強烈なライナー
俺と鬼瓦は対峙する。
まるで野球のピッチャーとバッターのように。
ベッドしているのは互いの魂。
文字通り、命がけの勝負がそこにあった。
前回での試合では、鬼瓦が勝った。
コールド勝ち。
最後の俺の打席が回る前に試合が終わった。
俺はその時の記憶を必死に呼び覚ます。
対策はできていた。
再現するだけだ。
鬼瓦が氷の球を振りかぶって、投げる。
先端の尖った球だ。それは綺麗な回転をしつつ俺に迫った。
「クリエイトアイス」
俺は氷のバットを作り出す。
思い出せ。あの時の悔しさを。
確信していたではないか。俺まで打順が回っていれば勝てたと。
俺はバットをふるった。
氷と氷がぶつかり合う軋んだ音がした。
レベルアップで強化された腕力である。
氷の球のピッチャー返しは高速で相手に襲いかかる。
ここが好機と俺は畳み掛ける。
前方に向かって跳躍した。
鬼瓦は唖然として反応が遅れた。
打たれるとは思っていなかったのだろう。
負け知らずゆえの経験値不足が彼に油断を与えた。
氷の球が炎の壁で蒸発される。
それを、アリエルの炎の壁が相殺する。
俺は双刀を握りしめ、エリセル向かって振るう。
四属性混合の矢が襲いかかってくる。
だが、無駄だ。
この鎧は、全ての魔法を無効化する。
エリセルの目が唖然と見開かれる。
俺は、その首を断とうとした。
そして、我に返った鬼瓦に弾き飛ばされていた。
あと一歩だった。
攻防は続く。
そして俺は、効くかどうかわからない切り札を切ることにした。
続く




