 宇久純定


先月届いた龍造寺隆信からの手紙を、再度、最後の確認の様に、しっかりと読む。もう何度、読み返したであろうか。


『心地よい秋風が吹き抜ける秋天の候、左衛門尉殿にはご清福の事とお慶び申し上げます。昨今のご時世、わたくし共も生き残るために必死にございますれば、突然の文、ご容赦いただきたく存じます。さて、このたび文を差し上げましたるは、ご助力のお願いの儀にございます。近々、西肥前の小佐々と相対する事になり申した。十一月の一日にて合戦と相成りましょう。その際にはぜひとも平戸松浦の旧臣と示し合わせて、平戸島の小佐々を攻めていただきたく、お願い申し上げます。首尾よく小佐々を滅したる暁には、五島の灘から角力の灘までご自由にお取り仕切りいただきたく存じます。わたしは普段、文は苦手にて、あまり書く事はありません。しかし今回はどうしてもお力が必要かと思い、直筆にてお出しいたしました。平戸松浦の旧臣以外にも、志佐や相神浦など、声をかけさせていただいております。左衛門尉殿のお力が必要です。ぜひともよろしくお願い申し上げます。』


確かに、祐筆(代筆)ではなく、直筆のようだ。上手とは言えないが、丁寧に書いている様には見える。


さて、五島灘から角力灘まで全て好きにして良い、ということだな。条件として悪くはない。平戸の旧臣には本領回復と安堵を打診したのであろう。


昨年、平戸旧臣の加藤源之助から共謀の誘いが来たときには断った。我らに分が悪すぎるし、条件もよくない。しかも平戸にまとまりがなかった。


さて、今回はどうだろうか?


小佐々と龍造寺の兵力差は約二倍。龍造寺が有利だ。にもかかわらず、われらに助勢を願い出るのには、なにか不安材料を抱えているのか?それとも小佐々の背後を脅かし、自らの勝利を決定的なものにするためか。


確かに、われらが北上して主師しゅうしの湊に兵をあげ、平戸旧臣と示し合わせれば、現平戸の本拠である箕坪城を落とすのは難しくはないであろう。・・・しかし、平戸には常時千の兵が詰めておると聞く。水軍も常駐してある。


奴らがどう動くだろうか?

われらとは長年、盟はなくとも友好的な関係を築いてきた。


龍造寺との圧倒的な兵力差に、平戸の千の兵力は大きい。また、旧平戸にはもう力がないと、みくびっているやもしれぬ。そうなれば水軍を使って平戸瀬戸を渡り、急ぎ本軍の支援に向かうであろう。もしそうなら・・・、平戸島の制圧は容易、か。


「申し上げます!龍造寺、須古城より南進しております!」


なるほど、ここは態度を決めねばならぬな。


「孫右エ門、支度せい!北へ向かうぞ!」


わしは北上するための準備を急がせた。


挿絵(By みてみん)


こちらで加工しています。


出典:国土地理院ウェブサイト (https://maps.gsi.go.jp/#10/32.883624/129.865265/&base=blank&ls=blank&disp=1&lcd=blank&vs=c0g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 冒頭の手紙が、誰からの文かが不明瞭で解りにくかったです。
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